【ヤマハ BOLT試乗記事】 誰でも楽しめるイージーライドこそが最大の魅力

掲載日:2019年07月26日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/小松 男 写真/伊勢 悟

【ヤマハ BOLT試乗記事】 誰でも楽しめるイージーライドこそが最大の魅力の画像

YAMAHA XV950CU BOLT

毎日乗りたくなる気軽さと、
ロングライドも楽しめるパッケージング

“Ultimate Purely Bobber”(究極のボバースタイル)というデザインコンセプトの下、登場したのは2013年末のこと。それからすでに6年近くの年月が経ったのだが、今見ても色あせることのないスタイリングとして目に映るBOLTは、老若男女問わず幅広い層に支持されるロングセラーモデルだ。

そもそも足つき性の面において安心感のあるクルーザーバイクの人気は高いこともあるのだが、BOLTは北米をはじめカスタムトレンドとなっているボバーカスタムスタイルを纏っており、それが魅力を引き立てていることが挙げられる。究極の性能を追い求めるのではなく、どちらかというと“アジ”にポイントを置き生み出されたBOLTは、現代のライダーのライフスタイルにマッチしているといえるだろう。

ヤマハ BOLT 特徴

ヤマハの空冷モデルはいつの時代も支持される
それは見た目と内容のバランスのよさの現れだ

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国内の二輪車市場に目を向けると、絶対的な性能の高さを追い求めたモデルと、一方でシンプルなデザインや空冷エンジンなどで纏められたオーソドックスなモデルという二極化が進んでいる。そのような中でBOLTという存在は後者に近いものといるのだが、実は個性的な一面を持っており、それこそが人気の秘密となっている。

例えばクルーザーモデルという親しみやすさが第一に挙げられるだろう。低めに抑えられたシート高、ほどよく手前にバックセットされたハンドルバー、一見ほかのクルーザーと似ているように思えるものの、一目でBOLTだとわかるようにデザインされたシルエットなど、とにかくキャッチーなスタイルで纏められている。さらには液晶メーター、ウェーブ形状のディスクブレーキなどを採用し、“新しい感覚”も持ち合わせているのだ。

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よくよく考えてみると、SR400やXVS400(ドラッグスター400)など、ヤマハの空冷モデルはどれも息が長く、高い人気を誇るモデルばかりだ。その裏側には、スタイリングと走りの面という内容を合わせたところで、よいバランスが取れていることのほかにない。

ヤマハ BOLT 試乗インプレッション

エンジン、シャシー、足まわり、すべてにおいて高得点
優等生過ぎるかとも思えなくもない

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BOLTに搭載されるエンジンは、空冷950cc60度Vツインで、クルーザーモデルとしてはわりとスタンダードなレイアウトとされている。排気量やパッケージングだけを見て考えると、最大のライバルとなるのはハーレーダビッドソンのスポーツスター883となるのだろうが、40万円近い価格差があるので、一概に比べられるものではないと思う。実際にテストすることで、BOLT独自の世界観を持つことがわかってきた。

ボア85mm×ストローク83mmという若干ビッグボア目に設定されたエンジンは、セルボタン一つで目を覚まし、アイドリング中は空冷Vツインエンジンらしい心地よい鼓動感を得られるものだ。この振動は現在の技術をもってすれば消すこともできるだろうが、あえて残すという演出をすることで、キャラクターを打ち出しているといえよう。エンジン特性はトルクフルな設定とされており、軽いスロットルワークで約250キロの車重をものともせず前へと押し出してくれる。逆に高回転での頭打ちは早いが、このバイクはギャンギャン回して走らせるのではなく、低回転域での力強いトルクを愉しみながら走るものなのだ。

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ハンドリングに関しては、フロント19インチに対してリア16インチということで、若干ダルな方向性とされているが、直線を多用するロングクルーズでは快適そのものであるし、入力に対しての応答もいたって素直なので、気持ちよく走らせることができる。ただし一点きになったのは、バンク角が浅いため、ワインディングを攻めるような走らせ方をする際には注意が必要だ。

筆者がBOLTの試乗テストを行ったのは、これが3度目だ。最初は2013年のデビュー時、その次はツーリング記事を製作するために乗り、そして今回となったのだが、いつも高い次元での纏まりの良さにとても感心させられる。

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BOLTならば、通勤通学のように日々乗るようなシーンで使っても飽きることがないだろうし、ショートスクリーンやバッグを装備して何泊もするようなロングツーリングに出たくなる欲望にも駆られる。オートバイ本来の“楽しさ”が凝縮されているのだ。これは支持されるはずだと、BOLTに乗るたびに感じさせられる一面だ。

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そして価格を見てもそそられるものがある。新車での車両本体価格はスタンダードモデルで89万円(税抜)、足まわりが強化されたうえ特別カラーリングが施されたRスペックでも93万2000円(税抜)だ。このバイクが100万円以下で買えるということが、とても魅力的に感じられるものであるし、現在では中古車の流通もあるので、さらに初期費用を抑えて、浮いたお金をカスタムや、ツーリング代に充てるのもよいだろう。

これ一台で素敵なバイクライフをもたらしてくれるBOLT、試乗だけでもよいのでその世界観を一度体験していただきたい。

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ヤマハ BOLT 詳細写真

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リフレクタータイプの丸型ヘッドライトはリム部分にクローム処理が施されている。そのヘッドライトと、大型のフロントウインカーの組み合わせには、とてもオーソドックスな印象を受けるものだ。

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サテン調のエンドキャップとプロテクターを採用したサイレンサーは、太目なデザインとされており、強いインパクトを放つ。クローム処理ではなく、あえて金属の素材感を演出したところにBOLTらしさが感じられる。

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リアサスペンションのストローク量は少なく見えるが、厚手のシートと相まって見た目以上に乗り心地はよい。プリロード調整機構も備えているので、シチュエーションに応じてセッティングを出したい。Rスペックでは、ゴールドリザーバータンク付きのリアサスペンションが採用される。

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テールには丸型LEDランプが備わる。全体的にクラシカルなフォルムを持っているBOLTだが、要所要所に、このような現在のバイクらしいポイントを持たせているのも特徴といえる。

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21mm幅とスリムでありながら、高い強度を備えるカーボン芯線を採用したベルトドライブとなっている。面倒な注油メンテナンスが不要という点もいい。

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ライダー側とパッセンジャー側でセパレートされたシート。鞍がモチーフのデザインとされ、カスタム感が演出される。形状もよく、長時間乗っていても疲れない。

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某アメリカンブランドのバイクにフォーティーエイトという人気モデルがあるが、BOLTのタンクには排気量を示すFIFTY EIGHTと描かれている。洒落の利いたポイント。タンク容量は12Lとされている。

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クランク軸、メイン軸、ドライブ軸の3軸をコンパクトに設計し、マスの集中化を図った空冷Vツインエンジン。3000rpmという低回転で最大トルクの80Nm(8.2kgfm)を発生させる。

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ベゼルにクローム処理を施した丸型のメーターケースには、液晶メーター及び、各種チェックランプが収められている。ハンドルの手前にセットされており、デザイン面でもバランスのよさだけでなく、視認性も高い。

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19インチのフロントタイヤに、ウェーブ型のシングルブレーキディスクを合わせる。想定速度域を考えても制動力は十分なもの。現行モデルではABSが全車標準装備となっている。

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やや手前にセットバックされたハンドルバー。シートに座って手を伸ばすと自然とイージーライドなポジションとなる。ショートタイプのバックミラーも似合っている。

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チェンジレバー及びリアブレーキにはゴムカバーが備わっている。シフトチェンジなどによるダメージから靴を守るほか、タッチの向上にも一役買って出ている。

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