スクーターの利便性にアドベンチャーのアクティブさを融合させたホンダX-ADV

掲載日:2017年05月13日 フォトTOPICS    

取材・文/和歌山利宏  撮影/徳永 茂
取材協力/株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

アグレッシブなスタイリングもさることながら、スイングアームが55mm延長され、15インチに小径化された後輪に対し17インチと相対的に大径となる前輪、また専用デザインで長いスイングアームなどによって、フォルムは新しいアドベンチャーの形を思わせる。

日頃はコミューターとして楽しみ、休日はツーリングへ
ツーリングコースに未舗装路があっても通過可能だ

X-ADVは「ワクワクする気持ちを抱き、どこへでも行けるモーターサイクル」をコンセプトに生まれてきた。「平日は都会をスマートに移動し、休日は冒険へと誘うアドベンチャースピリットを持つモーターサイクル」を目指している。

シリンダー前傾角62度のOHC4バルブ745cc並列2気筒エンジンを、低重心構成の鋼管フレームに搭載し、車体レイアウトの自由度も高い“ニューミッドコンセプト”のNC750シリーズをプラットフォームとして利用。スクータースタイルのインテグラをベースとしながらも、特に車体はほとんどがアドベンチャーとして専用設計を受けている。

タイヤをブロックパターンとし、前後サスペンションストロークを150mm程度に拡大(国内仕様車は足着き性を考慮し、インテグラと同等の120mm)、ホイールベースを1,580mmへと55mm拡大、ハンドルバーはワイドに開いたアルミテーパータイプとし、ハンドル切れ角も4度大きい39度とするなど、未舗装路走破性を向上させるための変更が図られているのだ。

そして、さらに特筆すべきは、アドベンチャースピリットを強く印象付けるアイテムが随所に投入され、また、フルフェイスヘルメットを収納できるスペースを設け、ETC車載器やグリップヒーターを標準装備とするなど、利便性も高められていることである。

フォトTOPICS(写真点数/12枚)

01カラーリングはデジタルシルバーメタリックのスタンダートタイプ(写真左)と、アフリカンツインを想起させるヴィクトリーレッドのスペシャルエディション(写真右)が用意される。価格は後者が3万円高の115万円となる。

02スマートキー式を採用。スマートキーをON状態で携帯していれば、メインスイッチノブを押すことで、ノブを回せるようになる。ハンドルバーはグリップがややワイドに開いたアルミテーパータイプで、ライディングポジションもアドベンチャーらしい。

03フロントフォークは、インテグラでは正立式だったが、X-ADVは同径のφ41mmながら倒立式とされ、プリロードと伸び側減衰力を調整できる。ちなみにリアはプリロードのみの調整式で、フロントの安定感と接地感の掴みやすさに留意していることが窺える。

04フォークピッチは230mmとワイドで、存在感を演出。4ピストン式キャリパーはラジアルマウント式で、アフリカンツインから流用される。ダブルとなったディスクの外径はφ310mmと、これもアフリカンツインと同じ(ただしアフリカツインのディスクは花弁式)だ。

05スイングアームはアルミダイキャスト製の専用品で、アドベンチャー風でスタイリンシュ。クロス部が中空、アーム部はコの字断面で、軽量化を図るとともに剛性バランスも最適化される。リアサスペンションはプロリンク式。

06前17、後15インチのホイールはDID製のスポーク式で、チューブレスタイヤの装着を可能としている。リムはアルミ製、スポークはスチール製だ。また、L字バルブを採用し、日常のメインテナンスのしやすさも配慮されている。

07ウインドスクリーンはリンク式ステーによって支持され、工具を使うことなく手動で角度と高さを同時に連動させ、5段階に調節することができる。調整幅は高さ136mm、角度11度で、高速道路や街中といった走行条件、体格差にも対応できる。

08アドベンチャースタイルのメーターは比較的高い位置に置かれ、走行中の視線移動が小さく視認性も良好。バーコード式の回転計、デジタル表示の速度計、ギアポジションなど、主要情報が見やすく表示される。インジケーター類はその手前の別体パネルに設置される。

09ホールド性と居住性に富むダブルシートの下には、フルフェイスヘルメットを収納できるスペースがある。インテグラではハーフヘルメットしか収納できなかったが、X-ADVはリアホイールの15インチ化やロングスイングアーム化によって、大容量化が可能になった。

10左右グリップにはナックルガードが装備され、飛び石などから手を守ることはもとより、アドベンチャーテイストが高められている。また、風雨が手に当たらないうえに、グリップヒーターも標準装備されるので、寒い日もライダーに優しい。

11NC750C/Xに準じるコーナリング性能を備えるが、ホイールベールが大きくなったことや、相対的に前輪が大径であるため、ハンドリングは安定性重視である。だが、然るべきコントロールによって、意外なほどバイクをバンクさせずに曲げることもできる。

12普通のスクーターだと悪路にホイールが沈み込んだり、わだちに前輪を取られたりと悪戦苦闘しなければならないところでも、X-ATVは難なく走破していく。荒れた舗装路でも良好な路面追従性と乗り心地を発揮してくれる。

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