ハヤシカスタム / RZ250 カスタム写真
ハヤシカスタム / RZ250 カスタム写真

ヤマハ RZ250

掲載日:2011年02月09日 プロが造るカスタム    

欧州製スペシャルフレームを
ベースにして楽しむカスタム

ハヤシカスタム / RZ2501970年代から1990年代にかけて、さまざまなスペシャルフレームビルダーが活躍した。リックマン、ゴディエ・ジュヌー、モトマーチン、エグリ……。独自の理論に基づいた構成のフレームに、多彩なメーカーのエンジンを積んだスペシャルモデルも多く世に出てきた。日本のモリワキや、完成車メーカーとなったビモータもそのひとつだと言っていいだろう。

 

この車両も、そうしたフレームビルダーによるフレームが使われている。オランダのニコ・バッカー(NICO-BAKKER)によるアルミ製ダブルクレードルだ。ベースとなったのはヤマハのRZ250なのだが、こちらがベースと言うよりは、RZ250のディメンションを生かしたクレードルワークのフレームにRZの水冷パラレルツインエンジンを積んで、各部はレーサー用やアフターマーケットのパーツで仕立てたフルスクラッチマシンと言ってもいいくらいに作り込まれている。

 

まるでインポートモデルにしか見えないこのマシンの各部を見てみると、確かにRZのパーツはパワーユニットのみ。フロントフォークや、前後17インチのマルケジーニ3本スポークホイールは'80年代当時RZの兄弟機と言えた、同じヤマハの市販レーサー・TZ250のパーツが使われている。往年のカフェレーサー的フォルムのカウリングもTZ用をベースにしながらヘッドライト等が着くように加工したスペシャルだし、ほかにもオーリンズ・リヤショックやフィルター仕様のミクニ製キャブレター、ブレンボの前後ブレーキまわり等が惜しみなく使われている。カウルサイドに書かれた“SUPER RZ”は一見ベース車を不明としている特殊な構成の中に、ベース車がRZであることを唯一主張している部分とも言えそうだ。

 

製作には約5年をかけたそうだ。とは言え、フレームをオーダーしてから5年も待ったというわけではなく、オーナーが思い描いたラフスケッチどおりに完成させるべく、コツコツと仕上げていった、その時間がそれだけあったということ。最大の特徴でもあるフレームは構成からフィニッシュまで美しく、フロントフォークのインナーチューブには、この車両の製作当時(1990年代中盤)にバイク界に登場したチタンコーティングが施され、さらに高級感を漂わせている。手がけたのは同じヤマハでもSRやSRXといった4ストロークシングルに造詣の深いハヤシカスタム。当時はFZR1000などにもニコバッカーフレームを投入。今でももちろん高い総合力とバランス、そして日常力のあるカスタムを手がけている。

 

総額で300万円近くかかったという費用とハンドル切れ角の少なさにより、思わず市街地走行をためらってしまいそうだが、このRZは見ているだけでも十分に楽しいし、オーナーはそれも計算に入れていたはず。スペシャルビルダーのフレームは、その芸術的な美しさだけでなく、理論をしっかり形にしたところにも、高い評価がされていた。そのことも合わせてこのマシンは、高い思い入れと気合いの入った、まさにスーパーなRZだと言っていいだろう。

ハヤシカスタム RZ250の詳細写真は次のページにて

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