掲載日:2009年12月04日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
1990年代前半は、80年代を盛り上げたレーサーレプリカの末裔と、流行しはじめたゼファーを中心とするテイスト系バイクがない交ぜになった、ある意味混沌とした時代でした。これまでレース的な性能至上主義と貫いてきた国内メーカーも方針転換をはじめており、さまざまな種類のネイキッドバイクを発売。世界最大の2輪メーカーであるホンダもこのカテゴリに新型車を続々と投入しはじめました。ジェイドはそんな最中である1991年にデビューしたモデルで、これまでラインナップの中心であった機能過剰とも言える高性能マシンと対極となる、余計な装備を持たないシンプルかつスタンダードな1台です。「自然体スポーツ」をキーワードとして人間を主体とした操縦感覚を重視し、CBR250シリーズの水冷4気筒エンジンをベーシックなダブルクレードルフレームに搭載。コンベンショナルなモノショック式リアサスペンションと、徒にハイグリップを求めない細めのタイヤを組み合わせ、市街地走行からツーリングまで幅広いシチュエーションで楽しめるバイクとなっています。CBRベースのエンジンは気持ちよく吹け上がるセッティングで燃費も良好、車両自体の耐久性も高く、基本に忠実なバイクとして高い完成度を誇っていました。しかし、如何せん地味な見た目とあまりにもスタンダードすぎるスタイルと性格により、実際のセールスではあまり芳しい状況でなかったのも事実です。しかしその分、バイク便をはじめとした実用的な用途で高い評価を獲得しています。
中古車市場においては、ジェイドは安価で買える250ccネイキッドとして需要のあるバイクです。カスタムパーツなどのラインナップは非常に少なく、他人より目立ちたいライダーには不向きな車種となっていますが、高い耐久性は近年のバイクからみると質実剛健と言えるほどシンプルでベーシックな車体構成は、今乗っても走行性能に不満を感じることは少ないでしょう。ドレスアップなどバイクをいじって遊ぶのではなく、毎日乗れるタフな相棒を探しているライダーにとって、まさにうってつけと言える1台。お買い得な実用車として注目しておきたいモデルです。
シンプルな鋼管ダブルクレードルフレームに、CBR250シリーズにも採用されていた水冷DOHC4気筒エンジンを搭載。カムギアトレインによって高回転まで軽快に吹け上がるパワーユニットとスタンダードな車体を組み合わせたナチュラルなスポーツバイクとしてデビューした。しかし、当時としても非常に地味なルックスであったため、セールス的にはあまり良好な成績は残せていない。
性能は良好なものの、ルックス面の物足りなさを指摘されたジェイドは、派生モデルとして「ジェイド/S」を追加。ボディカラーを鮮烈なツートンカラーにしただけでなく、ホイールもブラックアウトし足回りを引き締め、エンジンも精かんなグレーメタリック仕様に変更された。また、初代モデル発売時は暗いカラーラインナップだけだったが、1991年7月には明るいレッドが追加されている。
1993年のマイナーチェンジでは好評だったジェイド/Sの仕様を取り込み、エンジンをグレーメタリック塗装に変更。また、カバー類にバフ仕上げを施し質感を向上させている。その他ではシートの肉厚化やレザーの変更、メーターケースのメッキ化やタコメーターの大型化といった変更が行われた。ジェイドとしてはこの年式が最終モデルとなり、ホンダ製クォーターネイキッドの座はホーネットへ引き継がれることになる。