【Page3】KAWASAKI Z2/750RS ガソリンタンクのサビ退治

掲載日:2010年03月17日 特集記事KAWASAKI Z1/Z2 延命治療 Part2    

記事提供/2009年2月1日発行 モトメンテナンス No.81
Text/K.TAGUCHI 田口勝己  Photo/A.KURITA 栗田 晃  取材協力/グリーンワールド Phone 0249-41-1601

別のガソリンタンクを用意してサビ取り実践。
しかし、想像以上に程度劣悪だったタイガータンク。

購入車両の茶玉虫カラーのZ2タンクは、内部にサビが発生していたものの、走ることはできた。
しかし、サビはエンジン不調の源。だったら別のタンクを用意して、サビ退治することにした。ところが、これが苦労の始まりだったとは・・・・

取材協力/ツールカンパニーストレート Phone 06-4257-1159


タンク内部を脱脂洗浄し、見える範囲の汚れが取れたので、一液式ケミカルを使ってサビ取りを実践。しばらく放置するとタンクボトムの溶接部分から残念ながらサビ取り液が一滴二滴・・・・・・。想像以上にサビが進行していたようだ。仕方ないので要所のペイントを剥がし、溶接部分を再度溶接し直して改善を図ったつもりだが、想像以上にサビは進行していた。程度悪かったのねぇ~

 

編集部のZ2茶玉虫タンクはペイントコンディションが今ひとつ。とてもそのままでは乗る気分になれない。そこで、別の外装パーツを用意し、リペイント依頼することにした。入手したのはタイガーカラーの純正タンクで、見た目は極上だが内部の汚れやサビが想像以上にひどく、脱脂洗浄後にはタンクボトムの溶接部から液漏れが発生した。

 

仕方ないので再溶接で対処。ところが溶接後に違う部分からも漏れが・・・・。しかも溶接熱で固着していた油汚れが溶けて、タンク内は再びドロドロ状態に。脱脂洗浄からやり直すことにしたが、この段階で外部からの補修は断念。鈑金ハンダも考えたが、ペイント後の侵食でガス漏れが始まってはどうにもなりませんからね。


ツールカンパニーストレートで取り扱っているPOR15タンクリペアキット。タンク内にシーラーを流して固め、サビ穴を塞ぐケミカルだ。処理前に使う脱脂洗浄剤やサビの侵攻を防ぐメタルレディを同梱するフルキットケミカル。コーティング剤は、開封後に徹底的に混ぜて沈殿物をしっかり液体に溶込ませるのが成功の秘訣である。会員価格5650円。

 

コーティング剤を流し込む前には、タンク内部を徹底的乾燥させる。天気の良い日を選んで作業し、タンク内部を乾燥させるのが良いだろう。冬の時期は湿気も少なく作業性は良い。コンプレッサーがある際は、ロングノズルガンを併用するのも良い。

こんなときに頼りたいのが「タンク内壁用コーティング剤」だ。ここでは旧車のレストアシーンで絶大なる信頼を得ているPOR15タンクリペアキットを使うことにした。完全硬化後のタンクシーラーは、無気候孔性で空気の流れをシャットアウト。完全硬化後は、剥がすのが大変なほど強い皮膜を形成する。その皮膜は半永久的に持続するそうだ。このリペアキットには、コーティング前の段取り用として使う脱脂洗浄剤「マリーンクリーン」とサビ取り&転換剤の「メタルレディ」が同梱される。今回はすでにサビ取りを実践していたが、前述したように溶接熱によってタンク内が再び汚れてしまったので、説明書通りに脱脂洗浄工程から作業を始めた。

 

ところで何故、程度が良さそうなガソリンタンクなのにサビの進行がひどかったのか? KAマッハやH2を例にすれば、もっとひどいサビでも1液のサビ取りケミカルでサビ除去と防錆処理ができた。何故なのだろうか? タンクを比較したらその理由がわかった。Z1/Z2用タンクは、鉄板が薄くサビ穴が開いてしまいやすいようだ。

 

初期Z用ガソリンタンクのサビ取りを行う際には、処理後に穴開きが無いか徹底的に確認し、心配なときにはPOR15タンクリペアキットで、あらかじめ処理したほうが懸命だろう。とにかく鉄板が薄過ぎます!!

 

 

慌てて作業すると後悔する結果になるがガソリンタンクのサビ退治。
マリーンクリーンと呼ばれる脱脂洗浄液をボトルの半分程度バケツに入れ、同量のお湯で希釈する。全量希釈する必要性は無いようだが、使い切っても問題なさそうだ。大容量タンクなら特に。   今回は説明書通りに作業実践したため、マリーンクリーンは半分だけ使った。希釈量を確認するために沸騰したお湯をペットボトルに移して希釈した。やけどに注意しましょう。   ガソリンタンクの溶接部分には数多くのピンホールが開き、液漏れするため、今回は溶接部分全体に布ガムテープを貼って液漏れ対策してみた。こんなガムテープ作戦で大丈夫なのか? 少々不安だったが、結果としてはガムテープが液漏れを遮断してくれた。これがガソリンだと応急処置でも難しいと思いますが・・・・。試してないので不明です。燃料コック部分もゴムキャップで液漏れ防止する。
希釈したマリーンクリーンをガソリンタンク内に注ぐ。こんな作業でもテキトーに進めてしまうと溢れてしまうので、ジョウゴなどを使いたい。   洗浄液を流し込んだらタンクキャップ代わりにゴム円錐の栓をして、洗浄液をタンク内部全体に行き渡らせる。あまりにも油汚れがひどいタンクの場合は、マリーンクリーンを利用する前に、お湯で中性洗剤を希釈しながらタンク内に注ぎ、事前に大雑把な油汚れ落しを行ったほうが作業効率は圧倒的に良い。さらに汚れがひどいときには、タンク内にステンレス製チェーンを投入し、ザザザァーッ、ザザザァーッと内部を擦るように洗浄するのも良いだろう。チェーンだと後々の抜き取り作業が容易なのでお勧めです。   このタンク内の脱脂洗浄は24時間以上行いたい。途中で時折タンクを回して洗浄液を行き渡らせる。温めることで洗浄液が活性するが、何らかの方法で加熱(40~50度程度)する際には、タンクキャップの栓を必ず抜くこと。初期Zの通称「内プレスタンク」は過熱によって簡単に膨らんでしまうからだ。膨らんでしまうと最悪でフレームにセットできなくなってしまう。洗浄液にマリーンクリーンを抜き取る。
タンク内が空になったらホースの水道水で圧力を掛けながら内部を徹底的に洗浄する。マリーンクリーンは人畜無害で環境汚染はないとのこと。安心だ。     タンク内を水道水で完全洗浄したら、メタルレディの原液をタンク内に全量注ぎ込む。
再びゴム栓でフタを行い、処理液をタンク内部全体に行き渡らせる。サビが少なければ30分程度、サビが酷い場合は数時間処理するように指示されているが、タンク内のサビは奥の奥まで覗き見確認できないので、半日程度処理することにした。   半日ほど処理を続けたが、当然ながら1時間毎に処理液を全体に回すように作業を進めた。円錐ゴム栓をしっかり差し込めば、逆さまにしても液漏れしない。   半日後、処理液を抜き取り内部確認すると、残留サビは黒っぽく黒サビ化している。この処理状態を確認したら、再び水道水で徹底的に洗浄。エアーガン併用ならさらに効果的な洗浄ができる。洗浄後は天日で完全乾燥させる。その際こもエアブローが効果的だ。

 

タンクライナー「POR15」は、想像以上に薄く処理できる!!
完全に天日乾燥させたら、燃料コック部分にガムテープで栓をする。天日乾燥させたつもりでも、奥の奥に水分が残っているとこの後の処理に失敗してしまうかのうせいがあるため、心配な際にはタンク内を熱風ヒーターやドライヤーで強制乾燥させると良いだろう。とにかく水分は大敵と考えよう。   POR-15タンクライナーは、しっかりフタが押し込まれているので、フタを開けるときに缶をフッ飛ばし、ライナーを流してしまわないように要注意。写真で使っているような工具を利用するとスムーズに開けられます。マイナスドライバーだと缶蓋が変形してしまい良くありません。   フタが開いたからといって、ここで慌ててライナーを流し込んではいけない。フタを開けたら攪拌棒や細いヘラを使って徹底的にライナー液を混ぜる。缶の底には想像以上に目止め剤が沈殿しているのだ。とにかく徹底的に攪拌。今回は5分近く攪拌したが、その効果があって流動性はかなり良くなった。
いよいよタンク内部へのライナー流しだが、この際にライナーをこぼしてしまってはガッカリなので、ペットボトルをカットしたジョウゴでライナーを一滴残さずタンク内に流し込んだ。流し込みを終えたらタンクキャップにゴム栓をして、前後、左右、ひっくり返しなどなど、タンク内部にライナーが流れていることを想像しながら、タンクをゆっくりゆっくり動かす。水のようにスムーズな流動性ではありませんからね。   ここからは徹底的にこだわりを持って、ライナーを細部に行き届かせるような処方をする。今回はゴムハンマーで溶接部分をコンコン叩き、溶接鈑金の合わせ面溝の奥までライナーが届くように願いつつ、作業を進めた。溝部分はエア噛みしやすい部分でもあるので、このコンコン作戦は効果的だと思います。   大丈夫かな!?と心配ですよね。そんなときには可能な限り内部を覗き見してみましょう。こんなときにあると便利なのがペンシル型の高輝度ライト。奥の奥までは見えませんが、ある程度は見えると思います。
それでも不安な方は、自動車のメンテナンスによく使われる棒ミラーを使って内部を覗き見してみよう。するとビックリ!! 想像以上に内部確認できます!! ライナーがミラーに付着するのを無視して進めたが、キャップ前方の溶接溝付近も丸見えです。ライナーがしっかり行き渡っている様子を確認できた。   タンクキャップに栓をして、仕上げとしてもう一度ライナーを行き渡らせる。作業後、燃料コック穴のガムテープを剥がし、残留ライナーを徹底的に抜き取る。想像以上に流動性が高く、良い仕事をしてくれたような気がするが果たして・・・・。処理途中に溶接部のピンホールからライナーが流れ出ることも無かったので、穴封じは成功したようだ。   徹底的に残留ライナーを抜き取った結果、何と缶全量に対して7割近く、いゃそれ以上戻ってきたかも知れない。こりゃ効率良い感じですね。想像以上に抜き取ることができるということは、1液なので再利用可能ってことでもありますよね?
タンクキャプから覗き込むと分厚い樹脂層が形成されるというよりも、タンク内部にペイントを施した印象だ。ライナーの色がシルバーなのでガソリンスタンドで給油する時にも目立たなくて良い。こりゃ大成功だったかもしれません。あとはガソリンですね。   ライナー処理を終えたら、キャップとコック部分の栓を開放したまま風通しが良い場所で96時間以上放置し、ライナーを完全乾燥させる。金曜日の夕方頃に処理を終えたので、96時間後は火曜日の夕方になる。結局、その後ペイント依頼したので、ガソリンを注ぐまで1ヶ月以上の期間があり、完全乾燥は間違い無い。もちろん、現在ではガソリンを満タンにして走ってますが、溶接部分のペイント膜がブヨブヨになるようなこと無く、イイ感じに仕上がってます。    

 

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