掲載日:2011年03月11日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/中村 友彦
カワサキの並列2気筒車と言えば、日本では1960~70年代の W1 シリーズや近年の W650/800 といった空冷モデルが有名です。とはいえ1980年代以降の欧米市場では、水冷パラレルツインを搭載する GPZ500S や ER-5/EX-5 が、どんな用途にも使えるベーシックモデルとして根強い人気を集めてきました。その最新仕様として2006年から発売が始まったのが ER-6n/6f (北米市場ではニンジャ650R)で、この2台を日本独自の普通2輪免許に対応させるべく、各部の仕様変更を行ったのが、2010年にデビューした ER-4n と、ニンジャ400Rです。
ネイキッドモデルの ER-4n のルックスは基本的に ER-6n と同じで、個性的な縦2灯式ヘッドライトやウインカー内蔵型ラジエターシュラウド、スチール製トレリスフレーム、右側にオフセットしたリアショック、ペータルタイプのブレーキディスクなどはそのまま踏襲しています。ただし、エンジンのボア×ストローク(83×60mm → 68.4×54.3mm)を筆頭とする “見えない部分” の変更は多岐に渡り、スロットルボディ径(38→34mm)やマフラー内部構造、ギアレシオ、前後サスセッティングなど、多くの部品が設計変更を受けています。これらはいずれも排気量縮小に併せて理想の特性を追求した結果で、言ってみれば ER-4n とニンジャ400Rは、単なる Er-6n/6f のお下がりではない、400cc としてバランスの再構築を図ったモデルなのです。
唯一無二のスタイリングやパラレルツインならではの爽快感など、ER-4n はさまざまな美点を持つモデルですが、現在の 400cc 市場では、価格の安さも ER-4n の魅力のひとつと言えるでしょう。標準モデルで62万9000円、ABS仕様で69万9000円という価格は、ライバルとなる CB400SF (単色)の71万9250/79万2750円(ABS装備)やグラディウス 400ABS の79万8000円、GSR400 の82万9500/86万1000円を大幅に下回っています。もちろん、ER-4n の価格設定はタイ生産だからこそ実現できたのですが、世界中の多くのメーカーが東南アジア地域で車両の生産を行う昨今、それをマイナス要素と捉える必要はほとんどありません。