【Page3】HAYABUSA ON MARKET? ~ハヤブサの周辺事情はどうか?

掲載日:2010年02月24日 特集記事スズキGSX1300R隼    

記事提供/2009年11月1日発行 月刊ロードライダー 11月号
テクニカルガレージRUN 1043-309-5189 〒260-0001千葉県千葉市中央区都町2-2-7
Photo/伊藤 均 Text/中村友彦

高級車としてのオーラが放たれる
“アルティメイトスポーツ”

テクニカルガレージRUNに聞く新旧ハヤブサの現状

テクニカルガレージRUNに聞く新旧ハヤブサの現状登場10年、新型展開からでも丸2年。次の動きが出るタイミングの今、新車動向、中古車事情、そしてユーザーの楽しみ方はどうか。約300台を正規販売してきたRUNの杉本さんに、ハヤブサの周辺事情の推移を聞いた。

性能が裏付ける高級感に
懐の深さが加わる車両

ハヤブサで面白いと思うのは、イヤになったとか飽きたという理由で手放す人が少ないことですね。これだけインパクトのあるモデルですから人によって合う合わないがありそうですが、ウチで購入してくれた方で、そんな理由で手放した方は少ない。その根底にあるのは、ハヤブサの懐の深さだと思います。絶対的な速さだけでなくて、ゆっくり走っても楽しいという一面も持っている。だから幅広いユーザーから支持されるんでしょう。

ユーザー層と言うと、ウチの場合は'08年新型の登場を契機に変わってきた感があります。旧型の時代は、やっぱり世界最速車だからとかスズキ好きだからっていう理由で買う人が多かった。でも'08年型以降は、他社モデルから乗り換える人が増えてきたし、普段乗っている4輪がベンツやBMW、レクサスっていう人も少なくない。言ってみれば、ハヤブサはそんな4輪からイメージされるようなひとつのブランド、日本を代表する高級車として、幅広い層に認知されてるんだと思います。

もうひとつありがたいのは、とにかく丈夫っていう点。これはハヤブサを語る上で欠かせない要素でしょう。定期的な整備を普通にやっておけば、まず壊れることはない。ウチでは過去にミッションの4/5速ギヤ(高速でどんどん使うようなまれなケース)やセルモーターのワンウェイクラッチを修理したことがありますけど、それだってほんの数件ですから。あえてハヤブサだからやっておきたい整備項目を挙げるなら、ステムベアリングやハブダンパーの点検、インジェクションボディの清掃。と言っても、このあたりは車検毎に見ておけば十分ですし、売る側いじる側としてトータルで見れば、よくぞまあ、ここまでコストをかけて丈夫に作ったなあって思いますよ。

実際に購入したお客さんが最初に手をつけるのは、~'07年型の場合はまずタイヤとリヤショックですね。傾向としてはどちらもSTDは硬いし、力量不足です。ウチでは、タイヤはBT-016(ブリヂストン)でリヤショックはオーリンズを勧めることが多いです。

 

スズキ/ヤマハの正規ディーラーとして、国内仕様車と逆輸入車の両方を扱うRUN。代表の杉本さん(右)は早くからハヤブサの資質に注目し、多種多様なカスタムも手がけてきた。

'08年以降型は、実は初めて試乗したときに、これはマズイなあと思ったんですよ。もう非の打ち所がないじゃないかって。だからウチが今までやってきたカスタムがどこまで通用するのか疑心暗鬼になったんですが……。実際やってみたら、ちゃんと変わったんです。良くなったっていうのがしっかり体感できた。僕としては、このあたりもハヤブサならではの魅力だと思います。STDの完成度が高いのに、いじればいじっただけ楽しみの幅が広がる。そんなバイクってほかにないでしょう。

だから実際にハヤブサユーザーになって楽しんでいるお客さんは、そう簡単に手放さないですよ。その結果として全面刷新された'08年型が出たときは、一瞬、ヒヤリとしました。あのときの僕は旧型からの乗り換え需要を見込んで大量に新型を仕入れたんですが、ウチでは乗り換えたいって声を挙げるハヤブサ乗りがひとりもいなかった。さあ、どうしよう……と思っていたら、新規のお客さんが多く来てくれてあっという間に完売したんですけど、ハヤブサは年式に関わらず、自分だけの1台として愛着を持てるバイクなんだなあって、改めて思いましたね。



1ランク上を目指した
コンプリート車も用意

■RUNが手がけるハヤブサのコンプリート車は、同店が過去にさまざまな車両に装着し、大きな信頼を寄せるようになったアフターパーツを最初から装着した状態で販売される。価格は339万6300円(乗り出し価格は350万円)と決して安くないが、パーツ代合計金額が200万円以上で、ここまでの作業工賃や油脂類が無料だと知ると、とてもお買い得だ。

(1) スクリーンやバックミラー、カーボンカバー/パネルはマジカルレーシング製に換装
(2)(5)(6) 削り出しのトップブリッジやバックステップ、チタン製マフラーはKファクトリー
(3)前後ホイールはマルケジーニで、フルアジャスタブル式ショックユニットはオーリンズ。Fブレーキ用パーツはブレンボで統一される
(4)ボディカラーはオーナーの好みで選択可能

一般には初代と新型の2種に分類されるハヤブサだが、RUNを含めたスズキディーラーでは、'99~'02年型を初代、ECUが16→32ビット化されると同時にFフォークにチタンコートが施された'03~'07年型を2代目、'08年以降を3代目=現行と呼ぶことが多い。そんな中、杉本さんのオススメはと言うと……「それはもう、間違いなく現行モデルの新車です。すべての面で先代を上回っているというのが最大の理由ですが、ハヤブサは中古ならではの旨みが少ないモデルなんですよ。初代でも程度が良ければ70~80万円、2代目も限定車だと100万円以上しますからね。'08~'09年型の中古はそれ以上。初代に熱い思い入れがない限りは頑張ってもう少し予算を用意して新車で本来の資質を味わってほしいっていうのが、ひとりのハヤブサ好きとしての率直な気持ちです」

 

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