スズキ GSR250F
スズキ GSR250F

スズキ GSR250F – フルカウル装備で広がる行動範囲

掲載日:2014年11月20日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/鈴木 大五郎  写真/富樫 秀明  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

販売好調のGSR250シリーズにフルカウルモデルのGSR250Fが登場。
元々大柄でゆったりした乗り味のGSRのキャラクターが、より広いシチュエーションで深く味わえるようになった。

フルカウル装備で
広がる行動範囲

多くのニューモデル投入や販売好調という話から、バイクブーム再来を期待してしまうほどの賑わいを見せつつある250ccクラス。そんな中でスズキが2012年に送り出したGSR250は、ちょっと異質な存在だった。ライバル他車は東南アジア製で当地を中心にスポーツマインドをかき立てるようなスタイルや性能を押し出しているけれど、GSRはその路線にはない。どちらかと言えば、250らしくない大きさと重厚感を持たせ、2気筒エンジンもシャープと言うよりは厚めのトルクで幅広いシチュエーションでの使いやすさを優先する、そんな感じだった。

それはGSRの成り立ちにも由来している。中国で生産され、当地ではフラッグシップモデルであること。しかも長距離を走ることも考えている。路面もきれいなところばかりではないし、ふたり乗りの機会も多いし、荷物もたくさん積む。足まわりはあらゆるシーンを想定して世界中でテストして決められたほど。その特徴をそのまま生かしていたのだ。だから、スポーティさよりもオーソドックスな感覚が目立つ。

250クラスを感じさせないライディングポジション、まったりとした動きから来る安心感。ツーリングシーンのようなのんびり走りに良くマッチするのはもちろん、ちょっとペースを上げるような場合でも、ライダーが気後れせず積極的になれる懐の深さがあり、結果的に想像以上のスポーツ性を引き出せる。

そんなGSRに今年、ハーフカウルが装着されたSが加わった。スズキはバンディット1250でも展開するように無印のネイキッド、ビキニorハーフカウルのSがあれば、フルカウルのFが当然想定できる。それが今回、ラインナップされたのだ。

元々B-Kingイメージだったから、ネイキッドが先行したのは当然。長距離に備えてハーフカウルが付き、さらにロングを目指し、また高級感も加えるべく、フルカウルが追加されたのもある意味当然だろう。ネイキッドからフルカウルになるまでのデザインをきれいに収束させるには苦労もあっただろうが、なかなかどうして、まとまりもいい。

ライポジはネイキッドのGSRよりも少し上半身が起き、逆にSに対しては少しスポーティ。Sよりも24mm低くなったハンドルバーが自然にその位置を決めている。スクリーンもSより上端で49mm低く、10度寝かせてこれに対応している。

基本的な性能は、ベースとなるGSR/Sに準じている。エンジンサイドまでフェアリングにカバーされる恩恵か、エンジン音はやや丸みをおびた大人しい印象として聞こえる。そのエンジンは、並列ツインの適度なパルス感をともない、手応えを感じさせながらじわじわ回転を上げていく。ライバル車に比べれば最高出力は低めで車重があるので、単純に速さを求めるものではないが、出会うシチュエーションのほとんどで不足のないパワフルさがある。また、しっかり回すというこのクラスらしい楽しみ方も十分に味わえる。

ハンドリングは非常にニュートラルで、適度な手応えを感じさせながら気持ち良くリーン。操作に対する穏やかな反応は、ライダーの安心感を高める。車体のしっかり感と落ち着きやサスの作動性も、クラス水準の半歩上にあるようだ。カウルの恩恵は、スピード域が高くなるにつれてより感じられる。足元からの風の巻き込みも少なく、快適性は高い。

ポジションによるのか、重量増によるのか。ゆったりとした牧歌的フィーリングで、250ccということを忘れそうになる。GSRが元から持っていた、この急かされない感覚がフルカウルをまとったことで、より強調されている印象だ。

フルカウル化しても50万円強の低価格はもちろん強み。あとはエントリー向けだからこそということでABS仕様車を設定してもらえば、よりファンが増えるのでは。GSR250Fは、普通免許のツアラーとして多くの満足要素を持っている。

キャラクターを引き立てるフルカウル

2012年7月に発売されたGSR250は半年で年間予定台数を大きく上回るヒットとなり、2013年には中国でハーフカウル仕様を発表、2014年初頭にGSR250Sとして国内発売した。GSR250がセパレートアップハンドルで前傾も一番強く、Sがアップライト、Fは無印とSとの中間のライポジだ。

スズキ GSR250Fの詳細写真は次ページにて

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