掲載日:2014年12月19日 モタード魂
文/小布施 倫行(CP sports) まとめ/ダートライド編集部
掲載日/2014年12月19日 文/小布施 倫行(CP sports) まとめ/ダートライド編集部
今回はユーザーさんからカスタムバイクの投稿がありましたので、そちらを紹介したいと思います。車両はカワサキのDトラッカーで、オーナーのTakeyoshiさんはウィリーの練習用に購入したそうです。
ではまず、そのTakeyoshiさんの紹介文を見てみましょう。
このバイクのオーナーであるTakeyoshiは、アプリリアのRS125やRS4 125などの原付二種スポーツバイクを乗りついできた大学生。そんなある日、お台場でshin木下さんのスタントバイクショーを見てウィリーに憧れ、ウィリーの指導を行っているAKMバイクコレクションを訪れました。そこでウィリーの練習バイクとして勧められて購入したのが、今回紹介する2006年式のカワサキ Dトラッカーです。ウィリーの練習をしつつカスタムを進めていき、約1.5年で現在の姿となりました。
コンセプトは『凄みのある黒』です。もともとオフロードバイクの派手なグラフィックデカールに違和感を感じ、車体をマットブラックにオールペイントしたのがすべてのカスタムのきっかけです。学生で資金に限りがあるのでオーリンズやマルケジーニといったパーツは買えませんが、工夫してカスタムをしてきました。すべてのカスタムを自力で行ったので、総額は10~15万円程です。
凄みのある黒い車体にするために、外装パーツの大半(カウル・ハンドルなど)を黒い製品に交換、金属パーツ(チェーンガード・サイドスタンドなど)の黒塗装、フロントカウルのゼッケン化、前後灯火類のスモークレンズへの交換他を行いました。珍しいと思うカスタムとして、フロントフォーク、リアスイングアームのカーボンラッピング、フロントゼッケンプレートにあるLEDチューブのカスタムが挙げられます。これら独自のカスタムにより、凄みをバイクに与えています。
基本的に街乗りで使うので、走行性能に影響を与える部分にはほとんど手を加えていません。タイヤを前後ピレリのスポーツデーモンにし、リアを140にサイズアップしたのと、もともと付いていたKLEENシステムを取り外しそれに合わせた純正キャブのセッティングだけは行いました。
なるほど。思い入れを持ちながら、細かくセルフでカスタムした1台ということですね。
Takeyoshiさんは、部分写真に細かい解説も付けてくれているので、続いてそちらの紹介です。
それではここからは私、小布施が見たこのDトラッカーについてお話しましょう。まず、感想からです。
ブラック主体のまとまった感じが無駄のなさを主張しており、まるでレーサーの様な印象で、ライト類などの小型化と配置にはレーサーの雰囲気を演出するセンスを感じます。その上で、モタードの特徴もとらえていて良い仕上がりですね。
ただ指摘箇所がないわけではありません。要望とグレードアップ箇所の両面で提案してみましょう。
左右レバーの先端ですが、カットしただけでなく、先端にR加工が欲しいですね。アクシデントなどの時、鋭利な箇所があるのは二次トラブルの元なので、純正形状と同様のボール状にした方がよいですね。同じ理由で、ハンドルのクロスバーにはプロテクター装着を奨めます。ちなみにですが、どちらもレースにおいては必須事項になります。
もう一つの要望としては、チェーンのメンテナンスにも気を使いたいところですね。特に汚れがひどいと言う訳ではありませんが、ローラーOリングだと思われる部分で少し気になりますので、洗浄と注油はこまめにしたいところです。それと、モタードのサスストロークにしてはチェーンの遊びが少ないと思われます。フルストローク時にチェーンが張り切ってしまうと、チェーンの負担だけでなくスプロケットやホイールベアリングにも負担がかかってしまいます。
次に、グレードアップについてです。Fブレーキホースが、ローダウンに合っていない感じです。ハードチューブを一部カットして、ゼッケン前の曲がり部分を綺麗なRになるよう合わせるか、メッシュホースなどに替えて長さを合わせては如何でしょう。あと、フロントのブレーキローターを320mmにしてはどうでしょうか。ルックス的にも迫力が違うのと、もちろん効きも違います。可能なら、マスターシリンダー/キャリパー変更もお薦めします。
あと、ここからは好みの問題にもなりますので、個人的な見解として参考程度に捉えてください。せっかくフロントゼッケンとハンドガードに照明のアクセントがあるので、サイドゼッケンでも何かブラックを引き立たせる様なラインステッカーや若干のデザインカラーとか、何らかの施しがあるとよいかと思います。ゼッケン面は広さもあるので、何もないと手を抜いた感のようにも見えてしまいます。ぜひ一考ください。
レーシングカートのワークス/開発を経て、ホンダ系でのワークスマシンの開発とレーシングスリックタイヤの開発を担当。1990年に長野でCP sportsを創業、事業を開始する。CP sports発足後はロードレース地方選手権チャンピオンを輩出、モトクロスでも全日本選手権で上位シングルのライダーを輩出し、1998年の長野オリンピックではボブスレーのテクニカルディレクターを務め、日本チーム史上最上位を得る。その後、モタードの全日本に専念し、レーシングパーツ開発とモタードスリックの開発も担当し、2006年にCRFで、2010年にハスクバーナで全日本モタードProクラスチャンピオンを獲得する。06年より全国各地でのモタードスクール・講座もしていて、受講者の中には全日本モタードの優勝者も出ている。