2013 FIMトライアル世界選手権シリーズ第1戦 STIHL日本グランプリ

掲載日:2013年06月03日 フォトTOPICS    

文/河合 由起奈  写真/河合 宏介、河合 由起奈  取材協力/MFJ 株式会社モビリティランド

日本トップライダーの藤波貴久選手。2004年に日本人初の世界チャンピオンを獲得。「フジガス」(アクセル全開!)のニックネームで知られる世界でも有数の選手です。1980年生まれの33歳。

ノンストップルール復活
王者T・ボウを抑え藤波優勝

2013年4月27日、28日で栃木にあるツインリンクもてぎで「2013 FIMトライアル世界選手権シリーズ第1戦STIHL日本グランプリ」が開催されました。2日間に渡る激戦の初日である、27日の様子を紹介します。

北関東でも早々に桜が散ってしまい、野山は青々とした新緑、前日の大雨が嘘のように当日は青空が広がり、一足早い五月晴れを感じさせる少し汗ばむような陽気。例年の開催日程より2か月早く、開幕戦1日目がGW初日という事もあり、家族連れの姿も目立ち、会場は大変な賑わいを見せていました。

今年はトライアル特有の「止まる」というテクニックが減点対象になる「ノンストップルール」の復活とともに、規定時間内に12セクションを3周するというスピードも要求される条件。その過酷な条件の中、日本トップライダーの藤波貴久選手は1日目こそ4位。惜しくも表彰台を逃したものの、2日目は見事3年ぶりの優勝を飾り、快調な開幕戦となりました。今後、7か国、7戦を行ないそのトータルの点数により今シーズンの王者が決定します。

8か国を巡るトライアル世界選手権の中でも、日本グランプリは「世界で最もトライアルを観戦しやすいグランプリ」と呼ばれるほど整備された環境で、そしてトライアル競技は、「バイクを知らない」、「選手が分からない」という初心者でも、ややこしい知識抜きで直感的に楽しめるイベントです。今年はスタートセレモニーと第12セクションがお試し観戦エリアでした。毎年チケットがなくても無料で観戦出来るエリアがあり、ちょっとお試しでも観戦する事が出来ます。来年はハイキングを兼ねてお手軽観戦してみませんか?

フォトTOPICS(写真点数/41枚)

01スタート台の上空には2013年3月30日からスタートした「メガジップラインつばさ」が見えます。全長343メートルという距離をハーネス付きの滑車でワイヤーケーブルを移動するアトラクションで、まさに空飛ぶ感覚を楽しめます。

02当日はペット連れの観客も見られました。スタート台前には、人工セクションが組まれ、デモンストレーションのような雰囲気を楽しむ事が出来ました。

03第1セクションのトニー・ボウ選手。やはり連続チャンピオンという事もあり、多くの観客が詰めかけました。1周目は見事減点なしの「クリーン」で通過。1986年生まれの27歳。

04日本一のテクニックを持つといわれる藤波貴久選手だけあり、第1セクションを難なくクリーンで通過していきます。

05同じく第1セクションでのアダム・ラガ選手。2005年、2006年のチャンピオンであり、優勝候補の注目選手のひとり。1982年生まれの31歳。

06今年はチェンソーで有名なSTIHL(スチール)がタイトルスポンサーで、会場のあちらこちらで丸太のベンチが設置されていました。

07第2セクションでのペレ・ボレージャス選手。観客が選手を見守る中、次に走る選手たちは、すでに自分のルートを考えています。ランキングが高くなればなるほど、走る順番が後になり、前の選手が削った斜面を走る事になります。

08第2セクションのアダム・ラガ選手。第1セクションと同じくクリーンで通過していきます。

09第2セクションの藤波貴久選手。華麗なジャンプで大岩を超えていきます。残念ながら、1周目はこのセクションで5点のペナルティーがありました。トライアルのルールでは1セクション内で、最高でも5点までのペナルティーしかありません。

10第2セクションのトニー・ボウ選手。やはりここもクリーンで通過していきます。

11第3セクションのジェームス・ダビル選手。木もれ日の中を疾走するこのセクションでは、雨の影響を受けやすく、泥が付きやすい場所でもあります。この斜面を下ると、大岩越えが待ち受けています。

12土の斜面を下った後の大岩越え。難所と言われるひとつです。助走する場所がほとんどなく、ジェームス・ダビルス選手はここで5点のペナルティーになってしまいました。

13岩盤ゾーンのプレミアム観覧席では、スロープで上がる事が出来るので、車いすでの観覧も可能になっています。

14ツインリンクもてぎ名物セクションの岩盤ゾーンは、初めてトライアルを観戦する人が一番驚く場所でもあります。スタートを切った藤波貴久選手を待ち受けるのは、垂直に近い岩の斜面です。

15ロープを掴んだマインダーと呼ばれるサポート役が、垂直に近い岩の上でマシンを待ち受けます。登りきれず滑落しそうになった場合、ここでマシンを捕まえ引き上げます。

16アダム・ラガ選手もスタートを切りました。1周目は第5セクションまでをすべてクリーンで通過をしていきました。

17トニー・ボウ選手も切り立つ岩を登っていきます。第5セクションでゲートマーカーを動かしてしまい、5点のペナルティーを受けてしまいました。

18岩盤ゾーンと言われる、第4、第5セクションは、全セクションの丁度中央に当たり、スタートから観戦し始めるとお昼時間のタイミングに、この場所での観戦になります。スナックで軽く満たすのもよし、ガッツリ食べるのもよし。この道路は歩行者専用となっているので、レジャーシートを敷いても構わないエリアになっていました。

19中央エントランス近く、モビパーク内の人気アトラクション「キッズバイク」が4月27日、28日限定でウッドチップコースが設営されていました。プチトライアル体験に子供たちも嬉しそうでした。

20中央エントランスの広場では、子供たちが遊べる遊具が設置されていて、子供連れの方で賑わっていました。

21STIHL(スチール)のブースでは、チェンソーカービングアートが開催されていました。タイミングが悪く、パフォーマンスを実際見る事が出来ませんでした。「じゃ、雰囲気だけ!」とノリの良いスタッフの方と一枚。

22毎年恒例、大人気のストライダーエンジョイカップ。2歳~5歳までのお子様までのペダルなし2輪車、ストライダーを使ったレースです。実況付きという本格的なレース仕立てで、子供も大人も大興奮でした。

23HRCのブースでは、実際のマシンにまたがってみる事が出来ました。普段触る事が出来ないバイクに子供たちが大はしゃぎで乗っていました。

24第12セクションの近くにあるハローウッズの駐車場に、カスタムフィールドが登場していました。トライアルを中心にした、カスタムパーツやウェアやグッズが展示販売されていました。

25第11セクションは、すり鉢状の急斜面を駆け上がる「ヒルクライム」のコースに変わりました。バイクで走る選手が触れる距離で観戦出来る、お勧めのセクションです。難易度は高く、1日目3周連続クリーンだったのは、トニー・ボウ選手とアダム・ラガ選手だけでした。

26第11セクション、ジュニアクラスの吉良祐哉選手が挑戦です。1992年生まれ21歳。トライアルデモンストレーションでもおなじみの選手です。

27同じく第11セクション、ジュニアクラスのハカン・ペダルシャン選手がトライです。ワールドクラスにはノルウェーからの出場者がいないので、なんとしてもワールドクラスに上がりたいという気迫が窺えました。

28第11セクション、3周目でやっとクリーンを叩き出した瞬間の藤波貴久選手。満面の笑顔とガッツポーズを決めた藤波選手に観客から歓声が上がりました。トライアルファンならご存知の成田省造さんも満面の笑顔で拍手を送っていました。

29第11セクション出口付近は、マシンと選手が間近で見られる絶好のポイントです。広場はファミリーエリアにもなっているので、子供連れでもゆっくりと観戦が出来ます。

30今年は第12セクションが、無料観戦席となっていました。脚立エリアも分けられ、より観覧しやすく整備されていました。

31第12セクションの小川毅士選手。「つよし~!」と黄色い声援の中、最終セクションで奮闘します。

32同じく第12セクションでの小川友幸選手。愛称は「ガッチ」。2007年の全日本チャンピオンです。三重県四日市市でトライアルスクールを開催していて、直接、小川選手にテクニックを教えてもらう事も出来ます。

33第12セクション、アルベルト・カベスタニー選手。第1日目は表彰台3位を飾り、今期の注目選手でもあります。1980年生まれ、33歳。

34全日本トライアルの最高峰クラスで、史上最多の11回チャンピオンという記録を持つ黒山健一選手は、日本を代表するトップライダーのひとり。

35第12セクション、最終周回での藤波貴久選手。ペナルティー3点で通過し、合計69点。惜しくも表彰台を逃し、1日目は4位という結果で終えました。2日目は、ファンの期待に答えるかのようにトニー・ボウ選手、ジェロニ・ファハルド選手を抑え、見事優勝を勝ち取りました。

361日目、最終走者のトニー・ボウ選手。第12セクションを2点で通過し、合計25点。1日目は第12セクションをクリーンで通過できた選手はおらず、トニー・ボウ選手、アルベルト・カベスタニー選手の2名のみが2点で通過できました。

37125ccクラスの表彰です。1位ピエトロ・ペトランギリ選手(中央)、2位カーレス・デ・コーデムバーグ・クエンティン選手(左)、3位ケニー・トーマス選手(右)。

38OPENクラスの表彰です。1位 岡村雅敏選手、2位 砂田真彦選手、3位 松浦翼選手。

39ジュニアクラスの表彰です。1位ホフレ・カサレス選手(中央)、2位ポル・タレス選手(左)、3位ジャック・シェパード選手(右)。

40ワールドクラスの表彰です。1位トニー・ボウ選手(中央)、2位アダム・ラガ選手(左)、3位アルベルト・カベスタニー選手(右)。

414月27日のみ表彰式の終了後、ライダーサイン会が開催されました。藤波貴久選手に直接サインをもらえて、子供たちも嬉しそうでした。2日目は、表彰式終了後、競技中は立ち入り禁止のセクションが開放され、実際にライダーが走ったセクションを歩く事が出来ました。

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