カワサキのニューモデル 『Ninja H2/H2R』 技術説明会

掲載日:2014年11月14日 フォトTOPICS    

取材・撮影・文/motortoon  取材協力/株式会社カワサキモータースジャパン

クローズドサーキット限定であり、よりピュアに性能追求がなされたH2Rに対して、公道で究極の性能を操って楽しむことを命題としたH2。本質的なエンジンやシャーシなどは同一としながらも、また異なった性格が与えられています。外観上は、LEDプロジェクターヘッドランプや大型サイレンサーが大きな相違点として目を惹きます。

ワクワクする気持ちを抱かせる技術と浪漫の結晶
カワサキグループの総力をあげた究極の1台

カワサキの新たなる挑戦が詰まった話題のニューモデル『Ninja H2/H2R』のプレス向け技術説明会が、兵庫県の川崎重工明石工場 新総合ビルにて開催されました。

「最近のバイクがどうにもおもしろくない」、「カワサキらしいユニークで個性的なバイクを出して欲しい」といったユーザーの声に応えて開発されたNinja H2/H2R。その開発テーマは“究極のロードスポーツモデル”、“全てのライダーに夢を”、そして“クラフトマンシップ”というもの。カワサキ重工グループにおける川崎重工ガスタービン・機械カンパニーや航空宇宙カンパニー、そして技術開発本部との協働によって、グループの総力をあげた1台に仕上げられています。

特筆すべきはそのエンジンです。エンジンに過給器を取り付けた“過給器付きエンジン”ではなく、あくまでも“過給エンジン”であるということ。別々に開発されたエンジンと過給器をマッチングさせるのではなく、川崎重工ガスタービン・機械カンパニーからの技術移管を受けたバイク部門のエンジン開発者が、過給器を含めたエンジンとして、ゼロから作り上げています。そのため極限まで効率化を行うことができ、インタークーラーも不要、さらに懐の深い出力特性をも実現しています。

フレーム構成においては、あえてショートホイールベース化し、チューブラートレリスフレームを組み合わせることで、外乱収束性を高めています。これによりプロライダーでなくとも安心して性能を楽しむことのできるキャパシティの広さを実現しています。

特長的なボディワークは“インテンス(激しい、強烈な)フォースデザイン”をコンセプトに強いアピアランスと機能美を併せ持ったもの。航空宇宙センターの流体解析技術を活かし、最新のエアロダイナミクスを取り入れています。H2Rでは2種のウイングによりダウンフォースを発生させ、強烈な加速で生まれるフロントのリフト量を低減。H2においては、上部ウイングのかわりにウィンカー内蔵型ミラーが装備され、そのステーを翼断面形状とし、さらに後端部にガーニーフラップを設けることで、高速安定性やダウンフォースを実現しています。

意欲的な商品企画、こだわり抜いた開発と製造工程、そしてグループの技術がふんだんにもりこまれたNinja H2/H2R。旧H2やニンジャと同様、カワサキの歴史に残る1台と言えるでしょう。

フォトTOPICS(写真点数/15枚)

01サイドビューから見ると大型化されたサイレンサー、ナンバーステーが車体の印象をまた違ったものに見せてくれます。H2Rと比較すると、ウインドスクリーンが低く抑えられているのがわかります。車両の性格や仕様の違いにあわせて、各々に最適化が図られていると言えるでしょう。

02左サイドには、一目で空気の流れがわかる大型のラムエアダクトが設けられています。機能がわかりやすくスタイリングに反映されているのもNinja H2/H2Rの特長です。特殊製法によりつなぎ目の無い一体成形を実現しており、H2Rではカーボン製が採用されています。

03H2Rで採用されていたダウンフォース発生用の下部ウイングは、H2ではオミットされました。ウィングが取り付けられていた空間には、デザインのアクセントとなるようなエッジのある小型パーツが取り付けられています。

04H2Rではアッパーカウルに印象的な大型カーボンウィングが取り付けられていましたが、H2ではミラーステーを翼断面形状として整流機能を取り入れ、ウインカー内蔵型のバックミラーが取り付けられています。

05公道バージョンであるH2では、カウル中央部にLEDプロジェクターヘッドライトが配置され、外観上の特長にもなっています。また、その両側に配されるLEDポジションランプは牙をイメージしたもの。さらにナンバー灯以外の全ての灯火類にLEDが用いられています。

06H2のテールカウルにはウインカーベースを兼ねたナンバーステーが装着されています。エッジの効いたデザインで構成され、保安部品でありながらもスタイルを崩さないデザインになっています。

07エキゾーストパイプは触媒付きとなっています。また、アンダーカウルを持たないかわりに、エンジン下部には小さな整流パーツが設けられ、熱の排出や車体下部の空気の流れをコントロールしています。

08川崎重工グループの称号をベースにデザインされた“リバーマーク”をカウル中央に配置。これは歴史的なモデルにのみ装着が許される特別なものです。ボディカラーは新開発の銀着塗装により、光の当たるところは銀色に輝き、影になる部分は黒く沈み込む、プレミアムなキャラクターに相応しいペイントワークとなっています。

09H2Rでは、アッパーカウルや大型ウイング、ラムエアダクトなど、ふんだんにカーボンパーツを採用しています。さらにレース用タイヤを標準で装着。そのほか、デュアルラムインテークやハイリフトカムシャフト、チタンエキゾーストにストレートメガホンサイレンサーなどがH2との相違点になります。

10H2Rではストレート構造のメガホンマフラーを装着しています。サイレンサー部は別体式になっているので、サーキット走行などで騒音規制に対応するための変更も容易な作りになっています。

11専用設計の星形アルミキャストホイールは、300psという高い出力にも対応する剛性の高いもの。ワールドスーパーバイクでの経験を踏まえた強度解析により、この形状が採用されました。切除加工をすることで、デザイン的なアクセントにもなっています。

12シート形状は同車ならではの強烈な加速に対応するためのものです。左右のヒップパッドは前後15mmまで調整可能で、ライディングスタイルにあわせて最適なシート形状を実現。車両の性格からH2、H2Rいずれにおいてもタンデムシートはオミットされています。

13フロントフォークには、オンロードモデル初採用となるKYB AOS-IIレーシングサスペンションが奢られます。また、オーリンズ社と共同開発したエレクトリックステアリングダンパーは、状況にあわせた減衰力を発生させることができます。

14H2Rではフロントカウルをはじめ、各部にカーボンを採用しています。またH2以上にコンペンショナルなイメージを持つことから、スクリーンの立ち上がりもより大きくされています。風を逃がさず、ダウンフォースを発生させるための細部のエッジなど、H2とは細部においても微妙な違いが見られます。

15カワサキでは初採用になるブレンボラジアルキャリパー。30mm同形4ピストンで、φ330mmのブレンボ製セミフローティングディスクと組み合わせられます。マスターシリンダーも同じくブレンボ製で、専用のラジアルポンプマスタシリンダーがチョイスされています。

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