モトクロスIA1ライダー 北居良樹とKTMの出会い

掲載日:2013年05月09日 エクストリームモトクロス    

取材・写真・文/ダートライド編集部  取材協力/うず潮レーシング福山

モトクロスIA1ライダー 北居良樹とKTMの出会い

IA1ではベテランライダーになりつつある
KTMバイクを表彰台に上げるのが悲願

北居良樹選手は1983年生まれの大阪出身ライダー。4歳の頃よりバイクに乗り始め、その中でメキメキと実力を付け、2000年にスズキ系のセミファクトリーTeamSRMが出来たタイミングで加入。そこから11年と長い期間、同チームで走り続ける。現在は、日本国内で唯一、KTMのオフィシャルチームに当たる『KTMうず潮レーシング福山』に所属し、2013年の時点で3年目の在籍となる(ゼッケンは11番)。近年、KTMはAMA(米国)でもFIM(欧州)でも、今まで強かった日本4社(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)の牙城を崩す勢いで勝利を重ねている。筆者も同社の250SX-Fに乗った事があるのだが、良い意味での『外車感』のある車両で、ファクトリーバイクにもそれを駆る選手にも興味があった。全日本モトクロス選手権 第2戦関東大会のパドック設営日(金曜日)、うず潮レーシングのオレンジ色のテントを訪ね、話しを聞いた。

 

 北居選手というと『スズキ』のイメージがありますが、そこからどのような経緯でKTMにスイッチしたのですか?

北居良樹選手(以下、北居)  確かにスズキが長かったです。11年も乗っていましたからね。それで、スズキからすぐにKTMに変わったと思っている人が多いんですが、実は1年ブランクがあります。その時はH社に乗っていました。それで翌年に乗るバイクがないっ、という時に何かのきっかけで戸田(蔵人/くらうど選手)君に相談をしたんですね。そうしたら、彼がうず潮レーシングの岩本社長と仲が良くて、チームを紹介してくれたんです。それがきっかけです。

 なるほど。

北居  26歳の時の話しなんですが、あのきっかけがなかったらモトクロスは辞めていましたね。凄く貴重な出会いでした。

 そのKTMデビューの年に、丁度、中間排気量になる350ccモデルが登場して、いきなりそれで出走したと記憶していますが?

北居  本番車は350SX-Fでしたが、テスト用としてリンクレス/キャブレターのバイクを別に借りていました。エンジンの印象は良かったのですが、やはりリンクレスのサスペンションは挙動が独特でしたね。フレームの特性は好みで、乗り易かったです。ただ、実戦は残念ながらトラブルが多く、勝利数うんぬんより、完走率が低かったです。ヒート1は調子良くてもヒート2で何か起きるとかで、難しい1年でしたね。

 新しい物にとかくつきまとう苦労は多かったようですね。

北居  でも、昨年(2012年)は良かったですよ。バイクは450ccに換えて、ラスト2周で転倒して逃してしまいましたが、表彰台圏内というレースもありました。結果的には後半戦は怪我で辛いシーズンとなりましたが、こればかりは仕方がありません。モトクロスをやっていると、どうしても付きものですので。

 実は、先日も怪我をされたとか?

北居  ハイ。先週、この川越のコースにクルマを運転して6時間くらい掛けて練習に来たのですが、スタートしてすぐに前転して、ぎっくり腰になりました。何しにわざわざ来たんでしょうね(笑)

 ……。お大事にしてください。ところで、オフシーズンはどのように過ごされましたか?

北居  完全なプロライダーではないので、仕事をしながら練習もしている、という感じです。両立は決して楽ではありませんが、今季は、開幕の熊本も調子悪くないですし(7/5位)、確かIA初の表彰台はこの川越大会なので、今回の相性も悪くないと思います。

 北居選手はキャリア的にはそろそろベテランクラスに入ると思いますが(29歳)、その辺りはどのように考えられていますか?

北居  ぼく、基本的にはレース中毒なんですね。普通に社会人を過ごしていたらまず味わえない魅力がモトクロスにはあります。ですので、バイクには一生乗りたいですね。今も、まだ先輩格になる成田選手や熱田選手がバリバリ活躍しているので、ぼくの潮時も最低でもあの年齢までイケると思っています。もちろん、生活を第1に考える必要はあるので、そことのバランスは大事ですが、まずはKTMを勝たせたい。KTMバイクを表彰台に上げたいですね。

 強い意気込み、頼もしいです。それでは最後に、モトクロスを見る側からの魅力を、北居選手ならではの分析でお願いします。

北居  そうですね、横1列に並んで1コーナーまで全員が走り込むスタートや、お互い一歩も引かない一対一の勝負。それに、ライダーもバイクも観客と驚く程距離が近い、というのがモトクロス独特の楽しさや良さだと思います。大人になるとそうなかなか、砂だらけになったり砂埃を肺に吸い込む事なんてないと思います。モトクロスは見るだけでもとても魅力あるスポーツなので、ぜひ一度見に来て盛大に汚れてください!

 はは、そうですね。大人になるとなかなか機会がありませんよね。本日は、ありがとうございました。

 

土曜日の予選はまだそれほど雨は強くなく、埃が立たない程度の湿り気具合で、走りにそれほど影響はなかった。

土曜日の予選はまだそれほど雨は強くなく、埃が立たない程度の湿り気具合で、走りにそれほど影響はなかった。

土曜日の公式予選は出走台数が上限に満たなかったため、グリッド決めの予選走行だけが行われ、北居選手は痛む腰をかばってか17位というポジションでチェッカー。翌日の決勝レースは、前夜から降り始めた雨が止まず、深刻なマッドコンディション。前走者が巻き上げた泥で正面からでは誰かを判別出来ないほどライダーもバイクも泥だらけになった難コンディションの中、重い泥に捕られるバイクを操り、13位でフィニッシュ。昼過ぎから雨は止んだものの、水を含み完全に泥沼と化したコースを、怪我を負った身体で走るのは厳しく、ヒート2は11位。総合13位という結果で関東大会を終えた。

 

次戦は2013年5月11日(土)~12日(日)に、チームの地元となる広島県 グリーンパーク弘楽園で開催される。体調を万全に整え、表彰台にKTMが上がる時を心待ちにしたい。

 

重い泥がまとわりつかないセミマッドのコンディションなら、怪我をした身体へのダメージもまだ少なく快走を見せる。

重い泥がまとわりつかないセミマッドのコンディションなら、怪我をした身体へのダメージもまだ少なく快走を見せる。

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