掲載日:2019年06月07日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
基本的に写真などを見て「これ面白い!」とか、単純に「描いてみたい!」と直感で感じたバイクを描いている。見た目で選ぶことがほとんどだが、そこから詳細を調べて行くと意外な背景を知ることがあり、1度に2度楽しめることがある。今回のスズキのホッパーはそんなバイクだった。
まず目を引くのは、ガソリンタンクと車体を一体化したボッテリボディと、そこに並ぶ3つのマル。右側の一か所はキーのシリンダーとして使われているが、ほかは実用性はあまりなくデザイン的なもの。しかしこの3つのマルが、ホッパーのいいアイコンになっている。これを無駄と見るか、遊び心と見るか? 人それぞれだけど僕は好きです。
また小さくて太いタイヤ、アップ気味のハンドル、フロントフェンダー、マフラーなどを見ると、スピードよりも楽しむことが優先されているのがわかる。英語で“HOPPER”はピョンピョン飛ぶものや虫、あちこち飛び回る人という意味がある。まさに、小回りを利かせて、デコボコの河原を走ったり、複雑に入り組んだ路地裏を走り回ったり、そんなシーンが目に浮かぶ。
実はこのホッパー、車に積めるレジャーバイクとして登場したホンダのモンキーに対抗してスズキが発売したバイク。こう見えてハンドルは折りたたみ式、3段階で高さ調節も可能、さらにシートの高さもダイヤルで調整できるという優れもの。ポップなスタイリングなのにレジャーバイクの機能を兼ね備えた、ハイレベルな原付なのだ。当時はあまり売れなかったらしいが、いま乗っていたら注目の的になれる……かも(笑)。