プロも認めた使い易さと耐久性。メンテナンススタンドをバイクライフの一環に。
取材協力/有限会社J・スタイル  取材・文・写真/木村圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年10月29日
“レーシングスタンド”とも呼ばれることが多いメンテナンススタンド。サーキットを走るレース用車両ではサイドスタンドが元々無い、あるいは取り外されているから必要不可欠な用品といえる。それを使用することで得られるメリットはストリートバイクでも多岐にわたり、バイクライフの楽しみも広がるのだ。

INTERVIEW

耐久レースで実感した使いやすさ
ブレずに、サッとスタンドアップ

大型二輪免許を取得する際に行われているのが事前審査だ。その中の項目の一つにセンタースタンドがけがあり、いわゆる“コツ”さえ解っていれば難しくわないが、免許取得前のような経験値が低い状態だと、少々手こずることがあり、そのような経験をお持ちの方もいることだろう。

 

あれば何かと便利なセンタースタンドだが、最近では装備されておらず、オプション設定すらされていない車種も増えている。そのため先述の事前審査以降は、上げ下げする機会が無いとうケースも決して少なくないと推測される。

 

そのような状況下において、活用したいのがメンテナンススタンドだ。サイドスタンドでは不可能な“直立”した状態を得られるのである。それによって得られるメリットは多岐に及ぶ。洗車が楽になったり、リアタイヤが浮くことでチェーンのメンテナンスがし易くなったり、あるいはホイールのエアバルブをエアゲージなどが届きやすい位置にできたりなど、軽整備にも大いに役立つのだ。また駐車時の安定性もサイドスタンドに比べて相当に増す点も特筆すべき点だろう。

 

そんなメンテナンススタンドの専門メーカーがJ-TRIPだ。30年ほど作り続けており、一般ユーザーはもちろんのこと、バイクを扱うプロである二輪業界内にも多数の愛用者は多い。その中の1人である大阪府吹田市のカワサキ正規ディーラー、カワサキマーキュリーの代表の松村裕治さんにお話を伺った。

 

「J-TRIPのメンテナンススタンドは、この店をオープンする前からですから、10年以上は確実に使っていますね。実は最初の頃は、特にメーカーは意識していなかったんですよ。どれも同じようなモンだろうって。それが今では、商売柄たくさんのスタンドを持っていて使っていますが、ほとんどがJ-TRIPの物になってしまっています。

 

“これ、ええやん”と意識しだしたのは、サーキットでのことです。鈴鹿の4時間耐久レースでマシンがピットロードに入ってくると、まぁ、ホントはあまり良い使い方ではないんでしょうが、ライダーが降りずにマシンに跨がったままスタンドアップしちゃうんです。当然のことですけど、ライダーがいる分バイクは重くなっている。にも関わらず軽く、サッと上げられる。それでいて、スタンドの剛性が高いんでしょうね、上げる途中などでマシンがブレることもない。で、何処のだろうと確かめたら、J-TRIPの製品やったんです。

 

カワサキマーキュリー代表の松村裕治さん。レース活動にも積極的で、松村さん自身も2012年からニンジャ250を駆って参戦、楽しみながらも結果を残せるように奮闘中。

店内に置かれていたレース仕様のカワサキZRX1200ダエグ。リアに加えてフロントもJ-TRIPのメンテナンススタンドでアップされている。この状態では安定性が更に増しており、また長期保管時のタイヤの変形も防げる。

松村さんが一番気に入っているのが、スタンドで車両を上げる際の軽さ。面倒くささが全く無くなったそうだ。左右それぞれ2つずつあるローラー(車輪)が要となっている。

ブレずにサッと上げられるっていうのは、店のファクトリーでも有り難いことです。整備や修理で入ってくる車両は、ビッグバイクも多いですからね。クイック作業でない限りは、スタンドを使います。

 

よう考えてるなと思います。地味に改良してくるところが、いいですよ(笑)。新たに買い足すと、以前よりも確実に良くなっているんですから。ユーザーの意見を汲み取って、製品に随時フィードバックさせてもいるんでしょうね。欠点としては想定外の耐久性、丈夫過ぎることでしょうか?(笑)。1日何回もバイクの上げ下ろしをするのだから、5年ぐらいで悪くなれば、買い換え需要にもなるでしょうに(笑)。だから一般のユーザーさんだったら、一生モンとも言えるかもですね。

 

今のバイクは、といってもカワサキしかわかりませんけど、センタースタンドがあるのはW800ぐらいで、エストレアにオプション設定であるぐらいだったでしょうか。漏れている車種があるかもですが、ほとんどがサイドスタンドのみになっていますね。でも、買ってしばらくすると洗車なんかで車体を真っ直ぐに立てたいって思うユーザーさんも少なくなくて、そんな方にもメンテナンススタンドは良いと思います。サイドスタンドと比べると、駐車スペースを取らないし、安定もしていますし。幅や高さの調整機能や、あるいはアタッチメントを変えれば、バイクが変わっても使えます。耐久性もありますから、あっ、またここでも買い換えの需要の機会を無くしているスタンドですね(笑)」

 

プロも満足する使い勝手の良さと耐久性を持っていることを考えれば、J-TRIPのメンテナンススタンドは決して高い物ではないといえるだろう。だが、改めて購入するとなると、少々躊躇する価格ではあるのも事実だ。ならば、メンテナンススタンドもディーラーオプション的に、車両購入時のローンに組み込んで同時に入手してしまうのも一つの方法といえるだろう。

カワサキマーキュリーに入社して間もない女性スタッフの方(なので、まだ一般ライダーに極めて近い)がフロントスタンドアップに挑戦の図。力を入れずとも、スッと持ち上がった。

PICKUP PRODUCTS

車種に合わせて「受け」を変えることで
スタンドがけが簡単かつ安全にできる

J-TRIPのメンテナンススタンドは、車両とスタンドの接点となる部分にさまざまな形状の「受け」がラインナップされている。車種に応じた「受け」を利用することで、初心者でも安心してスタンドがけができるように設計されている。また、愛車を乗り換えた場合などは、この「受け」を車種に合わせたものに交換するだけで、メンテナンススタンド本体は流用可能になるのも注目ポイント。一度購入すれば、長く付き合えるメンテナンスアイテムなのである。

 

BRAND & SHOP INFORMATION

J-TRIPJ-TRIP

住所/大阪府藤井寺市大井1-4-32
TEL/072-952-2220

メンテナンススタンドを作り続けて30年あまり。現在では全日本選手権をはじめとするレースの現場でもトップチームのほとんどが採用するほどになった。自社製造であることの強みを活かし、使用される現場やユーザーの声を素早くフィードバックさせ、今なお進化し続けているのも大きな特徴だ。同社のウエブサイトでは、メンテナンススタンドの掛け方の動画などもアップされている。

カワサキマーキュリーカワサキマーキュリー

住所/大阪府吹田市内本町2-22-15
TEL/06-4860-7781
営業時間/10:00?20:00
定休日/水曜

大阪府吹田市の国道479号線(内環)に店舗を構えるカワサキ正規ディーラー。ツーリングや試乗会といった一般向けのイベントの開催のほか、レース活動にも積極的に行っており、全日本選手権へのスポット参戦やテイストオブツクバ、もて耐などにも挑んでいる。それらレースで得られたさまざまなノウハウは、ストリートの車両にもフィードバック。