【ホンダ CB1300スーパーフォア 試乗記】ホンダのフラッグシップ・ネイキッドが数々の電子デバイスを手に入れて生まれ変わった

掲載日:2021年11月04日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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HONDA CB1300SF

ホンダCBシリーズのフラッグシップとして安定した人気を誇っているのがCB1300スーパーフォア(CB1300SF)だ。長きにわたる販売期間で何度も改良と熟成が図られているが、2021年モデルでは電子制御スロットルを採用。あわせてライディングモードやクルーズコントロールを搭載するなど大幅に生まれ変わったモデルの魅力と実力を、実際に試乗して確かめてみた。

ホンダ CB1300スーパーフォア 特徴

電子制御スロットルとともに
ライディングモードやクルーズコントロールも装備

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「水冷・4サイクル・DOHC・直列4気筒エンジン」「セクシー&ワイルドなボディ」「ライダーの心を魅了する感動性能」……こんなコンセプトでホンダが進めた『プロジェクトBIG-1』の成果として結実したのが、1992年に登場したCB1000SFだ。その後継モデルとして排気量アップやフレーム形式の変更などを受けて1998年に誕生したのがCB1300SFとなる。

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バイクらしいスタンダードなスタイルと迫力のある車格、強力なパワーに扱いやすさを併せ持ったCB1300SFは人気モデルとなり、2003年にはフルモデルチェンジを受けてエンジンが変更された。その後もマイナーチェンジを繰り返し、ミッションや吸排気系、足周りなど各所に手を加えられて進化と熟成を遂げつつ、ホンダを代表するロングセラーモデルとなっていった。2017年にはヘッドライトがLED化され、グリップヒーターやETC車載器が標準装備となった。

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では2021年モデルはどこが変わったのだろうか。一番の大きな変化は、電子制御スロットル(スロットルバイワイヤ:TBW)を採用したことだ。従来よりも高精度な制御が可能になり、スムーズかつダイレクトな操作感を実現した。同時に4-2-1だったマフラーの集合方式を4-1にするなど吸排気系を変更することで、ユーロ5相当となる平成32年排出ガス規制への適合もクリア。あわせて最高出力は従来モデルより3PSアップの113PS、車両重量はマイナス2kgの266kgとなった。

TBWの採用にともなって搭載されたのが、ライディングモード選択機能(スタンダード、スポーツ、レインの3モード)とクルーズコントロール機能だ。また、ホンダセレクタブルトルクコントロール(いわゆるトラコン)も装備され、一気に現代的な電子制御デバイスが導入されたことになる。ちなみに純正アクセサリーとして上下対応のクイックシフターもオプションで用意されている。

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ほかにもシート下にUSBタイプCのアクセサリー電源を備えるほか、従来同様の5段階に調節できるグリップヒーター、アシスト&スリッパークラッチ、ETC2.0車載器やセンタースタンドを標準搭載するなど、快適で便利なアイテムを装備している。

ホンダ CB1300スーパーフォア 試乗インプレッション

素直なハンドリングと調節自在の足周り
大柄なボディを軽快に振り回す快感

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CB1300SFはネイキッドモデルだが、1284cc水冷インライン4エンジンを抱くボディは大柄で迫力がある。車両重量も266kgとそれなりに重く、取り回しには少々気をつかう。一方でシート高は780mmと低めなので足つきは良好な部類で、その点は安心だ。ポジションは無理のない自然なもので、ハンドルからシートまでは意外とコンパクトな印象であり、リラックスしたライディングポジションが取れる。

スターターボタンを押してエンジンを目覚めさせると、野太く迫力のある低音が周囲に響く。そのままスロットルを軽くスナップすると、フォン!という4-1となった集合管ならではのサウンドを響かせる。これならノーマルで十分じゃないか? と思わせてくれるぐらいいい音を聞かせてくれるのだ。

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ギヤを1速に入れ、走り出すと従来よりもアクセル操作が軽くダイレクトな印象だ。これはやはりTBWの恩恵だろう。そして、取り回しでは重いな、と感じていたのに、走り出すとそれを感じさせないくらい車体の挙動が軽いのだ。従来モデルでも同じ感覚はあったが、TBWの採用でピックアップが鋭くなったのか、軽快感が増したように感じる。混雑する街中でも、低速安定性の良さと軽いクラッチのおかげで疲れにくいのは以前と同様だ。

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ライディングモードについては「スタンダード」と「スポーツ」では明らかに違う、というほどパワーの出方の差は感じられないが、「スポーツ」のほうがより操作に対するレスポンスが鋭い感覚はある。そのためワインディングだけでなく、街中でキビキビ走りたい時や、高速道路でここ一番の追い越し加速が欲しい際などは重宝するだろう。また、今回は雨中走行を試せなかったが、「レイン」モードはトルクコントロールと合わせ、滑りやすい場面での安心感を飛躍的に高めてくれるはずだ。

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高速道路では余りあるパワーを活かせば簡単に異次元の世界が開ける。が、そこまで目を三角にして走らなくても、チョイとスロットルを開けるだけで車列をヒラリと簡単にクリアできるので、それだけでも爽快だ。

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ネイキッドなので体に風を浴びるのは避けられないが、新たに装備されたクルーズコントロールを活用すれば、今までなら風を受けながら頑張ってキープしていた右手を適度に休ませることができるため、ロングツーリングなどでの疲労度はかなり少なくなるだろう。グループツーリングでクルーズコントロールを装備したツアラーと一緒に走る際にうらやましく思っていた人も、これからは楽になるはずだ。

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CB1300SFの最大の楽しみは、デカいバイクを手なずけてヒラヒラと軽快に乗りこなすところにあると思うのだが、ワインディングを走ると、それを実感することができる。バイク造りのお手本のような素直で扱いやすいハンドリングと、軽いながらもしっとりと落ち着いた足回りの挙動は、初心者からベテランまでを満足させられる質の高い走りをもたらしてくれる。もともと走る、曲がる、止まるというバイクの基本がきっちりと体現できているマシンだが、安全面で大きく向上した装備によって、よりハンドルやブレーキ、スロットル操作に集中でき、安心して走りを楽しめるようになった。CB1300にはオーリンズサスとブレンボのキャリパーなどを装備したSPというプレミアムグレードもあるが、スタンダードモデルでも十分満足できる素晴らしいマシンだと思う。

ホンダ CB1300スーパーフォア 詳細写真

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灯火類はすべてLEDを採用。CBの大型モデルのアイコンのひとつであるダブルホーンや、ホンダ伝統のウインカーポジションも継承されている。

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アナログの2眼の間に液晶を備えたメーターパネル。シンプルに見えて、メーター内にはグリップヒーターやクルーズコントロール、ETCなどのインジケーター、液晶部分にはライディングモードや燃料計、時計などを効率よく配している。

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ハンドル左側にはハザードや5段階に調節できるグリップヒーターのスイッチを装備。ヒーター内臓だがグリップはスリムだ。

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左側スイッチボックスの前方にはライディングモードの切り替えスイッチがある。油圧式のクラッチレバーは調節機能を備える。

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ハンドル右側にはスターター/キルスイッチとクルーズコントロールのスイッチが配されている。レバー側にはトルクコントロールのオンオフスイッチがある。フロントブレーキレバーは6段階に調節可能。

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2021年モデルはマフラーの集合方式が4-1となった。試乗車のカラー「パールサンビームホワイト」は赤いフレームにゴールドのホイール&カバーが組み合わされる。

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シートは一体式で肉厚は十分。表面に滑り止め加工がされ、股の内側部分はそぎ落とされている。グラブバーには荷掛けに便利なフックも備える。

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シート下は最近のバイクには珍しい、11Lものスペースがある。前端の箱は標準装備のETC2.0車載器だ。

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シート下には防水キャップを備えた、USBタイプCのアクセサリー電源を装備。白いコードは付属品ではなく撮影用に接続したもの。

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シートの裏側に収納されている車載工具。ヒューズクリップやリアサスのプリロード調整工具などひと通り揃っている。ドライバーはかなり長いタイプだ。

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左側グラブバーの下部にはプッシュ式のヘルメットロックを装備。カバーがあるため、泥汚れなどから鍵穴を守ってくれる。

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センタースタンドを標準で装備している。チェーンや後輪のメンテナンスに便利だ。

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フロントブレーキはダブルでディスク径310mmのフローティングタイプ、対向4ポッドキャリパーを備える。タイヤはブリヂストンのBATTLAX T30 SPORT TOURINGを履く。

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マフラーは1本出しでデザインは比較的大人しいが、音はかなり迫力のあるもの。リアブレーキはディスク径256mmのシングルピストンキャリパーとなっている。

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リアサスはリザーバータンクを備えたツインタイプ。2段スプリングを採用したショックユニットは伸び側15段、圧側4段のダンピングアジャスターを装備している。

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テール&ブレーキランプはLEDを円形に配置。CB1300シリーズ伝統の丸目2眼のイメージを踏襲している。

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ライダーは身長170cmで足は短め。CB1300SFのシート高は780mmで、片足だと母指球までしっかりと足が着き、両足でもつま先がしっかりと接地する。このクラスのマシンとしては良好な足つきだ。

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