【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】狭小地であってもパーフェクトを追求する。ハーレーを収めるガレージハウスを構築

掲載日:2020年11月24日 フォトTOPICS    

写真・文/小松 男
※この記事はガレージのある家44号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。バイクブロスマガジンズでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる記事として、バイクのガレージライフを楽しむオーナーインタビューをご紹介。憧れのガレージライフに夢を馳せていただければと思います。
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東京都 大橋邸 設計/設計工房

ご両親がいなくなり使用しなくなった生家を元に、大橋さん兄弟は、ガレージハウスへと建て替える計画を進めることとなった。約16坪という限られた敷地に、それぞれの生活空間を独立させた2世帯住宅であり、さらにはバイクガレージをも作り上げるというプランニング。それはどのように実現されたのだろうか。

縦方向に伸ばすことで、実現した狭小ガレージハウス

東京都23区内でも下町と呼ばれるエリアは、昭和初期に建てられた長屋づくりの住宅が今も多く残っている。ここで紹介するガレージハウスも元々はそのひとつだったという。施主は大橋玲さんと眞里さんの御兄弟。それぞれ独立されており別々の家に生活していたのだが、ご両親がいなくなり使われなくなった生家の活用方法を相談した結果、二世帯住宅として建て替えることとなった。ただし、そのベースとなるのはもともと長屋の一角だった物件であり、敷地も16坪弱という狭小地、さらに弟である眞里さんはハーレーをはじめ数台所有するバイクを収めるガレージも欲しかった。そのような希望を叶えてくれる建築家を探し求めて出会ったのが、狭小ガレージハウスを得意とする設計工房だった。

「以前借りていた賃貸バイクガレージはバスに乗っていかなければならなく不便でした。なのでガレージハウスというのは絶対条件でした。さらにゆくゆくは兄も住むことを考え二世帯住宅とするということもありました。こういった要望は一般的なハウスメーカーでは叶えてくれないと思っていたので、設計工房にお願いしたのです」と眞里さんは話す。

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スタジオもあるガレージフロアとロフト&ルーフバルコニーフロアはシェアスペースとしており、兄弟で楽しむことができる空間となっている。

ガレージフロアとなる1階は土間コンクリートとされ巨大な体躯をほこるハーレーのほか、数台のバイクや自転車、さらにカウンターなども設置されている。ポイントとなっているのは坪庭が設けられていることで、至近距離に住宅が隣接しているにも関わらずガレージ内に外光を採り入れることに成功している。ガレージの奥にはストレージスペースと兄である玲さんの趣味であるギター演奏を楽しむためのスタジオルームが用意されている。

1階の最奥部まで進むと螺旋階段が設置されており、それを上ると2階の玲さんの住居、3階の眞里さんの住居、そしてロフト+屋上へと繋がっている。狭小物件の多くに見られる縦方向にフロア面積を稼ぐという手法が取られているのだ。

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ガレージフロアとした1階は土間コンで仕上げられている。今後はオフィス的な活用も考えているそうだ。

2階の玲さんの住居に足を踏み入れると、思っていた以上に余裕を持った空間が広がっていた。そこにはコレクションするギターをはじめオーディオ類などが置かれており、趣味であるものがすべて集められた大人の遊び部屋という雰囲気だ。レイアウト的にはキッチンを含めたワンルームタイプだが、必要にして十分だ。さらに面白いのはランドリールーム内に中間フロアが設けられており、そこを書斎とされていることだ。なぜだか狭い空間というのは落ち着くものなので、こういった遊び心はどんな住まいに取り入れても良い。

ロフトとされている最上階は、今後手を加えて共有リビング的な使い方も考えているそうだ。ルーフバルコニーからは都内の花火大会や富士山も望むことができ、天気の良い日にはバーベキューも楽しんでいるという。限られたスペースでありながらも、快適かつ趣味性の高いライフスタイルを実現している大橋邸は、ガレージハウスのひとつの理想形といえるものである。

2、3階はそれぞれプライベートルームとした2世帯スタイル

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左_各階に採光をもたらす坪庭は大橋邸のポイントのひとつとして挙げることができる。今後は植物なども取り入れる予定だとか。右_螺旋階段の横にはスタジオルームが作られた。防音効果も高く、気持ちよく演奏を楽しむことができる。

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以前から設置したいと思っていたというシーリングファン。室内の空気循環をし、快適なガレージライフを送ることができる。

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ガレージ内にライディングギアを置くスペースが確保されており、上層階へ行き来することなく走り出すことができる。

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1階の最奥部には螺旋階段が設置されている。このスペースがエントランス代わりにもなっている。

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左_ガレージ内にはカウンターテーブルも置かれ、愛車を眺めながらアルコールを嗜む時間も楽しむことができる。右_バイクを出し入れすることを考慮し、両開きのドアが採用されている。重厚感がありガレージに似合っている。

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ワンルームの間取りを基本とした居住空間。写真は2階の大橋玲さんの部屋で、3階も同じ間取りで大橋眞里さんの部屋となっている。

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多くのギターをコレクションされているが、中でもディスプレイケースに飾られているギブソンギターはBBキング直筆サインが書かれたお気に入り。

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ミントグリーンのクロスやホワイトのウッドフロアは、玲さん自身で指定したもの。兄弟そろってアメリカンスタイルを好んで取り入れていることが分かる。

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1階がガレージ、2、3階を兄弟それぞれの住まいとし、その上にロフトとルーフバルコニーが設けられている。デザイン性を考慮し各階のルーフバルコニーを交互に配置している。

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左上_スペースの問題もありバスタブは設けずシャワーのみとしている。世界的に見ればシャワーのみというスタイルは一般的でもあり、最近は日本でも広まってきた。左下_ルーフバルコニーは十分な広さがありバーベキューを楽しむこともできる。眺望もよく花火大会や富士山を見ることもできる。右_レコード盤を模したテーブルは柱に沿うようにカットし使われている。スペースの効率を考えてカスタムをするのも狭小住宅の楽しみだ。

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左_エアコンも設置され、眞里さんの愛猫の部屋とすることも考えられていたというロフトフロアは、今後くつろげる共有リビング的にする予定だとか。右_住居フロアの玄関から入り、すぐ横に設けられているランドリースペースには、中階層が設けられており、玲さんの場合は上段部分を書斎として活用する。

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左_2階、3階の螺旋階段の途中に用意されている玄関ドア。ここから先は兄弟それぞれのプライベートな居住スペースとなっている。右_下層階への採光を考えて、フロア材の一部にはFRPグレーチングが採用されている。

■OWNER'S CHECK
●我が家のここがお気に入り
コンクリート打ち放しのガレージフロアと坪庭が気に入っています。
●ちょっと失敗
想像以上にガレージ内の湿度が高いので、除湿器を置いています。
●これらからの夢
坪庭に植えるための草木を色々と選定しています。
●読者へのアドバイス
自由な発想で、思い切り楽しむことが大切です。

■PLANNING DATA
施主●大橋玲さん、大橋眞里さん
家族構成●兄弟
所在地●東京都
竣工●2018年6月
敷地面積●52.9㎡ 16坪
延床面積●84.24㎡ 25.5坪
ガレージ部面積●17.82㎡
構造●木造軸組工法
外装仕上げ●サイディング
内装仕上げ●クロス
愛車●2018年式ハーレーダビッドソン・ロードグライドCVO

■設計事務所
設計工房/Arch-Planning Atelier
東京都品川区西五反田2-18-3グレイス五反田405
Phone/03-6420-3408
http://www.sekeikobo.com/
ライター プロフィール
小松 男
BMWバイクス/DUCATIバイクス/Gooバイクなどの雑誌編集長を務めた後、フリーランスエディターへ転身。国内外ブランドを問わず、大型クルーザーからEVスクーターまで、2輪の乗り物ならば何でも乗りたがる性分の元祖雑食系。広く深くがモットーで、他人からは助平な性格と言われることもしばしば。出不精かつ出たがりという二面性を持つ。

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