乗っても眺めてもエキサイティングなモーターサイクル・ビモータ「KB4」をカワサキが総輸入元となり国内販売!

掲載日:2021年12月20日 フォトTOPICS    

取材協力/株式会社カワサキモータースジャパン 取材・文・写真/伊井覚


2021年12月15日、カワサキプラザ東京等々力店にて、メディア向けにある発表会が行われた。カワサキモータースジャパンによるbimota(ビモータ)ニューモデル「KB4」国内販売のニュースだ。カワサキは2019年にビモータへの出資を発表し、さらにテージH2の販売を手がけ、バイクファンに嬉しい話題を提供してくれたばかり。常に時代を先取りし、さまざまなムーブメントを創出し続けてきたカワサキが、イタリア車ファンだけでなく、多くのモーターサイクルファンに贈るこのビモータKB4の真価に迫る。

全国50店舗にてビモータ正規取扱店を展開

ビモータは空調設備会社として1966年にイタリア・リミニで誕生した会社だ。1973年、設立者の一人、マッシモ・タンブリーニが大のオートバイマニアだったことからオートバイ事業に進出。特にレース用のフレーム・ビルダーとして一世を風靡した。ホンダ、ヤマハ、スズキ、DUCATI、BMW、そしてカワサキ。各国のさまざまなバイクメーカーのエンジンを搭載した名機が数多く誕生し、今回のKB4の元になったKB1(1978年)、KB2(1981年)、KB3(1983年)もその流れの中で生み出された。

大きな特徴はその生産方法だ。多くのメーカーが行うライン生産は行わず、一台一台手で組み上げていく。ビモータのバイクはまさに、イタリア伝統のクラフトマンシップと言えるハンドメイド製品なのだ。もちろんペイントも一台一台、職人の手によるもので、同じモデルであっても一台一台が唯一無二のモーターサイクルと言える。イタリアらしいデザイン性に優れた車体と、高品質・高性能なカワサキのエンジンが合わさり、全く新しい魅力を持つモーターサイクルが誕生したのだ。

このKB4、カワサキは技術とエンジンを提供しているが、開発には一切関わっておらず、完全にビモータにより設計されたバイクだと言う。現車が発表されたこの日まで、カワサキのスタッフは誰一人として試乗もしていないとのこと。

そしてこの日、この場ではKB4のお披露目と同時に、日本国内でのビモータの取り扱いについても発表された。カワサキモータースジャパンが総輸入元となり、全国50店舗によるビモータ正規取扱店にて、車両の購入およびサービスを受けることができるという。

その第一弾となるKB4のメーカー希望小売価格は4,378,000円(税込)。年間販売計画は200台。納車予定時期は2022年3月頃との発表だ。しかし、新型コロナウイルスの影響による全世界的なパーツ生産の遅れから、初期は商談権がオンライン申込からの抽選になるとのこと。

イベント開始時にはしっかりとカバーがかけられていたが、背面のスクリーンに大きく表示されたbimotaのロゴに、大きな期待が寄せられた。

会場ではKB4のプロモーションビデオが流されたあと、いよいよ実車のお目見えとなった。

2021年10月、カワサキモータースジャパンの社長に就任した桐野英子氏が登壇し、撮影が行われた。

「先日ミラノで発表されましたニューモデルKB4の国内初お披露目を行います。また、カワサキモータースジャパンが、ビモータブランドを日本国内で取り扱うことについても発表したいと思います。本日はカワサキとは全く違う、ビモータのフィロソフィーで造られた、作り込みも全く違う製品をぜひご覧いただきまして、お楽しみいただけたらと思います」と桐野氏。

さらにオンラインにてビモータS.P.A COOのピエルルイジ・マルコーニ氏も参加「日本市場は常にビモータが参考にし、念頭に置く市場です。皆さんはモーターサイクル分野で最も知見を持つ専門家であり、ビモータがモーターサイクル愛好家の皆様にご提供する感情・感覚と同じものをビモータに与えてくれています。カワサキモータース社長の伊藤さんの個人的な情熱がなければビモータの再開はなかったでしょうし、ビモータの夢を実現してくれているカワサキに関わる全ての人々に感謝したいと思います。カワサキのテクノロジー、セールス、サービスネットワークを活用できることは、ビモータが過去に決して持たなかった価値を持っており、これによりビモータはさらに独創的で、高い性能と信頼性を持つブランドになります」と挨拶した。

会場にはライトアップされたテージH2の車両展示もあり、お店の前を歩く通行人の多くが注目していた。

ビモータ開発のシャーシに
Ninja1000SXのエンジンを搭載

ここからはKB4について、より深く掘り下げて行きたい。

コンセプトは「乗りやすく、トルクがあり、軽量なモーターサイクル」。それを実現するためにビモータがこだわったのは、関係性。ライダーと路面、ライダーとマシンとの関係性を徹底的にシンプルにしたという。

まず驚くべきはその重量だ。なんとNinja1000SXに比べ-42kgというそのシャーシからは、アルミ削り出しのパーツ類、カーボンファイバー、鍛造ホイールなど、ビモータの徹底した軽量化の努力が伺える。さらに数値上の軽さだけでなく、マスの集中化による軽快なハンドリングを実現しているという。

コーナリングマネージメントファンクション、インテリジェントアンチロックブレーキシステム、トラクションコントロール、パワーモード選択、クイックシフター、クルーズコントロールといった最新の電子制御も豊富に搭載している。

最も大きな特徴は、このホイールベースの短さだ。600ccクラスのスーパースポーツに匹敵するショートホイールベースに、ロングスイングアームが装着され、俊敏なハンドリング性能と卓越したトラクション性能を実現している。

エンジンはNinja1000SXに使われている1,043cc水冷4ストローク並列4気筒エンジンを搭載。低回転から高回転まで強力なパワーと優れたスロットルレスポンスを提供してくれる。

さらにラジエーターをシート下に収納することでエンジン位置を前方に設置し、ビモータが理想とする前後重量バランスに近づけることに成功している。

走行風をエアダクトで取り込み、それを圧縮することで高いエンジン冷却効果を得ることができる。

シートは本革のシングルシート仕様。なお、展示車両にはタンデムステップも設けられていなかった。

ビモータの独創的なデザインセンスを象徴するヘッドカウル周りは、誰もが一眼でビモータとわかる。まさに走る芸術作品と言える美しさだ。

フットステップは簡単にポジションの調整が可能。


前後サスペンションにはオーリンズを採用。リアサスペンションで±8mmのシート高の調整が可能だ。

3つのパーツを組み合わせ、高次元にバランスされたねじれ剛性を実現しているロングスイングアームは、アルミ削り出しのスイングアームピボットプレートを介して繋がっている。タイヤの挙動やサスペンションの動きをライダーにダイレクトに伝えてくれる。

前後ブレーキはブレンボ製。優れた制動力と操作性を可能にする。

軽量化の努力が見られる肉抜きされた鍛造ホイール。タイヤはピレリのDIABLO SUPURCORSA。

この独創的かつ美しい、全く新しいモーターサイクルが日本のバイク市場に仲間入りすることを、心から歓迎したい。

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