【Page3】 一生モノのFを作る、そのために活かされたRCMテクノロジー

掲載日:2010年02月10日 特集記事DOHC4バルブ空冷直4の楽しみをここに!    

記事提供/2009年10月1日発行月刊ロードライダー 10月号

銀に青&紺ラインの北米FBカラーを軸にした“スペンサースタイル”やメタリック赤によるFBカラー軸の“巨摩郡スタイル”が主だったCB-Fカスタムだが、パーツや技法の進化で、その様相が変わってきている。それを体現する車両を見ていこう。

 

一生モノのFを作る、
そのために活かされたRCMテクノロジー

Z、ニンジャ、カタナ系など、'70年代後半~'80年代マシンを多く手がけるACサンクチュアリー。だが、同店オリジナルのコンプリートカスタム、RCM(リアル・コンプリート・マシン)に関しては、意外にもCB-Fの製作事例がなかったとのこと。上の1100Fカスタムは、そのCB-F系RCMの、記念すべき1号車というわけだ。

「ちょっと意外でしょう? カスタムの製作実績は普通にあるんですけど、RCMは今までなぜかなかったんですよ。この車両の場合、オーナーさんからの依頼は『一生モノとして乗れるCB-F』。そうなると単なるチューニング&カスタムというよりもオーバーホール的色彩も含んで、より完成度の高いマシンの作れるRCMの方が馴染みがいいだろうと、そういう判断なんですけどね」

そう語る代表・中村さん。とは言え同店の看板であるRCMが単なるオーバーホール&チューニングだけに終わっているはずがない。実際、この車両の製作を機にCB-F用のオリジナルパーツ、そのプロトタイプがいくつも投入されているのだ。

中でも目を引くのが、溶接を多用して作られた4-1タイプの集合マフラー。エキパイの複雑な取り回しは、オイルフィルターカバーやオイルクーラー取り出し部分などのエンジン各部、およびフロントタイヤとの干渉を避けるためのもので、素材はチタン。テールエンドはフレームに沿わせたアップタイプのメガホンとなっており、CB-Fらしさあふれる仕上がりとなっている。一方、足まわりに関しては同店オリジナルSCULPTUREブランドのZ用ステム、同スイングアームなどを加工流用しているのだが、こちらのディメンション設定も17インチ化したFの車体にベストマッチ。もちろん、きめ細かいサスセッティングなども同店の得意とするところだ。

「エンジンは純正パーツ、とくにテンショナー関係はほぼ全滅なので、入手可能な純正とコンディションのいい中古パーツできっちり組みました。実際、調子はかなりいいですよ。今回作業してみて思いましたけど、『安心して乗れる1台を作る』という意味ではCB-F、かなりRCM向きの素材ですね。他の車種でも結構いけるんじゃないかと思います。車種的には'70年代後半以降、あくまでウチの路線に合ったものっていう条件は付きますけどね(笑)」

そう語る中村さん。長年付き合ってきた愛車を徹底的に仕立て直す、といった目的にもRCMは活用できるということだ。ちなみにマフラー、ステップなどのオリジナルパーツは、今年秋頃をめどに発売される予定とのこと。CB-Fオーナーは、こちらも楽しみに待っていただきたい。

Z用を流用しながらも理想的な数値を実現したフロントまわり

 

フロントはオーリンス製φ[39→]43mmフォーク、ステム、天吊りフェンダーなどを同梱したAC製「E×Mパッケージ」。ステムは「210mmスパン/オフセット35mmのモノが欲しかった」(中村さん)と、同じスペックを持つZ用SCULPTUREを加工流用。足まわりに合わせた5カ所のフレーム補強、リヤサスのワイド&レイダウン加工などのモディファイもしっかり行われる。ホイールはITXで2.50-18/3.00-17→3.50-17/ 6.00-17

 

入手可能なパーツを使い、精度高く組まれたエンジン

 

1100Fベースのエンジンはワイセコ製φ72mmピストンを組むことで1062→1123cc化。他はクランク曲がり修正&ジャーナル部ラッピング、バルブガイド製作&入れ替え、シートカット、最小値面研などのO/H中心の内容。吸排気はφ33 mmCV→TMRφ36mm+同店オリジナルチタンEX。テールエンドはメガホンタイプで、これもCB-F系カスタム定番スタイルの新しい解釈と言える。ステップもナイトロレーシングのCB-F用プロトタイプ

 

単なる流用に終わらない足まわり改&入魂のエキゾースト

 

Rアームは全長525mmのZ用SCULPTUREを加工流用(CB-FのSTDは約500mm、アーム長を伸ばし卜ラクション性能を向上させる狙いがある)。リヤサスマウント部などもCB-F用に変更(上側もF専用加工でサイドカバーを切らずにレイダウン)。オリジナルチタンEX(左)は制約ある取り回し 内でエキパイができるだけ等長になるよう工夫され、1&2番、3&4番を上下に集合させる手法はAMAスペンサー車同様。フランジ等も同梱の予定

 

このFCは車両持ち込み&パーツ指定によって組まれたボルトオン系カスタムの一例。PMC3.00/4.25の前後18インチホイール、黒仕様のナイトロ製EXなどオーセンティックな仕上がりだが、エンジンO/Hなどもしっかり実施

 

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