掲載日:2011年03月10日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/田宮 徹
07年秋にデビューしたWR250Rは、超本格的なオフロード走行性能が追求されたモデル。WRという車名は、これまでヤマハのエンデューロレーサーに使われてきた。このWR250Rは、レーサーとはまったく異なる設計を行いながら、WRの名に恥じぬ性能が実現されている。エンジンは、完全新設計の水冷DOHC4バルブ単気筒。燃料供給はF.I.で、鍛造ピストンや軽量なチタン製の大径吸気バルブなどを採用する。最高出力は31馬力と、以前よりかなり厳しくなった平成18年排出ガス規制をクリアする250cc単気筒モデルとしては、かなりパワフルだ。一方で、車体もレーサー系とは異なる完全専用設計となっている。もっとも特徴的なのはフレーム。メイン部は、鋳造と鍛造のアルミパーツを高精度で溶接した構成となっている。ダウンチューブ部とリアセクションは鋼管製だ。モトクロッサーでは21世紀に入って一般的になったが、公道用オフロードモデルでアルミ製フレームを使うモデルはごくわずか。競技用モデルなどで培ったヤマハのアルミ技術があったからこその設計だ。
もちろん、高性能なエンジンや骨格に負けず劣らず、足まわりやブレーキも高いパフォーマンスを発揮する。倒立式のフロントフォークと、リザーブタンク付きのリヤモノショックは、フルアジャスタブル式となっていて、きめ細かくセッティングが調整できる。アルミ製のスイングアームは、クロスメンバー部がアルミ鋳造、左右アーム部が押出し材、エンド部に鍛造材が使われ、ここにもヤマハの高い技術力が感じられる。また、前後ブレーキディスクはウェーブ型となっている。
オフロードではエンデューロレーサーに迫る走行性能を発揮するが、国内メーカーのナンバー登録できるモデルなので、当然ながら扱いやすさや静粛性、耐久性も十分に考慮されているから安心だ。07年秋の登場から11年型までは、毎年のようにカラーまたはグラフィックにのみ変更を受けている。新車でも中古車でも、オフロードファンならぜひ一度、この高性能を味わってもらいたい。