スぺシャルインタビュー・インターンシップ制度で来日! TECHNIXでサスペンションのノウハウを学ぶフェリペさん

掲載日:2019年11月05日 フォトTOPICS    

協力/TECHNIX
写真・文/バイクブロス・マガジンズ編集部

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インドネシアから来日
車とバイクが大好きなインターンシップ生

埼玉県春日部市にある、バイク用サスペンションのチューニング・メンテナンス・オーバーホールを手掛けるサスペンションのプロショップTECHNIX(テクニクス)をご存じだろうか? 前出のとおり、サスペンションの知識と技術を持つスペシャルショップであり、TGRという足回り中心のパーツブランドも展開している。

今回、そのTECHNIXにサスペンションの取材ではなく、インドネシアからフェリペ・ユオノ・ザッカリア(Felipe Yuwono Zacharias)さんというインターンシップ生が来日しているということで会いに行ってきた。

そもそも、インターンシップ生って何をしているのだろうか? それにサスペンションプロショップと海外からのインターンシップ生というのは、どうも不思議な組み合わせに感じて、どういったことなのか興味津々だ。そんなわけで、TECHNIX代表取締役の井上さんとインターンシップ生のフェリペさんに伺ったお話を紹介します!

日本の中小企業とインターンシップ生
双方に良い点がある制度があった

インドネシアから来日し、9月19日からインターンシップでTECHNIXのR&D部門に配属されているフェリペさん。ではそのインターンシップってどんなものなのだろうか?

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左がTECHNIX代表取締役の井上さん、右がインドネシアからインターンシップで来日しているフェリペ・ユワノ・ザッカリアスさん。

井上さん――うちはTECHNIX ASIAがタイにあるんですけど、その関係でジェトロ(日本貿易振興機構)に行ったりもしてたんです。そこで経済産業省がやっている、日本の中小企業のグローバル人材不足を課題とした「国際化促進インターンシップ」という制度があるよって教えてもらったんですよ。日本の中小企業が開発途上国のインターンシップ生を招く制度で、話を聞いているうちに「面白いな!」と思ってやることにしたんです。日本企業の希望とインターンシップ生の希望をあわせてマッチさせてくれるんですよ。

TECHNIXとしてはインターンシップでの出会いやその国の知見を得ることで今後のビジネスに活かしたい。だから受け入れの希望もタイかインドネシアの人で、できればバイクに興味があればいいなと思ってました。それに会社のスタッフにとっても外国の人と仕事をすることから学ぶことも多いと思って。例えばホスピタリティ、それに人にものを教えるっていうことも、言葉の問題もあるから「いかに丁寧に教えられるか」とか。あとは単純に異文化コミュニケーションも大切だなと。だから、今後のビジネスと社員の育成を考えての「面白いな!」です。

編集部――なるほど。ではフェリペさんはどういった経緯で日本のTECHNIXをインターンシップ先にえらんだのですか?

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フェリペさん――私は22歳で、2019年の8月に大学を卒業したんですが、他の国で色々な経験をしてみたかったんです。日本のバブルの時に大きく発展した経緯にも興味があったし、文化や風景にも惹かれて4月の卒業旅行で一度日本に来ました。それに、私の趣味は自動車やバイクなんですけれど、日本は自動車やバイクのビジネスが発展していることもこのインターンシップに申し込んだ理由のひとつです。

大学でITを専攻していたので、最初はそっちの方向でインターンシップ先を選ぼうと思っていたんですけど、バイク関連の受け入れ先(TECHNIX)があると知って「バイク好きだし、楽しそうだな!」と。それに「これに行かない理由がない!!」と思いました。専攻より趣味が優先になって行き先を決めました(笑)。

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井上さん――そうそう! フェリペは本当に車もバイクも詳しいんだよ。この間東京モーターショーに行った時も新しいバイクも古いバイクも知っていて、詳しくて驚いた。インドネシアは大型バイクはそんなに走ってないのに知ってるんだよ。

フェリペさんーー車もバイクも好きだから!

実際のインターンシップってどんなことをやっているの?

9月19日から11月26日までTECHNIXでインターンシップ生として働くというフェリペさん。取材当日はすでに日本滞在から1カ月が経過していたが、いったいどんな仕事内容を経験したのだろうか?

フェリペさん――今はKLX230のサスペンション開発とテストに参加しています。

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井上さん――ちょうど10月にKLX230が発売になったから、そのバイクのサスペンション開発をうちのスタッフと一緒にお願いしてる。彼が帰国するまでに商品になる手前までやってもらおうかなと……。STDとモディファイしたものの比較ができるようになってほしいと思ってます。

フェリペさん――KLX230の純正サスペンションを外して、ばらして、パーツをチェックして、それぞれの寸法を測ったりしました。今はパーツを注文しているのでそれを待っています。

井上さん――滞在期間が決まっていて、本人が望んでも延長はできない。だからこそ、決まった期間に単純労働ではなくて、ちゃんと学んでなにかを持って帰ってもらうことが必要なのかなとは思ってます。

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フェリペさん――インドネシアではスクーターと小さいスポーツバイクがほとんどで、大型のバイクはあまり走ってないんです。販売はしていますが、とても高価なのであまり持っている人もいない。私は小さい排気量のバイクを持っていますが、本当は大型のバイクが欲しいから、日本では色々なバイクがみられて楽しいです。

東京モーターショーだけじゃなくて、この間はモトクロスを見にスポーツランドSUGOに行ってきました。インドネシアではサスペンションのチューニングはほとんどしないんです。みんなそのままでいいって言って。車種専用品もほとんどないので、日本にきてからたくさんのサスペンションシステムを見て驚きました。SUGOでも最新のサスペンションシステムを見ましたよ。今までは一般的なサスペンションしか知らなかったけれど、伸びるものがあったり、小さくても衝撃を吸収するものがあったり、バランスフリーのタイプがあって、本当に面白い!

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井上さん――フェリペがやってみて一番楽しかったことは?

フェリぺさん――全部楽しいし驚きの連続なんですが……、サスペンションを作るプロセスですね。とても難しいけれど楽しいです。一番難しいと思うのはセッティングで「これは良いんじゃないか」と思っても、それが皆にとって良いわけではないので、そこが難しいですね。インドネシアにいるときはサスペンションのセッティングなんて簡単だと思っていただけれど、日本にきてみたら、ダイノや試乗テストには時間もかかるし、セッティングをひとつ決めたからってそれが全員にマッチングするわけじゃないってことがわかって、「難しいけど楽しい」と思いました。

編集部――インドネシアに戻ったら、同じようなお仕事をされるんですか?

フェリペさん――いや、先ほども言ったようにインドネシアではサスペンションのチューニングはやる人がほとんどいないし、サスペンションの種類も少ないので同じような仕事は難しいかもしれません。ですが、できれば自動車業界で働きたいですね。私はITを専攻していたので自動車は全然違う業界とも言えますが、どんどん自動車業界とITは近くなっていると思ってます。今回の東京モーターショーでもそれを感じました。なので、そういった仕事ができたらいいなと。

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編集部――なるほど。最後にTECHNIXで感じたことを教えてください。

フェリペさん――TECHNIXの会社の人は優しい。この間の台風の時には、みんな「大丈夫?」「困ってない?」って連絡をくれました。それに難しいことを説明するときに、言葉が通じないと一生懸命説明してくれる。バイクに関してはみんな色んな経験をしていて知識が豊富です。サスペンションの勉強も含め毎日とても楽しいので、インドネシアに戻っても経験を活かしてがんばりたいです。

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