ホンダ VFR800X
ホンダ VFR800X

ホンダ VFR800X – 日本人向けアドベン車の真打ち的存在となるか?!

掲載日:2015年01月15日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/櫻井 伸樹  写真/徳永 茂  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

2014年10月にインターモトでベールを脱いだVFR800X。果たして4気筒を積載したミドルクラスの
アドベンチャーの実力はどんなものか。早速、オン&オフでライディングテストした。

日本人向けアドベン車の
真打ち的存在となるか?!

ここ数年、アドベンチャーやクロスオーバーと呼ばれるモデルの市場が激アツだ。アップライトなポジションや高い防風性、路面を問わない走破性、タンデムや大きな荷物も容易に積める積載性など、高い実用性に加え、ロングツーリングへ誘うマインドや無骨なルックスが人気の要因。国内外の様々なメーカーがこの種のバイクをリリースし、欧州を中心にその人気は拡がる一方である。

ホンダでもVFR1200Xを筆頭にNC750X、400Xと3機種を揃えているが、2014年10月にドイツで開かれたインターモトの会場でこの新VFR800Xを発表、このたび国内で販売が開始された。

VFR800Xといえば2011年にも「クロスランナー」というモデルが無限が販売元となり、国内限定販売され話題を呼んだが、今回のVFR800Xは同名ながらまったく違うバイクに進化している。

ベースは2014年4月に発売されたVFR800F。エンジン、スイングアーム、ラジエーター、マフラー、前後ホイール、メインフレームなどを共有しているが、800Xは前後サスペンションの延長によって専用のディメンションを得た。

ルックスの方はVFR1200Xの流れを汲みながらも、よりスマートで軽快な印象だ。シャープなフロントオーバーフェンダーとウインドスクリーン、そこから始まるタンク、シート、テールまわりなど、全体的にエッジが効いたデザインは、クールで洗練されたもの。特にLEDライトを多用したマスクは、正面から見るとVFRシリーズに共通する「X」を型どっており、ひと目でこのマシンと認識できる特徴的なもの。

実車を目前にすると同社のNC750X以上のボリュームを感じるが、1,000ccを越す他のアドベンチャーほどの威圧感はない。跨がると身長168cm体重70kgの筆者で、右足はステップ、左足は踵まで接地できる良好な足着き。シートは通常835mmの高さだが、シート下のアジャスターを工具で操作することで815mmへと下げることが可能だ。例えばトップ、パニアケースを装着して荷物を満載するときなど、重心が上がり非常に不安定になるが、そんなシーンではより足着きが良くなるこの調整システムはとてもありがたい。

ギヤを入れクラッチをミートして走り出すと、すぐにV4の鼓動が全身を包み、豊かなトルクが車体をグイグイと前に押し出す。このエンジンにはホンダお得意のハイパーVテックが搭載されて、下では十分なトルクを感じ、高回転域では爽快な加速感が楽しめる。ハンドリングもナチュラルで800ccという排気量と、大きすぎない車格のため、通常走行の範疇では実に快適だ。

せっかくの試乗機会なのでフラットダートを走ってみたところ、これが好印象。このマシンにはトラクションコントロールが装備され、滑りやすい路面ではタイヤがスリップする前に燃料が制御され、空転を避けるが、その介入が非常に分かりやすく優秀なのだ。ある程度ラフにスロットルを開けても、バイクの側で適切にコントロールしてくれるので、路面に対する怖さの度合いがまったく違う。しかもミドルサイズの車体ゆえ、多少荒れた路面でも“行ってみようか”という気になる。これがリッタークラスだと、大きな車体と車重がのしかかり、最初からそんな気が起きない。ちなみに、トラクションコントロールは手元で簡単に解除できるから、わざとリヤを滑らて走るなんて遊びも可能だ。

並み居るクロスオーバーの中でも1,000cc以下のミドルクラスアドベンチャーで、高回転まで回せるV型4気筒を搭載するのはこのVFRのみ。そこにトラクションコントロール、ABS、グリップヒーターやETC、シート高調整機能などライダーをサポートする機能も盛り沢山だ。ジャストサイズで、いろんなシチュエーションが楽しめる、日本メーカーによる日本人のためのアドベンチャーモデルと言えるだろう。

芯がズバンと入ったような高剛性だ

新型は2011年の前作に比べスリムになった印象。しかし取りまわしは244kgの車重のためか、多少の重さを感じる。だがそれは、同時にがっしりとした剛性感の証でもあった。クロスオーバーとしては珍しいアルミツインチューブフレームがその剛性をもたらすのはひと目で分かる

ホンダ VFR800Xの詳細写真は次ページにて

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