2013 AMA モトクロス ラウンド9 ミルビル MN レースレポート

2013 AMA モトクロス ラウンド9 ミルビル MN レースレポート

掲載日:2013年08月02日 エクストリームモトクロス    

文・まとめ/宮本 将平

450cc クラス

450cc クラス moto1

 

450cc クラス moto2

 

J・スチュワートが今シーズン初のモトウィン&オーバーオールウィン

前ラウンド、ワシューガルでは地元でポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)が、またもライアン・ダンジー(KTM)と優勝を分け合うラウンドとなった。シーズン前半はビロポートがほぼすべてのレースに勝利していたが、ここへ来てダンジーが勝利数を伸ばしてきている。そして今回のラウンド9、ミネソタ州のスプリングクリークはダンジーの地元ラウンド。ダンジーとしてはバッズクリークでのDNF(リタイア)で開いてしまったビロポートとのポイント差を少しでも詰めて、残り3ラウンドに挑みたいところだが、今回はおもわぬライダーがレースを沸かせる事になる。

 

モト1(30分+2周)、ホールショットはランキング3位のジャスティン・バーシア(ホンダ)。その後にチームメイトのトレイ・カナード(ホンダ)、そしてダンジー、ビロポート、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)らが続いた。しかし、すぐにビロポートが単独でクラッシュ、ケガこそなかったものの、ほぼ最後尾からのレースとなってしまう。トップのバーシアから4位のスチュワートまでほとんど差がないままレースは進行するが、まず動いたのはスチュワート。ダンジーをあっさりとパスし、3位のカナードにも迫る。一度はカナードをパスするが、その周にエンジンをストールさせてしまい、再びカナードが前へ出るが、この日のスチュワートのサンドフープスのスピードは凄まじく、再びそのセクションで2位を奪い返し、さらにトップのバーシアもサンドフープスであっさりとパスしトップを奪った。このままレース終了かと思われたラスト3ラップ、バーシアをパスしたカナードが再びスチュワートに迫りはじめ、サイドバイサイドの攻防戦が展開され始める。しかし、今回はスチュワートが落ち着いたライディングでこのピンチを乗り切り、今シーズン初のモトウィンをマークする。

 

モト2、ホールショットはモト1で今シーズン初優勝を果たしているスチュワート。背後にはダンジー、マイク・アレッシ(スズキ)、カナードらが着ける。注目のビロポートは10位前後からのスタートとなった。スチュワートはアグレッシブなライディングでペースアップするが、一瞬のスキをついた地元のダンジーがトップを奪う。しかし、スチュワートは気合いで一度はトップを奪い返すが、再びダンジーがトップへ。さらに後ろからはカナードも迫っていて、今度はスチュワート VS カナードのバトルが2位をかけて争われる事に。長く続いたこのバトルは結局カナードが制し、2位のポジションを確立する。一方、ビロポートは4位までポジションをアップさせるが、3位のスチュワートを脅かすまでには至る事が出来ないでいた。レースは結局ダンジーが前半で奪ったトップを守りきり優勝。2位にはカナード、そしてスチュワートが3位に入った。

 

今回は、スチュワートが常勝だった頃を彷彿させるようなキレのあるライディングで、オーバーオールウィンを手にした。一方、ランキングトップのビロポートは、彼らしくないクラッシュやミスで6-4という、今シーズンワーストのリザルト。これにより、ランキング2位のダンジーとのポイントは34。残り3ラウンドとなった450クラスは依然ビロポートが優位な状況にあるが、ダンジーの巻き返しはあるのか。次のラウンドでタイトルの行方が見えてくるかもしれない。

 

450cc クラス レース結果
順位 総合 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー
1 1-3 7 J・スチュワート Yoshimura Suzuki   Suzuki
2 2-2 41 T・カナード Team Honda Muscle Milk   Honda
3 5-1 1 R・ダンジー Red Bull KTM   KTM
4 3-5 51 J・バーシア Team Honda Muscle Milk   Honda
5 6-4 2 R・ビロポート Monster Energy Kawasaki   Kawasaki
6 7-8 29 A・ショート BTO Sports KTM   KTM
7 11-6 800 M・アレッシ Motoconcepts Racing   Suzuki
8 10-7 22 C・リード TWOTWO Mortorsports   Honda
9 9-9 12 J・ワイマー Monster Energy Kawasaki   Kawasaki
10 8-10 20 B・ティックル RCH Suzuki   Suzuki
450cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 ポイント メーカー
1 2 R・ビロポート 413   Kawasaki
2 1 R・ダンジー 379   KTM
3 51 J・バーシア 307   Honda
4 7 J・スチュワート 269   Suzuki
5 41 T・カナード 263   Honda
6 800 M・アレッシ 195   Suzuki
7 29 A・ショート 191   KTM
8 12 J・ワイマー 184   Kawasaki
9 20 B・ティックル 183   Suzuki
10 33 J・グラント 176   Yamaha

 

 

 

250cc クラス

250cc クラス moto1

 

250cc クラス moto2

 

E・トマックが2ラウンド連続の完全勝利で逆転首位へ!

イーライ・トマック(ホンダ)が前ラウンド、ワシューガルでの完全勝利で、トップのケン・ロクスン(KTM)とのポイント差をわずか1に縮めた250クラス。ロクスンとしては再びポイントリードを広げたいところだが、ここ数ラウンドのトマックはコンディションも良く、完全にトマックの方へ流れが傾いてきているようにも感じる。マービン・ムスキャン(KTM)もしっかりとランキング3位に着けているが、トップ2とのポイント差は大きく、事実上タイトル争いは残り4ラウンドを残し、トマックとロクスンに絞られてきた。

 

モト1、ホールショットはウィル・ハーン(ホンダ)、その後にルーキーのジェレミー・マーティン(ヤマハ)、ムスキャン、ジャスティン・ボーグル(ホンダ)、ロクスンらが続く。2ラップ目、早くも4位に上がってきたロクスンがサンドフープスセクションでムスキャンに並びかけると、次のコーナーでアウトサイドからあっさりとパスし、今度はマーティンにも襲いかかるがマーティンは簡単には譲らない。3ラップ目、今度はマーティンがトップのハーンとの距離を詰め始め、トップ3による接近戦がスタート、まずはロクスンがマーティンをパスする。しかし、4ラップ目に入ったところでロクスンがビッググラッシュし、ここでDNFとなってしまう。一方、スタートに失敗したランキング2位のトマックだったが、すでに8位までポジションをアップさせていた。ロクスンのクラッシュで完全にトップ争いは2人に絞られたが、レース中盤に入った頃にマーティンがハーンをパス、その後ハーンはずるずるとポジションを落とす事になる。代わって2位に上がったのはムスキャンだったが、その背後にはすでにトマックが迫っていて、すぐにムスキャンをパス、ここからマーティンとの戦いがスタートする。ラスト5分、ついにマーティンの背後にまで迫ったトマックは下りのジャンプであっさりとパス。そこからは完全に独体制を築き、トマックがそのままチェッカーを受けた。

 

モト2、ホールショットはまたもやハーン、背後にはマーティン、ブレイク・バゲット(カワサキ)、ロクスンらが続いたが、すぐにバゲットがマーティンをパスすると、2ラップ目にはハーンもパスし、トップに立つ。3ラップ目、モト1でDNFに終わったロクスンがハーンをパスしトップのバゲットへの追撃態勢を整え、そのままの勢いでバゲットもパスしトップに立つ。一方、モト1のウィナー、トマックはこのレースもスタートに出遅れたが、レース中盤には3位までポジションをアップさせていた。トップに立ったロクスンはクラッシュの影響を感じさせないライディングでトップを快走していたが、2位に上がってきたトマックを抑えることは出来ず、トップを譲る事になってしまう。ロクスンも健闘するが、その差は少しずつ開き最終的にはトマックが10秒以上の大差でパーフェクトウィンを飾り、2位にはロクスン、3位にはバゲットが入った。

 

今回のラウンド9、スプリングクリークではトマックが今シーズン一番と言っていいパーフェクトなレースで、1-1のパーフェクトウィンを飾った。もちろん、ランキングトップのロクスンはクラッシュしたモト1の影響もあり、トマックにレッドプレート(ランキングトップのライダーのみが装着出来る赤ゼッケン)を譲る事となってしまった。しかも、27ポイントという大きなアドバンテージをつけられて。ロクスンは、残り3ラウンドでこの差を逆転する事は出来るのか。今のトマックに死角は見当たらないが、何が起こるかわからないのもレース。ここから再び死闘を繰り広げ、ファンを魅了してもらいたい。

 

250cc クラス レース結果
順位 総合 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー
1 1-1 17 E・トマック GEICO Honda   Honda
2 4-4 25 M・ムスキャン Red Bull KTM   KTM
3 3-5 21 J・アンダーソン Rockstar Suzuki   Suzuki
4 2-7 77 J・マーティン StarRacing   Yamaha
5 6-3 1 B・バゲット Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki
6 5-6 34 J・ボーグル GEICO Honda   Honda
7 8-8 19 W・ハーン GEICO Honda   Honda
8 7-11 317 J・ヒル Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki
9 35-2 94 K・ロクスン Red Bull KTM   KTM
10 11-9 338 Z・オズボーン GEICO Honda   Honda
250cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 ポイント メーカー
1 17 E・トマック 405   Honda
2 94 K・ロクスン 378   KTM
2 25 M・ムスキャン 334   KTM
4 1 B・バゲット 295   Kawasaki
5 338 Z・オズボーン 261   Honda
6 21 J・アンダーソン 238   Suzuki
7 34 J・ボーグル 209   Honda
8 77 J・マーティン 207   Yamaha
9 38 K・カニンガム 183   Yamaha
10 175 C・ウェブ 170   Yamaha

 

 

 

 

 

宮本 将平
プロフィール
宮本 将平

WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。

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