【ホンダ PCX160 試乗記】人気の軽2輪スクーターがフルモデルチェンジ!排気量アップ&各部がさらに進化して登場

掲載日:2021年05月11日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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HONDA PCX160

2010年に登場したPCX(125cc)は瞬く間に人気モデルとなり、それをベースに軽2輪クラスとして2012年に発売を開始したのがPCX150だ。高速道路に乗れるなど利便性が高いことから、こちらも125cc版と同様の人気機種となっている。このPCXシリーズは2021年にモデルチェンジを行い4代目となった。今回は排気量アップを果たし、モデル名も新たになったPCX160に試乗し、その特長や魅力を探ってみた。

ホンダ PCX160 特徴

エンジン、フレームともに新設計
細かい部分も生まれ変わった

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PCX160になって一番のトピックは、何といっても排気量のアップだろう。車名は150→160となっているが、実際の排気量は149→156ccで、7cc増となっている。エンジンは新設計で従来の2バルブから4バルブとなり、名称も「eSP+」となった。ボア×ストロークは57.3×57.9mm→60×55.5mmとショートストローク化され、最高出力も15ps→15.8psへとわずかではあるがアップしている。

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そのエンジンが載るフレームも新設計で剛性バランスを保ちつつ軽量化を達成。リアタイヤは14→13インチに、タイヤ幅は前後ともワンサイズ太めに変更された。またリアブレーキは待望のディスクとなり、あわせてフロントのみ作動の1チャンネルABSを装備したほか、ホンダセレクタブルトルクコントロール(いわゆるトラコン)を搭載するなど、足周りにも大幅に手が入っている。

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装備面においても各所でブラッシュアップが行われている。ラゲッジボックスの容量を28→30Lへとアップ。内部の段差が少なくなったことで、使い勝手もかなり向上した。また、インナーボックス内のアクセサリー電源もシガーソケットからUSBタイプCへと変更された。このほかフットスペースも前方と外側方向にそれぞれ30mmずつ拡大され、乗車時の足の置き場の自由度が高まった。また、ハンドルホルダーがラバーマウント化され、手に伝わる振動を大幅に軽減したという。

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エンジン排気量以外は125、160ともに同じ仕様での登場だ。今回のPCXシリーズは、かゆい所に手が届くどころか、前作の不満点をほぼ解消した、とても満足度の高いマシンとなっていると言えるだろう。

ホンダ PCX160 試乗インプレッション

よりパワフルで安定感のある走りを実現
高速に乗ってツーリングもOK

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PCX160のシート高は764mmで、前モデルと変わらない。車両重量は1kg増えたがボディサイズもほぼ同じ。車両を押し引きする際の取り回しやセンタースタンド掛けなどはとても軽く、気軽に乗れそうなイメージはまさに125ccクラスだ(実際のボディサイズも125版のPCXと同じ)。

エンジンをかけ、ゼロからのスタートダッシュをしてみると、明らかに前モデルのPCX150よりも力強さがある。いきなり最初にガツンと来るような速さはないが、加速する際の余裕とスピードが上がるにつれてスーッとエンジンが伸びていく様が、明らかに新型のほうが優れていると感じる。

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少し前に新型のPCX(125cc)にも試乗したが、それに比べても当然ながら加速は鋭い。ゼロからのスタートでは、最初のうちは「160が圧倒的に速い」という印象はないが、スピードが乗るにつれて160のエンジンの伸びが目立ち、一般道の法定速度に達した少し先の部分では、排気量の差を実感することになった。

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エンジンの力強さとともに同時に印象が強かったのが、乗り心地の良さだ。これはリアタイヤを14→13インチとし、幅をワンサイズアップしたことによりエアボリュームを増したことと、リアホイールのトラベル量が10mm増えて95mmになったこと、さらにハンドルがラバーマウントになったことなどの相乗効果によるものだろう。低速から高回転までスムーズに吹け上がるエンジンは、それ自体の振動も少なく、前後サスのショック吸収性もいいので、長時間乗っても疲れの少ないライディングが可能なはずだ。リアブレーキがディスク化され、よりコントロールしやすくなったことと、トラクションコントロールの導入で安心感が高まったことで、気をつかう場面が減ったことも大きい。

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高速道路に乗り入れてみても、振動の少なさや車体の安定感は抜群だな、と感じた。特に横風に対しては、スクリーンが短いこともあってあまり影響を受けないイメージだ。スクリーンの長さには賛否両論あると思うが、普段の快適性のために純正やサードパーティのロングスクリーンを付けるもよし、スポーティさとリアルな視界の広さを楽しみたいならノーマルのままでもOKだと思う。

無理なく巡航できるのは90~100km/h前後で、走行車線を走り、時おり現れる遅い車を追い越すぐらいは全く問題ない。アクセルを全開にすればメーター読みで115km/hほどは出るが、エンジン全開で走り続けるのはマシンにもライダーにも余裕がないので、新東名などでも左側の走行車線をキープすることになるだろう。

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一般道では気にならなかったサスペンションだが、高速道路のコーナーで少々荒れた部分にさしかかった際には、もう少し踏ん張りがきくといいな、と感じる場面もあった。現状リアサスに調整機構はないが、せめてPCX160だけでもプリロード調整ができると、さらに快適性が上がるはずだ。

任意保険のファミリーバイク特約は使えず割高にはなるが、高速道路を走れるのは行動半径をかなり広げてくれるし、ここ一番という際には心強く、メリットはかなり大きい。通勤や通学でほとんど高速に乗らない、という人は125ccでいいと思うが、同じ軽2輪からの乗り換えやツーリング好きのライダーなら、PCX160を選べば後悔することはないだろう。とても完成度の高い、所有欲をくすぐるマシンだ。

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ホンダ PCX160 詳細写真

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フロントマスクのデザインは前モデルより少々角ばったイメージとなった。灯火類はすべてLEDで、ハイビーム時には中央の大きな部分が発光する。

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横に広いメーターパネルは多機能ながら表示がうまく整理され、非常に見やすい。新たにトラコンのインジケーターとバッテリー電圧低下警告灯が追加された。

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ハンドルホルダーがラバーマウント化されたが、操作性に違和感はない。手に伝わる振動はかなり減った印象だ。

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左側のハンドルスイッチはウインカー、ホーン、ヘッドライトの上下切り替えとなっている。ホーンボタンが中央にあって大きいのはホンダ独自の仕様だ。

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右側のグリップにはアイドリングストップのオンオフとハザード、スタータースイッチが配されている。

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ホンダのスクーターにはかなり普及してきたスマートキーシステム。鍵の抜き差しが不要なのは慣れるとかなり便利だ。

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フロントインナーボックスは500mlペットボトルが収納可能なほか、USBタイプC、出力3Aのアクセサリーソケットを備える。

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給油口はセンタートンネルに配置。カバーを開けるのはメインスイッチ脇のボタンで。キャップを置くスペースがあるのが意外と便利だ。

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フットスペースは前方と外側にそれぞれ30mmずつ拡大された。数値はわずかだが、足を置く自由度はけっこう広がったと感じる。

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タンデムステップは収納時に車体と一体化したデザインだ。足を置く面積も結構広い。

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シートは前後で段が付けられ、表皮も変えられている。前席はライディング時、お尻をしっかりとサポートしてくれる。

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シート下ラゲッジの容量は28→30Lにアップ。内部の段差が大幅に減り、使い勝手が向上した。SHOEIのJ-FORCE Ⅳを入れても後方はかなり余裕がある。試乗車にはETC車載器が搭載されていた。

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新設計のエンジンは動弁機構を4バルブとし、ボア×ストロークもショートストローク化。吸排気効率を高め、フリクション低減も達成して高出力と環境性能を両立させた「eSP+」となった。

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ホイールも新設計で、前後ともワンサイズワイドとなった。フロントのタイヤサイズは110/70-14M/C 50P、銘柄はIRCのSCT-006だ。フロントブレーキのディスク径は220mmでABSを備える。

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リアブレーキは新型からローター径220mmのディスクとなった。リアのタイヤサイズは130/70-13M/C 63P、銘柄はIRCのSCT-007だ。

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リアのコンビネーションランプのデザインも変更された。ブレーキランプを点灯させると「X」の文字になるイメージだ。

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ライダーの身長は170cmで足は短め。シート高は764mmで前モデルと同じ。片足の場合はかかとまで接地するが、両足だと母指球あたりまで地面に着く感じとなった。

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