【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】祖父から譲り受けた長屋をベースに、バイクライフを満喫できるガレージハウスへと大幅リノベーション

掲載日:2020年05月25日 フォトTOPICS    

写真・文/小松 男
※この記事はGarageLife75号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためには可能な限り外出を控え、人との接触を避けることが最重要だと言われています。私たちバイク乗りも、これから愛機に乗り続けるためにも不要不急な外出を自粛し、自宅待機することが望ましいと考えられます。
そこでバイクブロスマガジンズでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる記事として、バイクのガレージライフを楽しむオーナーインタビューを紹介させていただきます。来たる新型コロナウイルス危機克服の日に向けて、憧れのガレージライフに夢を馳せていただければと思います。
【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】祖父から譲り受けた長屋をベースに、バイクライフを満喫できるガレージハウスへと大幅リノベーションのメイン画像

I邸 愛知県 設計/榊原デザイン一級建築士事務所

昨今増えているリノベーション案件だが、決してコストを抑えられるものではなく、むしろ建て直した方が安く上がるという例も多々ある。しかしそれでも古くからあるものを大切にするという行為そのものに魅力を感じてしまうのも事実だ。既存のものをよりよくするという観点からもリノベーションによるガレージ造りは、もっと増えていいと思う。そんなことを心から思える素敵なガレージハウスを紹介しよう。

長屋という独特なスタイルを活かしつつ、
バイクのある生活を満喫できるガレージに。

トライクやミニカーなど一部の極端なモデルを除けば、バイクというのは大型車であってもクルマよりもサイズは小さいものであることもあり、維持費的に見てもたいていの場合クルマと比べれば抑えられるということから、複数台所有しているという愛好家が多くみられる。今回取材に伺ったIさんも、そんな多数の車両を所有するバイク乗りの一人だ。

「19歳の時に中型免許を取得してからずっとバイクに乗ってきました。バイクは種類によって全く別物の性格を持っているノリモノなので、スーパースポーツからオフロードまで様々なモデルに乗り継いできたのです」と話すIさんの手元にはいつも数台のバイクがあり、さらにバイク好きが高じて、いつしかバイクと共に生活がしたいと思うようになっていった。その結果、以前は店舗付き住宅を借りて、1階の店舗部分をバイクガレージとして活用して生活をしてきた。

そんなある日、祖父が暮らしていた長屋を譲ってもらうことになった。そのまま住む予定はなかったため、家を改築してくれる建築事務所を探している際、今回リノベーションを手掛けた『榊原デザイン一級建築士事務所』に出会うこととなった。

「もともとガレージハウスを希望していたこともあり、そういったものに長けた人を探していました。工務店巡りもしましたが、こちらの話を理解してもらえませんでした。その時に知った榊原さんの手掛けた物件は“LDK+G”、つまりガレージをリビングなどと同じく生活の場の一部とするもので、私がイメージしていたものと一致したのです。バイクのことも良く知っており、安心して設計を任せられました」とIさん。

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土間コンを打ち直して広々としたガレージを造り上げた。ポイントは鉄骨でフレームを組んだことにより柱を撤去出来たところで、クルマも格納可能なスペースとなっている。

中に入ると約25㎡の広々とした土間ガレージがあり、その奥にリビングなどの生活空間が繋がっている。「建て直しをするとなると、再建築の際もっと小さいものとなってしまうことと、古民家というある種特殊な建物の利点を活かすようにリノベーション設計することにしました。なにせ古い建物なので、図面など残っておらず、構造計算を第一に考えて進めて行きました」と設計した榊原さんは話す。

年代物であるがゆえに、スケルトン状態にすると朽ちている部分や傾いている箇所も見つかってきたため基礎からしっかりとやり直すことになったわけだが、中でもポイントとなったのは強度を確保しながら広い空間を実現するために、鉄骨を組んだことだろう。

Iさんは「まず自分が楽しむためのガレージハウスということが大前提だったのですが、ゆくゆくもしかすると他に引っ越さなければならない日がくるかもしれません。そのような時に貸すことや売却できるように、他の人が魅力的に感じてくれるようなガレージハウスにしたかったのです。ガレージ部分は間口が4.55m、奥行きは6m程あるので、クルマも入りますし、広々とした土間を使ってカフェや、アトリエとすることもできるでしょう」とも話す。

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リビングとガレージの一体感。これこそが榊原デザイン一級建築士事務所が掲げるLDK+G(ガレージ)のスタイルであり、Iさんが求めていたガレージハウスなのである。

正面入り口から一番奥へは直線で10mの距離が取られており、奥行感が持たされている。これは趣味である射撃のレーン設置を想定したものだとか。リビングキッチンからガレージへかけての一体感が特徴的だ。採光用の天窓も設置されているため、暗いイメージがないのも良い。

2階はベッドルームとされており、構造体を現しで使用しているのもいい雰囲気だ。大々的にリノベーションを施してはいるのだが、残せるものは残して活用することが細部からわかり、そうしたことで昔ながらのスタイルとモダンなものが上手く融合していることが伝わってきた。

リノベーションによって誕生したこのガレージハウスは、現在はいつもバイク仲間のたまり場となっており、メンテナンスや談笑を楽しんでいる。この家は人が集まることで完成するのだとIさんは話してくれた。

LDK+ガレージという建築事務所の提案が、
オーナーの心を動かす要因となった。

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昔ながらの長屋がリノベーションベースとなった。下の写真と比べてみると、正面の壁はデザインを変更するため、すべて撤去された後に作り直していることが分かる。

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バイクを出し入れするために開口部を広く持たせなければならないという問題は、引き戸を採用することでクリアしている。以前の面影も残しつつバランスよくまとめた。

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夢だったバイクと暮らす家を実現したIさん。バイク仲間も頻繁に訪れるこのガレージハウスは、人が集まることで本来の姿へとなるのだと話してくれた。

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ガレージの一角には水場が用意されているほか、バイクのメンテナンス用品なども置かれている。ガレージがあればバイクいじりも思う存分楽しむことができるのだ。

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リビングとガレージとは引き戸で仕切ることができる。冷暖房の効きも考慮し、普段ひとりでいる際には閉じていることが多いが、ガラス戸なのでガレージとの一体感は損なわない。

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ガレージの一角に置かれたモデルガン。射撃の趣味を持つIさん。後々レーンを備えることも念頭に置き、ガレージから家の奥まで直線距離で10m障害物なく確保している。

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左上/左右に窓を持たないため、採光用の天窓を設置している。左下/家をスケルトンにした際に、壁に画が描かれているのを見つけた。それをポイントとして活かしている。右/ガレージの天窓は上階のベッドルームと繋がっており、ロープで行き来が可能。ガレージのストーブを使うと、熱が上がってくるため家じゅうが暖かくなるとか。

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階段はそのまま、手すりは廃材を再利用している。さらに壁にクロスを組み合わせることで、新旧の良いスタイルを活かすことができている。

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2階の天井は構造の梁などを現しにしている。シーリングファンを設置することで室内に空気の流れを作り、年中快適に保つことができる。

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ガレージの上部は広々としたベッドルームが設けられた。リノベーション特有の新しいものと以前から変わらないものそれぞれの良さが表現されている。

■OWNER'S CHECK
●一番気にいっているところは?
射撃ができるほどの直線距離を持ち、その間に障害物なく繋げたリビングとガレージ。
●ちょっと失敗したところは?
床暖房は入れた方が良かったかもしれません。
●次の夢はなんですか?
ネコ好きのパートナーを見つけること。
●読者へのアドバイスを!
榊原デザインをお薦めします。内覧に来てください。

■PLANNING DATA
所在地●愛知県
延床面積●90.2m²
外壁仕上げ●ガルバリウム鋼板、サイディング
内装仕上げ●クロス、板張り、構造あらわし
竣工●2017年2月
愛車●BMW Motorrad・R1200GSA、ホンダ・VFR750、スズキ・RMX250R、ヤマハ・セロー225など

■設計
榊原デザイン一級建築士事務所
愛知県東海市大田町堀切60-1
phone/050-5881-8919

ライター プロフィール
小松 男
BMWバイクス/DUCATIバイクス/Gooバイクなどの雑誌編集長を務めた後、フリーランスエディターへ転身。国内外ブランドを問わず、大型クルーザーからEVスクーターまで、2輪の乗り物ならば何でも乗りたがる性分の元祖雑食系。広く深くがモットーで、他人からは助平な性格と言われることもしばしば。出不精かつ出たがりという二面性を持つ。

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