掲載日:2020年01月26日 プロが造るカスタム
取材協力/しゃぼん玉本店記事提供/ロードライダー編集部 ※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2018』に掲載された内容を再編集したものです。
1992 年に発売されたホンダのビッグ1=CB-SFシリーズには、初代SC 30 (1992~1997年)、2代目SC40(1998~2002 年)、3代目SC54(2003年~)に区分できる。この3系列のうち、最も独創的な構成だったのが2代目SC40で、モノバックボーンフレームやダブルプロリンク・リアサス、対向6Pのフロントキャリパー、スイングアーム下側にマウントされたリアキャリパーなど、初代/3代目とは方向性が異なる機構を各部に採用していた。もっともそういう独創的な構成だったからか、カスタム市場におけるSC40の人気は、あまり高くないのだが……。
しゃぼん玉によるこのSC40は、各部にワンオフパーツを使って、40ならではの魅力を徹底追求。新車時から十数年に渡ってこの車両のカスタムを担当してきた滝川代表のSC40に対する印象は、こうだ。
「ノーマルのSC40はホンダらしくて乗りやすいバイクですが、車重が重め(公称装備重量は270kgオーバー)ですし、例えばカワサキのZRXやゼファーなどと比べると、操る楽しさがちょっと薄めだと思います。だからカスタムを進めていく上では、常に軽さと楽しさを念頭に置いていました」
当初はノーマルのスタイルを維持していたこの車両だが、度重なる仕様変更を経て熟成が進んだ現在は、リアのダブルプロリンクを廃し、フロントには倒立フォークを採用。ハンドルはバーからセパレートに変更されている。
「オーナーさんはこの車両でサーキットも走るのですが、本気でコーナーを攻めると、ダブルプロリンクはリアまわりの動きが分かりづらいんですよ。倒立フォークとセパハンも、フロントの挙動を分かりやすくするためですが、この2点では倒立フォークありきで、その良さを引き出すためにセパハンにしたんです。逆にライダーの上半身が起きるバーハンドルのままでは、倒立フォークが必要とするフロント側荷重が得られなかったと思います」
エンジンを除くほとんどすべてに手を入れた結果として、ノーマルでは味わえないライディングプレジャーを獲得したこのSC 40だが、オーナーさんと滝川さんのカスタムプロジェクトは現在も進行中。次なるテーマとしては、フレーム剛性を高めるカーボンドライプロテック加工を予定している。