アナタの走行技量を「見える化」!ライディングスキルを可視化できるYRFSを導入したヤマハ・ライディング・アカデミー

掲載日:2021年04月12日 フォトTOPICS    

取材協力/ヤマハ発動機販売株式会社 取材・文・写真/伊井覚

2021年4月9日、千葉県野田市にある清水公園の駐車場にて、ヤマハ発動機株式会社がメディア向けに新しいライディング・フィードバック・システムの説明会を行った。

GPSを使ってライディングを分析し
受講者にフィードバックするYRFS

友達に勧められて、プロライダーに憧れて、便利な交通手段として、様々な理由でバイクの免許を取得しても、実際にバイクを購入して公道デビューを果たすにはいくつかの壁が存在する。その一つが「公道を安全に走るスキル」だ。教習所で教えてくれるのはあくまでバイクの基本操作と交通ルールのみ。免許を取得して公道に出ると自分の身を守ってくれるのは、自分しかいないのだ。

ヤマハ発動機株式会社はこれまでもたくさんのライディング・アカデミーを開催してきた。YRA(Yamaha Riding Academy)はヤマハのバイクを購入したユーザーが「正しく」「安全に」「楽しく」「役立つように」、バイク本来の楽しさ、便利さを味わうことができるように開催されている。

これまでも多くのユーザーのスキルアップと公道デビューをサポートしてきたYRAだが、この度、全く新しいライディング・フィードバック・システム「YRFS(Yamaha Riding Feedback System)」を開発した。このシステムはバイクに装着したGPSロガーによって位置や速度を計測し、それらの情報から走行技量を「見える化」。アカデミーの参加者にフィードバックすることで、よりわかりやすく自身の成長を実感してもらおうというもの。

今回は僕自身がライダーとなって、2回の計測を行ってもらった。そのうち1回目は初心者によくあるメリハリのない走りを再現。直線でアクセルを開けず、ブレーキもほとんどかけずにコーナーに進入し、ゆっくり旋回して「ひょうたん型」を描いてカラーコーン通りにコースを2周した。

対して2回目の計測では十分に安全に配慮した上でスポーツ走行をした。直線ではアクセルを開け、コーナー入り口でブレーキング。旋回時も出来るだけアクセルを開けてバイクを寝かして走ってみた。

場面によっては1回目の走行も決して悪い走りではない。しかし、直線でアクセルを開けられないと速度域の高い国道や高速道路で流れに乗ることができないし、普段からブレーキをしっかり使う走りをしていなければ、速度が出ているときに急なブレーキに対処できない。さらにコーナー中の速度が遅いとバイクが不安定になり、転倒やコースアウトに繋がってしまう。そのため、ある程度メリハリのある走りができることが、安全に繋がるのだ。

走行後にYRFSによって出力されたグラフを見比べてみると、その差は一目瞭然。明らかに2回目の計測時の方が加速・減速の差がハッキリしており、コーナーでのバンク角も深いものだった。もしこれが純粋にアカデミーを受講したライダーの、Before・Afterであったなら、漠然とした「アカデミーを受講して上手くなった気がする」という感覚的なものが「アカデミーを受講して、これだけ上手くなった!」という明確な自信に繋がることだろう。

このシステムはYRAの中の一つのカテゴリー「大人のバイクレッスン」のレッスンコースにて、4月10日から使用が開始されている。昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、バイクは感染の影響を最小限に抑えてくれる交通手段として、その需要を大きく拡大している。しかし免許を取得しても、スキルに不安があり公道デビューに至らないライダーや、リターンライダーとして久しぶりにバイクに乗ることを決意したが、公道を走行する前に感覚を取り戻しておきたいというライダー、仲間とツーリングに行ったけどペースについていけず楽しむことができなかったライダーなど、ライディングスキルに不安を感じる方は、ぜひこのYRFSを体感してみてほしい。

アカデミーで使用する車両に取り付けられたGPSロガーで位置と速度を計測。さらに前後・横方向の加速度は、その位置と速度の数値を使って算出される。

アカデミーで使用する車両には、トリッカーが用意された。軽量かつシート高が低いことで、誰でも不安なく乗ることができ、素直なエンジン特性を備えた名車である。

ヤマハ発動機販売株式会社、代表取締役社長・石井謙司氏。「昨年以降、新型コロナウイルスの影響で二輪車の需要が増えています。しかしその一方で、二輪の死亡事故が、特に20〜30代の方の事故が増えています。ヤマハとして何かライダーの技量アップに貢献できないか、とYRFSの開発を進めてきました。初心者の方に安全に、楽しく、正しく、バイクに乗ってもらいたいと考えております」と挨拶。

走行時の注意事項を聞き、いざ測定開始。綺麗な楕円形のオーバルコースと、少し複雑な「ひょうたん」型から選べるとのことで、今回は「ひょうたん型」をチョイス。

1回目の計測では一定以上アクセルを開けずに、ブレーキも使わず、ゆっくりとコースを周回。

2回目の計測ではコーナーの立ち上がりから直線でしっかりアクセルを開け、バイクを寝かしながらスポーツ走行を行った。

GPSロガーで計測したデータをその場でPCに取り込み、解析を行ってくれた。この日はメディア体感会だったため、即時解析をしてくれたが、実際にアカデミーではこの作業は後日ゆっくりと時間をかけて行われ、2週間後に解析結果が手元に届くとのこと。

こちらが個人の走行データ。最上段の図では青いところで加速、赤いところで減速。色が濃いほど強く加減速していることを表している。中段の図はコーナリングのバンク角で、これは加速度から算出しており、青が濃いほどバイクが寝ていることを表す。最下段はコーナーのクリッピングポイントの写真だ。実際のアカデミーではこの図を元に、右下のコメント欄にインストラクターからのコメントが入り、フィードバックされる。

走行データを拡大してみると、2回目の走行でも直線でブレーキングが終わらず、コーナーの旋回を始めながら減速していることがわかった。僕の場合、これは全く無自覚だったので、このYRFSによる分析で課題を発見することができたと言える。

このシステムの狙いはアカデミー受講者のアクセル開度、ブレーキング、バンク角などを分析し、一日のアカデミーでの成長を実感し、自信に繋げてもらうことにある。「実際のアカデミーのプログラムではレッスン前とレッスン後の2回、計測を行います。ブレーキ、シフト操作、旋回など1日のレッスンの成果が、目に見える形で受講者の手元に残るんです」とインストラクターの南雲氏。

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