トライアンフ

【 旧車メーカー別購入ガイド】トライアンフ

掲載日:2007年02月21日 バイク購入ガイド        件のユーザーレビュー

ロングタンクにロケットカウル
カフェレーサーのスタイルに惹かれました

イメージ英国車との出会いは16歳の時でした。たまたま仲のいい友達の兄貴がノートンコマンドを買ったというので、見せてもらったのが最初です。でも、そのときは「英国車ってこういうものかぁ」という程度でした。というのも、そのときに見たノートンは、その時点でも、すでにすべてが古いレイアウトなんです。たとえ新車でもね。だから「ずいぶん、古いレイアウトのバイクだな」としか思わなかったんですね。その頃の私は、周りにある高性能な国産車や新しいバイクに興味があったから、自分で乗るのもやっぱりそういうバイクになります。免許取りたてというのは誰でもそういうものですよね。

 

しかし、いろいろなバイクに乗って20代になると、なんとなく16歳でノートンを見たときの衝撃を思い出してしまって。今度は実際にノートンを買ってしまいました。というのもその頃、海外のバイクの情報が載っている雑誌があったんですが、そこにカフェレーサーの写真がいっぱい出ていたんですよ。ロングタンクでカウルが付いていて…。サーキットを走るようなバイクが街の中を走っていることに惹かれましたね。当時、国産車にはそんなバイクはなかったですから、その姿形にすっかり虜にされてしまいましたよ。ノートンを手に入れてからは、どんどん自分でメカニズム的なものにも興味を持っていろいろ覚えるようになり、深みにはまっていきましたね。自分で直しているうちに壊したこともありますよ。そのうちにだんだん、ノートンコマンドというバイクを通していろいろな友達ができました。そこからオーナーの輪が広がっていって、さらに興味を持つようになっていきました。

 

ノートンにのめりこんだ結果、自分で英国車全般を扱うショップを始めてしまいました。ちょうど今から20年前ですね。ノートンだけでなく、トライアンフなどの旧い英国車のメカニズムや歴史的な観点で興味を持ったからです。初めて乗ったトライアンフは’66年製の「TR6」というシングルキャブのモデル。全体的に重い印象のノートンに対して、シャープな印象がありましたね。贅肉をそぎ落としたエンジンやそもそも軽い車重、そしてショートストロークのエンジンやローギアードな減速比などによって、とてもスタートダッシュがいい。街中を気持ちよく走れるバイクですね。もちろん、それからいろんなトライアンフに乗りましたが、個人的には’59年製の「T110」という650ccモデルにとてもいい印象をもっていますよ。

OHVバーチカルツインによる
重厚な乗り味が魅力のひとつ

イメージ‘60~’70年代の英国車の魅力は、なんと言っても並列2気筒OHVというエンジンに尽きますね。2気筒OHVエンジンの鼓動は、最先端のバイクにはない独特のものがあります。生きているようなエンジンの脈動感や加速時のフィーリングは、バイクで走る楽しさをより確かに感じられます。排気音も独特で、鼓動とあいまって走る時の面白さは他には代えがたいものがありますね。私が英国車に乗り始めた頃は、すでに国産車は4気筒マルチエンジンが全盛の時代に入っていて、まぁ性能重視な雰囲気でしたが…。それでも私は、並列2気筒で豊かなフィーリングを持った数少ないバイクを面白く思っていましたね。

 

また、オールドトライアンフは現行のトライアンフに比べると、車重が軽いぶんハンドリングも軽く、それがゆえに高速ではやや落ち着きがなかったりするなど、ちょっとクセがあるかもしれません。また、エンジンも現行のモデルに比べてロングストロークで、かつOHVなので、どちらかというとおおらかなフィーリングになると思います。もちろん、現行モデルはそういったさまざまなクセを廃しつつ、当時の佇まいを作りこんでいますから、’60~’70年代のトライアンフの世界観を初めて楽しむのにはいいと思います。また、その当時の空気に触れていた方には、まさにその当時のトライアンフを手にするのもいいかもしれません。

鈴木さんに訊く!
ビギナーにオススメなトライアンフ

ショップマスタートライアンフといえばまずは「ボンネビル」ということになると思います。なかでも「T120R」という650ccのモデルが当時の雰囲気を持っているため人気が高いですね。価格はきちんと整備してあるものという前提で、90万円くらいからほとんどレストアしてあるようなものだと180万円を超えるものまでさまざまです。ただ、この辺のモデルはギアチェンジのペダルが右になるので、ビギナーにはとっつきにくいかもしれません。そういう方には「T140」をおすすめします。750ccのモデルで、’73年から’82年まで生産していたオールドトライアンフ最後のモデル。サイドカバーの形状が四角くやや現代的になったり、前後ディスクブレーキになったりしますが、剛性の高い「オイルインフレーム」になっていたりして、技術面では進歩したモデルです。

 

トライアンフ社は一度’83年になくなっているので、オールドトライアンフのパーツは現在のメーカーからは供給されていません。ただ、トライアンフの歴史は長く、いまだにオールドトライアンフはたくさんの人に愛されているため、世界中にトライアンフのパーツを作っているメーカーがあります。そういったところから入手することができるため、まったくパーツ供給の心配をすることはありません。昔から英国車を扱っている専門店に相談するといいと思います。

愛車DATA --

ライディング状況ノートン コマンド

名車として名高いノートン・コマンド。従来の常識を全く破った新しい手法(アイソラスティック機構)を採用し、振動を減らしたコマンドは、1968年発売後ベストセラーに。ただ、その翌年に日本のHONDAによって発売された「CB750」の人気に押され始めてしまった。しかし、その性能や乗り味を評価する人は今も多い。鈴木さんの愛車は、各所に手が入れられておりその愛着が伺える。ロケットカウルを纏うその姿は、鈴木さんが若き頃に見たカフェレーサーの衝撃の強さを物語っているのかもしれない。

 

取材協力
トライアンフの正規ディーラーである同店。新車はもちろん、ノートンやBSAといった旧車も扱う英国車の専門ショップ。アットホームな雰囲気と確かな技術を慕う人は多い。

 

住所/東京都港区芝3-16-1
営業/10:30~20:00
電話/03-3451-0457

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