VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ ストリートトリプルR 試乗インプレッション

トラインフ ストリートトリプルRの画像
TRIUMPH STREET TRIPLE R

トライアンフ ストリートトリプルR

インパクト大の丸目2灯ヘッドライト
トラの代名詞3気筒エンジンの魅力に迫る

1990年、ロンドン北西部の都市ヒンクレーを拠点に復活したトライアンフ社(別称ヒンクレー・トライアンフ)は、クラシック系モデルという往年のスタイルからの脱却を目標に、水冷DOHC並列3気筒エンジンを主軸として開発を展開。デイトナ、スピードトリプルといった現在のフラッグシップモデルといえる車両を生み出し、“3気筒エンジン”はヒンクレー・トライアンフの代名詞となった。今回紹介するストリートトリプルRは、人気車種デイトナのネイキッドモデルであるストリートトリプルのグレードアップ版。面構えこそスピードトリプルに瓜二つだが、実はまったくのベツモノなのだと言う。その真実を知るには、乗ってみるほかない。スポーツバイクとは無縁のバイクライフを送る僕がストリートトリプルに挑んだ。

トライアンフ ストリートトリプルR 試乗インプレッション

ベストセラーモデルのDNAを受け継ぐ
世界屈指のストリートファイター

トライアンフ ストリートトリプルR 写真

「ストリートトリプル」というネーミングと見た目から、既存のベストセラーモデルのスピードトリプルを真っ先に思い出したのだが、似ているのは表面的な部分だけでまったくのベツモノ。今回試乗したストリートトリプルR(およびストリートトリプル)のベースとなっているのは、さまざまな方面から高い評価を受けているデイトナ675だ。これまでスポーツバイクやストリートリーガルと呼ばれるバイクに一度も跨った経験がないことから、この試乗に際してかなりビビっていた。実際、目の前に現れたストリートトリプルRを見るなり、「速そう。ハンパなく」とオヨビ腰になってしまったほど。だが乗ってみてしばらくして思ったのは、自分が食わず嫌いだったということだ。スターターを押してエンジンを始動させると、軽やかな見た目のとおり、3気筒エンジンならではの軽快なエンジン音が響き渡る。慣れない前傾姿勢でポジションを合わせ、恐る恐る走り出すと、そのレスポンスの良さにまず驚かされた。走り出しこそ軽すぎる感じがあったが、時速100キロ前後に達したところで高い走行性能を発揮した。

トライアンフ ストリートトリプルR 写真

特に感心させられたのが取り回しの良さだ。街乗りを想定したスタイルにモデルチェンジしていることから、ストレートでの高速走行に秀でたイメージのデイトナ675と違い、コーナリングでのバランスや発進時のアジリティ(敏捷性)が高く、混雑することが多い東京都内を走ってもストレスが溜まることはない。比較的空いている街中を走れば、快適な気分を味わえるだろう。特に今回のストリートトリプルRは、ベースモデルよりもブレーキや足回りが強化されていることから、より攻撃的なスタイルとなっている。初のスポーツバイク体験にもかかわらずタウンユースでの不安を感じることがなかったのは、Rならでは、か。続いて高速走行テストだが、先ほどの街乗り走行から一変、デイトナ675のストリートモデルとしての顔が現れた。スピードに乗れば乗るほど3気筒エンジンの音が変わっていき、時速100キロに到達すると太くも心地良いトルクが体に伝わりはじめ、力強い走行性能がさらなるスピードの世界へといざなおうとする。当然ながらカウルに身を包んだ本家デイトナ675の方が高い走行性能を備えているのだが、都心部を走ることが多い人にはストリートトリプルRは最適だといえる。

トライアンフ ストリートトリプルR 特徴

さらなる可能性を内に秘めた
デイトナ675のストリートモデル

トライアンフ ストリートトリプルR 写真

ストリートトリプルRについて解説する前に、まずはベースモデルであるストリートトリプルのことをご紹介しよう。2008年からラインナップに加わった同モデルは、各国のモーターサイクルジャーナリストが一堂に会してあらゆる検証を行う「スーパーテスト」にて4年連続でクラス1位を達成したデイトナ675のネイキッド仕様として登場した。フレームやスイングアーム、そしてお馴染みの並列3気筒エンジンこそ共通しているが、街乗りバイクとしての扱いやすさを重視して最高出力を125psから108psに下げ、さらに乾燥重量のダウンやホイールベースを1392mmから1395mmに伸ばすなど、バランス感覚に秀でたストリートファイターとして見事なスタイルチェンジを遂げている。デイトナ675との差別化を意識してスピードトリプルに似た外装になっているが、955ccという大排気量エンジンを心臓とする同モデルとは根本的に違うバイクだ。それゆえ、スピードトリプル、デイトナ675、ストリートトリプル、ストリートトリプルRとそれぞれに共通点がありながら、この4台のいずれかに乗っているライダーの好みはまるで違う。

ストリートトリプルRは、ベースモデルの足回りをさらにグレードアップしたもの。フルアジャスタブルのフロント&リアサスペンションに、ラジアルマウント4ピストンキャリパーと308mmツインディスクのフロントブレーキなど、ハイスペックパーツが各所に搭載されている。その高い能力を誇示するかのように、車体にはインパクトのあるオレンジ色の「R」の文字が刻まれている。そこにアイデンティティのひとつである睨ねめつけるような丸目2灯ヘッドライトもあいまって、その存在感はさらに際立っている。今回はストリートトリプルRのみの試乗だったが、機会があればベースであるストリートトリプル、そしてデイトナ675、スピードトリプルを乗り比べてみたいと思う。そうすれば、今以上にRの魅力を引き出せるんじゃないか、そう感じさせる潜在能力を秘めている、とまで言ったら褒めすぎか。しかしながら、失礼を承知で言わせてもらえば、スポーツ系バイクがこれほど面白いとは思わなかった、というのが本音だ。まだR未体験の人は、ぜひ一度跨ってみてほしい。

トライアンフ ストリートトリプルR の詳細写真

トライアンフ ストリートトリプルRの画像
ストリートトリプルといえばこれ、丸目2灯ヘッドライト
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
デジタル表示のメーター。配線で遮られるのが気になる
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
スピードトリプル譲りのマグラ製アルミテーパードハンドルバー
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
17.4リットルと、長距離走行でも安心のタンク
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
スタイリッシュなツートンカラーのシート
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
ストリートトリプル独特のエキゾーストシステム
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
低中速域からの太いトルクが特徴の並列3気筒エンジン
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
ラジアルマウント4ピストンキャリパーとツインディスクブレーキ
トライアンフ ストリートトリプルRの画像
地に足をつけたパワフルな走りを約束するリアタイヤ

SPECIFICATIONS – TRIUMPH STREET TRIPLE R

トライアンフ ストリートトリプルR 写真

価格(消費税込み) = 111万4,500円

2008年よりラインナップに加わったストリートトリプルのグレードアップ・モデル。インパクトのある見た目だけでなく、走行性能にも秀でた本格派ストリートファイター。

  • ■エンジン型式 = 水冷DOHC並列3気筒
  • ■総排気量 = 675cc
  • ■ボア×ストローク = 74.0mm×52.3mm
  • ■最高出力 = 108PS/11,700rpm
  • ■最大トルク = 69N・m/9,100 rpm
  • ■トランスミッション = 常時噛合式6速リターン
  • ■サイズ = 全長2,030×全幅731×全高1,250mm
  • ■シート高 = 805mm
  • ■ホイールベース = 1,390mm
  • ■乾燥重量 = 167kg
  • ■タンク容量 = 17.4L
  • ■Fタイヤサイズ = 120/70 ZR17
  • ■Rタイヤサイズ = 180/55 ZR17

バイク買取&乗り換えガイド