ホンダ VFR750F カスタム写真
ホンダ VFR750F カスタム写真

ホンダ VFR750F

掲載日:2011年06月22日 プロが造るカスタム    

1986年のウェイン・レイニー用
“インターセプター”を忠実に再現

アメリカのAMAスーパーバイクがレギュレーションを変更し、排気量の上限を'80年以降の1025㏄から750㏄としたのは、'83年のことだ。世界選手権TT-F1の規定変更に連動したもので、この年はホンダが当時直4に代わる新しいアイデンティティとして力を入れていたV4エンジンを持つ水冷VF750Fを大量投入した。ライダーにはマイク・ボールドウィン、フレディ・スペンサー、フレッド・マーケルなどを擁していた。そしてこの年その万全のホンダを打ち破ってチャンプを獲得したのは、カワサキの空冷GPz750に乗るウェイン・レイニー。ここでカワサキに3年連続('81~'83年)となるタイトルをもたらしたレイニーは、いったんWGP250に参戦した後に'86年からAMAホンダに移籍、VF750Fの後継機であるVFR750F(北米名は変わらず“インターセプター”)でシリーズを戦うことになる。

 

そしてこのVFR750Fカスタムは、まさにその'86年のレイニー車をレプリカしたという1台だ。各種資料を頼りに各部の仕様を選択し、「とにかく迷ったら、レイニー車と同じにしてほしい」という、オーナーからの強力なリクエストの元で製作はスタートした。

 

興味深いのは、装着するパーツをあえて当時モノに限定しなかったことだろう。このため各部にはワンオフパーツやホンダ系純正流用パーツも数多くフィッティングされているのだが、その仕上がりは極力実物に近づけてある。これは実のところ、外観、コスト、耐久性、パーツ供給などの面から見てもメリットが大きい。飾っておくだけならいざ知らず、ストリートを走る車両にとって、このあたりは非常に重要なところだ。本物と同じものというものにも魅力はあるが、ここで優先されたのは形同様に、走ることだった。

 

とは言え、“作れば何とかなる”的に製作が容易だったかというと、そんなことは決してなく、フローティングロッド装着のためのスイングアームピボットのボックス加工、HRCタイプのワンオフラジエーター、母材に2本ラインを入れたスイングアームなど、オリジナル追求のためにかけられた手間は、文字どおり膨大。純正パーツの利点と、ワンオフならではのディテールが、バランス良く融合された1台なのである。

VFR750Fカスタムの詳細写真は次のページにて

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