【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】木材のスペシャリストが徹底的に素材にこだわり、“和”の雰囲気を大切にしたガレージを作り上げた

掲載日:2020年06月18日 フォトTOPICS    

写真・文/小松 男
※この記事はGarageLife83号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。バイクブロスマガジンズでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる記事として、バイクのガレージライフを楽しむオーナーインタビューをご紹介。憧れのガレージライフに夢を馳せていただければと思います。
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静岡県 大川邸

日本古来から伝わる建築資材と言えば“木”だ。自然素材特有のぬくもりを楽しめるものであり、適所に使うことで視覚的メリットのみならず調湿や消臭効果なども得られる。ここで紹介するガレージのオーナーである大川さんはそんな木材にこだわったガレージを作り上げた。

貴重な木材をふんだんに使用することで、
贅沢なガレージ空間を生み出す。

建築に使う資材には様々なものがあるが、日本古来より伝わる様式と言えばやはり木材であるだろう。木を加工し、効率や強度を考え組み合わされ作り出される建築物はしなやかさを持ち美しく、さらにそれは利に得た性能を持っている。そんな中、昨今では技術の進歩やコストの観点から、色々な素材を組み合わせるといった手法が、広く使われるようになってきたのだが、それでも木のぬくもりを感じられる空間に足を踏み入れると、おのずとリラックスしてしまうものだ。これは、DNAにすりこまれた動物の本能的なものなのかもしれない。ここで紹介するガレージのオーナー、大川さんは、そんな木の魅力に惹きつけられ、銘木をふんだんに採用した和風テイストのガレージを造り上げた。

東名高速を御殿場インターでおり、富士山側へと進んでゆく。この周辺は富士スピードウェイがあることや、四季折々の表情を楽しめる富士五湖、ひいては富士山のすそ野を繋ぐワインディングロードを楽しむことが出来るので、クルマやバイク好きの多くが訪れる場所だ。そのような立地に建てられた大川さんのガレージは、外観からして、木のぬくもり、そして落ち着きを感じさせるものだ。

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外観からして“木材”の美しさが伝わってくる大川さんのガレージ。平屋づくりとなっているうえ、軒をかなり広く設定していることがわかる。

「昔からバイクやクルマが好きで、以前は小屋のようなものを建てて、その中においていたのですが、しっかりとしたガレージが欲しいと常々考えていました。現在ガレージが建っているこの場所は、3年ほど前に購入した別荘地の一角で、長年思い描いていたガレージのスタイルを自分で図面に落とし込んで、昨年の夏に実現させたのです」と大川さん。

大きな木のパネルを組み合わせたオリジナルのガレージドアが開くと、そこには、カスタムが施された多くのレーサーレプリカバイク、エアロパーツを得意とするブランドのショーカーだったというトヨタ・iQ、スバル・インプレッサSTiなどが収められているうえに、ガレージはリビングにまで延長されており、そこにはMVアグスタ・F4が置かれている。それらの車種を見る限り、“走り志向”だということがおのずと伝わってくるものだ。もともと沼津で生まれ育ったという大川さんは、箱根などをステージとしたストリートライダーだった。そんな大川さんが住居を構える際に、どうせだったら箱根も富士山も近く、ワインディング三昧を楽しめる場所で暮らしたいということになり、御殿場を選んだ。現在の住居は新しく建てたガレージから、5分ほどの場所にあると言い、ガレージは休日をメインに、週に何度か訪れて楽しんでいるという。

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壁面だけでなく天井までも木材を用いたガレージ。サイドには大きなフィックスガラスが設置され、室内からもガレージ内を覗くことができる。

ガレージの壁には正目が美しい秋田杉が、そして天井には伊豆の山地を造成する際に見つけられたという約6000年前の神代杉が使われている。どうしてこのような貴重な木材を使うことができるのかと言うと、実は大川さんは、材木の加工、販売を手掛ける会社「大川銘木」を営んでいるためなのだが、それよりも深い部分に、現在建築においては昔ながらの木材加工が少なくなり、そしてそれらが使われなくなってきており、このままでは文化が衰退していってしまうという懸念を持っているからだ。

「やはり古来より伝わる建築資材として木材は素晴らしいものですし、その魅力は多くの人もご存じだと思います。やはりコストの面、加工の難しさから徐々に使われにくくなってきていますが、私自身も木が大好きですし、これまで積み重ねてきた経験をひとつの形として残したいと考えてガレージを建てたのです。とても手が掛かりましたが、満足するものができました」と大川さんは話す。和風のガレージ、あまり見かけないようなスタイルではあるが、そこは落ち着いた雰囲気を得られる素敵な空間となっていた。

長尺のツキ板から無垢のガイドレールまで、
木材の特徴を知る職人だからこそ実現したスタイル。

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2台のクルマ、レーサーレプリカバイク4台と、サイドカーオミクロンを悠々と飲み込んでおり、ゆとりを持ったガレージサイズだということがわかる。

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ガレージ後方はリビングスペースまで延長されており、バイクが置けるよういなっている。現在はMVアグスタ・F4がとめられている。

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ガレージドアにはスライドタイプのものが手作りされた。ラインが入っているのもポイントだが、何よりも高い加工技術に目を奪われる。

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数多くあるバイクと、それに合わせたレーシングスーツ、ヘルメットがそれぞれ用意されている。いつでもガレージからワインディンへと走り出すことが可能だ。

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多くのガレージを取材して回っている私が気になったポイントは、採光窓が低い位置に設置されていることだ。和の空間を想定しているということもあり、優しい光量となっている。

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天井にはおよそ6000年前に山が崩れて埋まっていたと思われる神代杉が使われている。年輪が美しい模様となって浮かび上がる。

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ガレージドアのガイドレールは一本の材木を加工して作り上げている。長尺かつ、きっちりとした4本の溝が必要であり、大変手間がかかった部分だということ。

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ガレージには、柾目の秋田杉で作られた壁材が採用されている。無垢木材特有の調湿、消臭効果は、ガレージという特殊な空間での使用時にも高いメリットを得られる。

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和の雰囲気に合わせて、土間コンクリートは、ブラックでペイントされている。当初は、コンクリートに塗料を混ぜて施工することも考えていたそうだ。

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自宅から数キロという場所に建てられたガレージは、週末をメインに週に何度か利用しているが、ゆくゆくは生活の場を移すことも想定して設計された。

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中庭側から見ると、美しい平屋づくりだということがより一層伝わってくる。ガレージ後方にもドアが設置されており、ゆくゆく拡張することもできそうだ。

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居住空間にはロフトも設けられた。ゲストルームとして活用しても良いだろう。なお、ベッドのフレームまでも自分で手作りしているそうだ。

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大きなフィックスガラスを使い、ガレージ内の様子がいつもわかるようになっている他、リビング内にバイクを飾れるようにしているのもポイントとなっている。

大川一浩さん
このガレージハウスは、自社オリジナルの楠・欅・松・タモ・ナラ・ウエンジ等を用いたランダム貼フローリングと、1枚板貼の壁パネルやドア、4mの楠1枚板のテーブルと椅子などがこだわりです。杢目の質感が良く出るように塗装も手塗としています。リビングのFix窓越しから見えるガレージは最高です。普段の仕事をしながらの製作でしたので、楽しいながらも苦労もしました。
株式会社大川銘木
静岡県田方郡函南町塚本216−2
phone/055-978-8111
■PLANNING DATA
所在地●静岡県
ガレージ面積●60m²
構造●木造在来工法
外壁仕上げ●銘木ツキ板貼り仕上げ
内装仕上げ●銘木ツキ板貼り仕上げ
竣工●2019年8月


■施工
臼幸産業株式会社
静岡県御殿場市萩原496-1
phone/0550-82-0677


■OWNER'S CHECK
●一番気にいっているところは?
壁や天井に神代杉などを使い和風なガレージにしたところです。
●ちょっと失敗したところは?
特になし。
●次の夢はなんですか?
ガレージを増築したいです。
●読者へのアドバイスを!
安らぎを感じる和の空間は良いものだと思います。
ライター プロフィール
小松 男
BMWバイクス/DUCATIバイクス/Gooバイクなどの雑誌編集長を務めた後、フリーランスエディターへ転身。国内外ブランドを問わず、大型クルーザーからEVスクーターまで、2輪の乗り物ならば何でも乗りたがる性分の元祖雑食系。広く深くがモットーで、他人からは助平な性格と言われることもしばしば。出不精かつ出たがりという二面性を持つ。

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