卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗

  • 取材協力/ブリヂストン  撮影/富樫秀明  取材・文/和歌山利宏  構成/バイクブロス・マガジンズ
  • 掲載日/2018年3月28日

昨今のアドベンチャーモデルは、現実的な使用状況を見据え、オンロード指向を強めたものとなっており、ブリヂストンもそうした指向に合わせた『BATTLAX ADVENTURE A40』をリリースしていたが、今回、その進化版となる『BATTLAX ADVENTURE A41』が登場した。それはロングツーリングに伴なう厳しい状況変化に対応し、安全に楽しく走れるばかりか、コーナリングをオンロードスポーツのように楽しめるスポーツ性を兼ね備えていた。

オンロードで楽しめるコーナリング性能は
ビッグアドベンチャーであることを忘れさせた!!

パリダカマシンのレプリカとして生まれ、道なき道をワイルドに走破できるオフロード性能を備えるアドベンチャーモデルは、走る道を選ばないロングツアラーとして人気を博してきた。とは言え、現実的にはオンロードを主体とした使用であることも事実で、ここ数年来、多くのモデルはオンロード向きの性格を強めている。

そんな状況の中で新しく登場した『BATTLAX ADVENTURE A41』は、A40同様オンロード指向であり、それにも増して道を選ばないロングツアラーに相応しい逞しいものとなっていた。

まず何より、避けて通れないウェット路面での安心感の高さが挙げられる。シリカ量が増やされたコンパウンドは、冷たい路面でも高いグリップ感を伝えてくれるし、ショルダー側に向かって溝が増やされ、排水性を高めているし、溝の多いトレッドからのインフォメーションも豊かだ。

一方で、センター部は溝が少なくされ、直進時はオンロードタイヤのようなガチッとした手応えがあって、直進安定性の高さを感じさせる。フルブレーキングでも、グリップ感の高いコンパウンドと相まって、しっかりブレーキを掛けることができる。

ただ、それだけに、車重が軽いスズキ・Vストローム650だと、直進時にタイヤに車体が負けている印象がないわけでもない。が、あくまでも感覚的な問題で、そのことが走りに悪影響を及ぼすことはない。

そしてさらに印象的だったのは、曲がり始めの高いグリップ力と旋回力を発揮してくれることだ。まるでオンロードスポーツのようにである。リアもトラクションを掛けやすく、スロットルを開きやすい。

それでも純粋なオンロードタイヤよりも溝が広くて深く、試してはいないが、望まない未舗装道もそれなりにこなせるに違いない。まさに全方位進化形だ。

路面状況にナーバスにならず常に楽しめるタイヤだ

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

試乗車のBMW R1200GSは、写真のフルドレス仕様だけでなく標準仕様も用意され、両方に乗った。フルドレス仕様も安定性の高さは変わらず、コーナリング中もしっかり感があって、オンロードスポーツ感覚で楽しむことができる。また、メリハリのある荷重コントロールが求められるが、それゆえスポーティでもある。

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

路面の生乾き状態に注目してもらいたい。写真のように水膜が薄ければ気にせずに走り抜けることができるし、水膜が厚いところでも、しっとりとしたグリップ感が維持され、挙動も乱されない。ツーリング中のワインディングを難なくこなすというよりも、スポーティに攻める気にさせてくれるのだ。

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

トレッドパターンは、従来型のA40よりも溝がセンター部で少ない反面、ショルダー側では増やされている。また、センターからサイドに向かう溝がハイアングル化されており、寝かし始めに曲がる力を発揮させやすく、これが高い旋回性にも貢献していると思われる。

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

コンパウンドは、シリカ含有量を増やすとともに、3分割式コンパウンドの『3LC』構造を採用。ショルダー側のコンパウンドが、コーナーで高いグリップ力を発揮してくれる。また、リアの3LCは、センター側のハードコンパンドをショルダー側の下層に潜り込ませる『CAP&BASE』構造で、コーナリングでのしっかり感を高めている。

卓越したコーナリング性能を持つ全方位型アドベンチャータイヤ『A41』試乗の画像

テスターは和歌山利宏。テストライダー歴は今年で44年目。まだまだ現役だ。試乗コースは伊豆のサイクルスポーツセンターの周回路で、前夜までの雨で濡れた路面が多く残っていたが、A41の全方位ぶりを確認するには、願ってもない状況であった。

※BATTLAX ADVENTURE A41は、BMW Motorrad R1200GS、R1200GS Adventureの2018年モデルの標準装着タイヤとして、BMW Motorradより技術承認を取得しています。
【タイヤサイズ】フロント120/70R19M/C、リア170/60R17M/C

ブリヂストン

ブリヂストン

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時間/9:00-17:00(月~金 ※土・日・祝および指定休日は除く)

1931年に福岡県久留米市で設立された世界最大手のタイヤメーカー。社名でありブランド名でもあるブリヂストンの由来は、創業者の石橋正二郎氏の苗字を英単語にして反対から読んだ造語であるのは広く知られたところ。古くからモータースポーツの世界へ積極的に参戦し、MotoGPやF1といった世界最高峰の舞台で数々の実績を残している。