レンチ類の使い方

掲載日:2010年09月28日 バイク基本整備のイロハ工具の使い方実践    

工具の使い方・1 レンチ類の使い方

バイクに使われているビスやボルト、ナットを緩めたり締めたりする際に欠かせない工具。カスタムやレストアといった大がかりなバイクいじりだけでなく、日常的な整備やメンテナンス作業でも工具が必要となる場面は多いもの。ここでは、さまざまな工具の種類や使い方の紹介を通じて楽しくバイクいじりを実践し、トラブルを未然に防ぐテクニックを解説しよう。

スパナやメガネがあれば
ボルトやナットが楽に外れる

エンジンやフレーム、足周りなど、2つ以上の部品をつなぎ合わせる際に用いられるのがビスやボルトなどの接合用部品です。複数の部品をつなぎ合わせるためには、素材同士を恒久的に接合する溶接という手段もありますが、この場合一度接合した部分を取り外すことはできません。

 

一方、ビスやボルトを用いると、一度接合した部分を後から任意に取り外すことができます。また、アルミと鉄、鉄と樹脂といった異なる素材同士を接合する場合にも、ビスやボルトが適しています。

 

ドライバーで締め付けや緩めを行うビスとボルトを比べると、一般的にボルトの方がビスよりも太さや長さなどのサイズが大きいことが多いです。ここではボルトやナットに的を絞り、それらを着脱するスパナやメガネなどのレンチ類に注目します。

サスペンションの取り付け部分やアクスルシャフトの締め付け部分など、バイクのいたるところに使われているボルトやナット。これらの結合部分の着脱に必要であり便利なのが、スパナやめがねといったレンチ類です。

サスペンションの取り付け部分やアクスルシャフトの締め付け部分など、バイクのいたるところに使われているボルトやナット。これらの結合部分の着脱に必要であり便利なのが、スパナやめがねといったレンチ類です。

 

ボルトやナットの大きさを示すには、ネジ部分の直径や長さ、ネジ山のピッチなどいくつかのサイズを使用しますが、レンチを使う際に使用するのはボルトの頭の六角部分の平行する二面幅によって適当な工具のサイズを決定します。例えば大写真にある「17」という数字は、写真のスパナの開口部分の幅が17mmであることを示します。この工具を使うためには、ボルトやナットの頭の二面幅が17mmであることが必要です。逆に言えば、ボルトやナットの頭の二面幅が14mmだった場合、スパナやメガネも14mmを使わなくてはなりません。

 

さて、そうした基本事項を踏まえた上で、レンチ類の種類や特徴を紹介しましょう。まずはスパナです。ボルトやナットに接するヘッドの一端が開いているのがスパナの外観的な特徴で、その形状からオープンエンドレンチとも呼ばれています。先に述べたように、ボルトの二面幅と同じサイズのスパナを使って、締めたり緩めたりします。

 

スパナを見れば、その使い方はだいたい想像がつくでしょうが、正しく使うにはいくつかのポイントがあります。まずひとつ目は、ボルトとスパナのサイズがきちんと合っていること。12mmのボルトに13mmのスパナを使うと、多少緩さを感じるもののそのまま使えそうな気がします。しかし、両者に余計な隙間があることでボルトの六角部分の頂点が崩れて丸くなり、次に正しいサイズの工具が使えなくなったり、工具が外れて怪我を負う危険性もあります。

スパナのヘッド部分の「17」という表記は、開口部分の幅が17mmであることを示します。この場合、平行する2面の幅が17mmのボルトやナットに使用できます。このサイズ表示はめがねレンチにも入っています。

スパナのヘッド部分の「17」という表記は、開口部分の幅が17mmであることを示します。この場合、平行する2面の幅が17mmのボルトやナットに使用できます。このサイズ表示はめがねレンチにも入っています。

 

次にボルトやナットにスパナを差し込む際は確実にヘッドの奥まで差し込むことが大切です。先端部分だけで浅く加えた状態では、大きな力を加えたときにボルトが外れやすく、スパナの口が開いてしまうこともあります。また手で握る柄から開口部を見ると、開口部が僅かに傾いていることが分かるはずです。この傾きは工業規格によって決められているもので、使用する際は開口部の外側の肉が厚い方により大きな力が加わるようにセットするようにしましょう。

 

一方、ボルトやナットに接する部分がすべてつながっているのがめがねレンチです。輪状のデザインからリングレンチとも呼ばれています。ボルトやナットの六角部分のすべての頂点に工具が触れるため、スパナよりも大きな力を加えるのに適しているとされています。メガネ部分は12角となっていますが、スパナと同様にボルトやナットの二面幅に合ったサイズを選ぶことが重要です。
スパナのように、工具の掛かりが浅くて力がうまく伝達できないということはありませんが、使用する際はボルトやナットに深く差し込み、斜めになった状態で回さないようにすることが重要です。

 

これらに対して、1本のレンチの両端にスパナとめがねを持つのがコンビネーションレンチです。これはスパナ側で仮締めを行い、めがね側で本締めを行う場合に便利な工具です。ちなみに、スパナとメガネレンチは8mmと10mm、12mmと14mmというように両端のサイズが異なりますが、コンビネーションレンチは一方が12mmならもう一方も12mmと、両端のサイズが同一となります。

 

スパナとめがねレンチはどちらか一方で事足りるようにも思えますが、作業によってはスパナしか使えないこともあります。具体的には、長いボルトの途中にセットされたナットや、2個のナットを重ね合わせてゆるみ止めとするダブルナットに対しては、めがねレンチが使えないことが多いです。逆に、ほとんどの場合、スパナが役に立たずメガネレンチしか使えないという場面はありませんから、そういった意味合いではスパナの方が汎用性が高いと言えるかもしれません。

 

ただし先に触れたように、メガネレンチの方が大きなトルクを伝達できるので、ブレーキやアクスルシャフトなど、しっかり締め付けなくてはならない場所に使われるボルトやナットにはメガネレンチを使いましょう。

作業手順を見てみよう!

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