掲載日:2021年04月12日 フォトTOPICS
取材協力/ヤマハ発動機販売株式会社 取材・文・写真/伊井覚
友達に勧められて、プロライダーに憧れて、便利な交通手段として、様々な理由でバイクの免許を取得しても、実際にバイクを購入して公道デビューを果たすにはいくつかの壁が存在する。その一つが「公道を安全に走るスキル」だ。教習所で教えてくれるのはあくまでバイクの基本操作と交通ルールのみ。免許を取得して公道に出ると自分の身を守ってくれるのは、自分しかいないのだ。
ヤマハ発動機株式会社はこれまでもたくさんのライディング・アカデミーを開催してきた。YRA(Yamaha Riding Academy)はヤマハのバイクを購入したユーザーが「正しく」「安全に」「楽しく」「役立つように」、バイク本来の楽しさ、便利さを味わうことができるように開催されている。
これまでも多くのユーザーのスキルアップと公道デビューをサポートしてきたYRAだが、この度、全く新しいライディング・フィードバック・システム「YRFS(Yamaha Riding Feedback System)」を開発した。このシステムはバイクに装着したGPSロガーによって位置や速度を計測し、それらの情報から走行技量を「見える化」。アカデミーの参加者にフィードバックすることで、よりわかりやすく自身の成長を実感してもらおうというもの。
今回は僕自身がライダーとなって、2回の計測を行ってもらった。そのうち1回目は初心者によくあるメリハリのない走りを再現。直線でアクセルを開けず、ブレーキもほとんどかけずにコーナーに進入し、ゆっくり旋回して「ひょうたん型」を描いてカラーコーン通りにコースを2周した。
対して2回目の計測では十分に安全に配慮した上でスポーツ走行をした。直線ではアクセルを開け、コーナー入り口でブレーキング。旋回時も出来るだけアクセルを開けてバイクを寝かして走ってみた。
場面によっては1回目の走行も決して悪い走りではない。しかし、直線でアクセルを開けられないと速度域の高い国道や高速道路で流れに乗ることができないし、普段からブレーキをしっかり使う走りをしていなければ、速度が出ているときに急なブレーキに対処できない。さらにコーナー中の速度が遅いとバイクが不安定になり、転倒やコースアウトに繋がってしまう。そのため、ある程度メリハリのある走りができることが、安全に繋がるのだ。
走行後にYRFSによって出力されたグラフを見比べてみると、その差は一目瞭然。明らかに2回目の計測時の方が加速・減速の差がハッキリしており、コーナーでのバンク角も深いものだった。もしこれが純粋にアカデミーを受講したライダーの、Before・Afterであったなら、漠然とした「アカデミーを受講して上手くなった気がする」という感覚的なものが「アカデミーを受講して、これだけ上手くなった!」という明確な自信に繋がることだろう。
このシステムはYRAの中の一つのカテゴリー「大人のバイクレッスン」のレッスンコースにて、4月10日から使用が開始されている。昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、バイクは感染の影響を最小限に抑えてくれる交通手段として、その需要を大きく拡大している。しかし免許を取得しても、スキルに不安があり公道デビューに至らないライダーや、リターンライダーとして久しぶりにバイクに乗ることを決意したが、公道を走行する前に感覚を取り戻しておきたいというライダー、仲間とツーリングに行ったけどペースについていけず楽しむことができなかったライダーなど、ライディングスキルに不安を感じる方は、ぜひこのYRFSを体感してみてほしい。