掲載日:2009年12月21日 特集記事 › 怒涛の最新カスタム試乗
記事提供/2009年8月1日発行 月刊ロードライダー 8月号
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ストライカーシステムのレーシングゼファーは、人が扱うにほどよい大きさと、走る場所と問わないバランスの良さを持ち合わせており、そこにバイクの原点を見出せたのだった。
ゼファーが垣間見せるスポーツバイクの原点
サーキットをここまで楽しめるとは意外だ
このゼファー750をベースにしたカスタムは、ストライカーシステムの土屋さんがレースに参戦しながら造り上げ、日頃の足にも使っているマシンである。そのため、普通に街乗りに使える柔軟性を持ちながら、スーパースポーツばりにサーキット走行を楽しめるポテンシャルを備えている。類を見ないワイドレンジ振りなのだが、ただひとつ、お断りしておかなければならないことがある。
それは、土屋さんがレースでの戦闘能力を高めようと、ヨシムラST-2カムをWEBカムに交換したところ、あまりにも高回転型になりすぎ、公道向きでなくなったばかりか、サーキットでも扱い辛くなっていることである。これがもっと普通の特性だったらと悔やまれるが、その点を差し引けば、街乗りで使えるレーシングゼファーであったことに間違いはなく、最初にそれを念頭に置いていただきたい。
ステップはサーキット走行を前提にした後方位置にあるが、街乗りでもすぐに慣れることができる。ハンドルバーもノーマルより低めだが、ストリートファイター的に身構えることのできる自然さだ。足着き性はいいし、ノーマル並みのハンドル切れ角が確保されているから、普通に街中に溶け込んでいく。
おまけに、乗り心地さえ良く、レース用という尖った部分を感じさせない。ただ、路面からの大きい突き上げには、圧減衰がストローク感を抑えていて、まるでチューンドカーみたいな足まわりが、ただの街乗りバイクでないことを訴えてくる。
ただ、エンジンは冒頭で書いたように高回転型で、アイドリングが効かないし、3000rpm以下での発進が困難なのは辛い。それでも、4~6000rpmをキープすれば、普通に街乗りもこなせるから、なおさら残念である。
ともかくサーキットを走り始めると、すぐにこいつが信頼できるマシンであるとの確信を持つことができる。よく曲がるし、安心して攻め込むことができ、スーパースポーツに乗っているような感覚に、さすがレース参戦しながら煮詰めただけのことはあると思い知らされる。
サスは、スロットルワークで姿勢変化を誘発できる取っ付きの良さの一方で、ストロークの奥での踏ん張り具合も自然だ。ブレーキングしながら奥まで突っ込み、ターンインさせていくときのフロントの動きや接地感も申し分ない。ブレーキも強力なだけでなく、指1本でデリケートなコントロールができる。
ただ、低速コーナーで、向きを変えるや起こして脱出できるときは最高でも、高速コーナーでトラクション旋回状態になっても、ステアリングに舵角が入ったままニュートラルにならず、少々フロントが残ってしまうきらいがある。まあ、これもセッティングで対処できるだろうし、低速コーナーでの旋回性とのバランス次第なのであろうが・・・・・・。
エンジンは7000rpmからがパワーバンドである。上限が11500rpmのところ、タコメーターのレッドゾーンが1万rpmからであることに惑わされ、10500rpmまでしか回さなかったが、それでもゼファーらしからぬ高回転型である。クロス化されたミッションを繋いでいけば、十分に性能を生かしきることができるのだが、やはりサーキットでも5~6000rpmから使えるエンジンであってほしい。
そうしたエンジン特性のことはともかく、ここまで街乗りができて、サーキットではスーパースポーツの走りが楽しめるとは凄いものである。ゼファーの隠れた潜在性能にも驚かされてしまった次第である。
同店ゼファー810
コンプリートの開発車
気持ちええ、
これがバイクちゅうもんや!
和歌山利宏:試乗は筑波コース1000でのウィズミーの走行会の中で行った。左は、コンストラクターでライダーでもあるストライカーシステムの責任者、土屋雅史さんである