掲載日:2020年09月08日 フォトTOPICS
写真・文/小松 男 ※この記事はガレージのある家32号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。
愛知県 K邸 Total price / 1,800万円 Archtect / OKAZAKI HOME
結婚し子どもができると、多くの人はおのずと家が欲しくなるものだ。夫婦だけの時には借家住まいが身軽に思えるものだが、子どもが小学校、中学校と成長していく環境として、土地を購入し根付こうと考えるのは当然のことなのかもしれない。Kさんのご家庭もそれと同様の轍を踏み、憧れの持ち家を実現した例だ。ひとつ普通と違っている点と言えば、ビルトインでバイクガレージを作ったところだろう。なかなか家の中にバイクを入れるのは家族的にも違和感を持つのが一般的な考えなのだが……。
「バイクもクルマも大好きで、いつかはガレージハウスを作りたいと前々から考えていました。以前はこことは別の地域に住んでいたのですが、結婚し、2人でこの近くに引っ越してきて、仕事も安定し子供もできたので、それでは家を建ててみようかと言うことになったのです。『ガレージのある家』など本も参考にしどんな家にしたいか想像を膨らませてから、モデルハウスなどにも行ってみたのですが、どこもなかなか自分の言っていることが伝わらないのです。かなりもどかしい気持ちになりました。そんなモデルハウスまわりをしているとき、ここのエリアが分譲住宅の建設をはじめるのを知り、たまたま立ち寄ったのです。この家をお願いしたオカザキホームの方は、私の考えるガレージハウスや生活環境のことをよく理解してくれたので、意思の疎通ができ、家を建てることができました」。と施主のKさんは話す。
確かに“ガレージ”を作り慣れていない業者だと施主の希望をなかなか読み取ってもらえないことが多い。作り慣れている会社であったり、建築家がクルマ好きであったりすることは、思い通りのガレージハウスを建てる上で重要な部分だ。
K邸は、インナーガレージにカタナ1100とレストア中のTZR250、外のガレージにはMG-Fとカタナ750、KDX125、そしてカーポートにミラジーノが止まっており、さらにクルマがもう一台収まるパーキングスペースもある。つまりかなり広いのだが、それぞれセパレートされているのには理由があるのだろうか。
「まずはこの土地が複雑に傾斜をしているという点が大きいです。レイアウトを決めるのが難しく、建築家と図面のやり取りは何度も行いました。もちろん家を建てるコストに対して制限があるという点もあります。お金をたくさん掛けられれば、土地の形状から再度見直して、家を大きく作り、その中に広いガレージというのも可能なのでしょう。そういったときには優先順位をつけて、ひとつひとつクリアしていかなければなりません。クルマやバイクを何台も止めるために傾斜地とはいえ広いスペースは確保しなければなりません。傾斜しているので大きな家を作るのは大変、それでも結婚してからは買えないだろうと思い、入籍をする前に妻と買いに行った大切なカタナ1100はどうしてもインナーガレージに収めたい。ワンオーナーで乗り続けているMG-Fはオープンカーだし、せめて屋根付き駐車場にしてあげたいなど、ひとつひとつ問題を解決していき、現在のレイアウトになったのです」。
リビングでKさんの話を聞いていると、その後ろの窓越しにカタナの姿が見える。まるでショーケースのような雰囲気だ。これこそがKさんの夢だったのだろう。そんなKさんに対して奥様はどのように思っていたのだろう。
「バイクやクルマが好きなのは仕方ありませんし、そのために色々頑張っているのでガレージ作りには反対はしませんでした。ただし“対面キッチン”、“ピアノを置けること”、“リビングにつながる階段”このみっつの私の希望もしっかりと叶えるように家を作りました」。と奥様。ご夫婦の夢が形となり、そしてこの場所で子どもが育っていく、幸せな家族とともにあるガレージハウスだった。
広めの面積を有しているが、コスト面で考えれば傾斜地という点が、あえて好都合だったように思えるK邸。もちろんご主人はクルマとバイクが収まるインナーガレージを夢見ていたそうだが、そうなると家そのものが大きくなってしまい、建築コストは格段に上がる。自分たちが生活するのに十分なスペースと、大切なバイクを収めることができるガレージというところに重点を置き、その他のスペースにもしっかりとクルマやバイクを置けるように工夫している。接道からの高低差によるエントランスやインナーガレージの位置決めはかなり悩んだそうだが、結果的には今の状態ですべてがうまくいっている。たとえば、インナーガレージの前にフラットな部分を作ったことにより、バイクの暖気運転が行えることもそのひとつだ。
■PLANNING DATA
所在地●愛知県
施主●T.K.さん
構造●木造在来工法
敷地総面積●160.43㎡
ガレージ延床面積●7㎡
外装仕上げ●サイディング
内装仕上げ●クロス
収納車種●インナーガレージ=GSX1100S KATANA、TZR250 アウターガレージ=MG-F、GSX750S KATANA
西三河エリア(岡崎市、豊田市、知立市、刈谷市、東海市など)を中心に、住宅を手掛けるオカザキホームは、ガレージハウスはもちろん、屋上庭園や木材にこだわった物件など、様々な要望に応えてくれる。今回のK邸でも、ダイニングスペースの角をなくし、台形状にしたり、エントランスの壁にアールを持たせ空間にも表情を与えるなど、細部での処理にテクニックを用い、理想以上の住まい作りを実現している。予算の問題にも親身になって相談に乗ってくれ、納得のいく着地点を探してくれるため、家づくりの際に心強い存在となってくれるだろう。