【Page2】Chapter01 Z1を知ろう!!

掲載日:2010年03月24日 特集記事絶版車を買おう!!~カワサキZ1が欲しい!! ~    

記事提供/2009年11月24日発行 絶版バイクス5

Z1購入時のチェックポイント

メインフレームのネック下、ガゼット部分にクラックが発生している事が多い。クラックがメインフレームまで進行している個体も存在するためよく確認しておいた方が良い。写真は溶接によって修理したもの。

メインフレーム

  Z1に限った事ではないが、イグニッションコイルの本体樹脂にクラックが発生し、漏電によるエンジン不調を招いていることがある。しかし万が一不良だった場合でも、補修部品の心配はない。

イグニッションコイル

  ポイントによるトラブルは定期的なメンテナンスをしっかりと行えば少ないが、メンテナンスフリー化を図り、信頼性を向上させるためにも、購入時に市販のキットを組み込んでフルトラ化させるのも一考だ。

ポイント

  ジェネレーターハーネスからのオイル漏れは構造上致し方ないと言えるが、ハーネスとグロメットをセットで対策されたリプロダクションパーツに交換することで、抑止する事が出来る。

オイル漏れ

  スロットルを吹かして少し遅れて「ガラガラ」と出るメカノイズはカムチェーンの周辺部品が疑わしい。特にアイドラーは歯車とベアリングの間のダンパーラバーが硬化、崩壊していることもあり注意が必要。

カムチェーンアイドラー

右サイドカバー内のカプラーターミナルを確認し、カプラーが焼けていたり、端子が腐食によって導通不良を起こしていないかチェックする。症状が見られた場合、他の部分のカプラーやギボシ端子も要注意。

カプラーターミナル

  Z1は充電圧が高く、バッテリーが過充電となった場合ブリーザーからは沸騰した電解液が放出される。ホースが正しくセットされていなかった車両は電解液がフレームに付着し、腐食が発生している事がある。

バッテリーブリーザー

  別体式の純正ボルテージレギュレーターはトラブルが多く、Z1のウィークポイントである。故障した場合バッテリーや電装品にダメージを与えるので、現代仕様の一体式と交換しておいた方が無難といえる。

レギュレーター、レクチファイヤ

  スイングアームの付け根溶接部分にクラックが発生している車両が見られる。駆動力で引っ張られるチェーン側がほとんどで、外側から目視で確認できるため、念のため確認しよう。

スイングアーム

  70年代のマシンはウィンカーステーが頑丈なスチール製。そのため立ちゴケ程度の転倒によっても、フレーム側ステーにダメージを負う事がある。Z1ではリヤのウィンカーステーの損傷が多い。

ウィンカーステー


絶版車ブーム以降、高値を維持し、不動の人気を誇るカワサキZ1。車両金額を考えると、このマシンを手に入れるには少なからずの覚悟が必要となるだろう。しかし見方を少し変えると意外と購入しやすい部類の絶版車だと気付くはずだ。

 

Z1は人気モデルだけに市場に出回る中古車は多い。従ってある程度自分の好みや予算に応じて、車両を選んで購入することができる。またリプロダクションパーツが潤沢に揃うのもポイントだ。絶版モデルながら、走行に必要な部品で苦労する心配はほとんど無いといっても良い。基本性能と耐久性の高さから深刻な故障が少ない事も挙げられるだろう。

 

このようにZ1は購入やその後の維持に関しての障害は他の絶版車と比較しても少ないのである。もちろん30年以上前のモデルであるため、定期的なメンテナンスは欠かせない。しかし程度がしっかりした車両を選ぶことで好調を維持し、走りを楽しむことができる。そのためにも、メインフレームと電気系、エンジンを中心にチェックしたい。

 

Z1のメインフレームはウィークポイントとなっている。転倒、事故を経験した車両はメインフレームに曲がりが発生する事が多い。可能ならばタンク下のフレームを目視確認しておきたい。また、ワイドタイヤを履いたカスタム車両では、フレーム補強を行っていない場合、走行時に不安定な挙動が出たり、フレームにダメージを与えることもある。カスタム済み車両は、フレーム補強についての確認も実施しておきたい部分だ。

 

点火、充電系の電装品が純正の場合、部品は30年以上が経過しているものとなる。外観だけでは良否の判定や寿命は判断できないため、オリジナルにこだわらないのであれば、納車時にリプロダクションパーツと交換してもらえば後の不安は少なくなる。ハーネス類も硬化の症状が見られるならば、同時に交換するのも賢い選択だ。

 

Z1のエンジンは大排気量時代を見据えて開発され、その後排気量の拡大を受けて様々なマシンに搭載されてきた歴史的名機だ。その性能はもちろん耐久性も現代のレベルで見ても大きな不足は感じないだろう。オイル交換を始めとするメンテナンスさえ定期的に受けてきた車両ならば、エンジンに深刻なトラブルを抱えていることは滅多にないが、購入前にはオイル漏れとメカノイズに注意しよう。

 

エンジンオイル漏れ定番箇所となるのが、ヘッドカバーガスケットの半月部、タコメーターケーブルの取り出し部、ジェネレーターハーネスの取り出し部分の3点。滲み程度ならば許容範囲だが、限度を越えている場合は購入前に修理してもらおう。メカノイズの発生はウィークポイントであるテンショナーやアイドラーといったカムチェーンの周辺部品やヘッド周りが原因となっていることが多い。音が大きな時は購入前にオーバーホールも視野に入れた方が良いだろう。

 

 

1972 Z1

カワサキが世界最速の威信をかけて生みだしたZ1のデビューモデル。スムーズかつパワフルなDOHCエンジンと美しいスタイルで市場を席巻した。この初期型でフレーム番号の若い車両はプレミア付きの高値となっている。

 

1973 Z1

この年Z1の登場から遅れること1年で排気量を746ccとしたZ2の国内版亮が開始された。写真はZ2同様シートベルトが装備された欧州仕様のイエローボールカラーのZ1。この年式までブラックペイントされたエンジンを搭載する。

1974 Z1A

前期モデルのカラーイメージを踏襲したオレンジとイエローの通称「タイガーカラー」にグラフィック変更を受ける他、エンジンがアルミ地肌のシルバーとなる。中古車相場ではこの年式を境に前期と後期で若干の価格差がある。

 

1975 Z1B

グラフィックはそのままに、マルーンとブルーの通称「玉虫カラー」へカラーチェンジされた他、サイドカバーエンブレムのデザイン変更を受ける。中古車市場で台数が多いZ1B。近年、特に青玉虫カラーが人気のようだ。

 

1976 KZ900

北米仕様のKZ900、欧州でZ900の名前で発表されたZ1からのマイナーチェンジモデル。Z1こ比べると中古車相場も安値であり、基本骨格やエンジンは同一であるためZ1仕様を作るのも良い。ただしタンクは外プレスタンクとなり、Z1と異なる。

 

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