キャリパーのそうじ編

掲載日:2008年11月12日 部位別メンテナンスブレーキ&ホイール    

メンテナンス講座

肝心なのはピストンが
スムーズに作動すること

保安部品の中でも特に重要なブレーキ関連のメンテナンスは、覚悟を決めて取り組まなければならない。ひとつ間違えれば重大なトラブルを巻き起こしてしまう可能性があるからだ。とはいえ、目に見える汚れなどは積極的に洗浄を行いたい。この汚れがブレーキタッチや制動性能に大きな影響を与えるからだ。今回は写真解説をしていないが、車体にキャリパーを組み付けたままでブレーキパッドを取り外し、ピストン周辺を水道水と中性洗剤でジャブジャブ洗い流すだけでも、ブレーキキャリパーのコンディションは確実によくなる。この作業を実施する際には、歯ブラシを使ってゴシゴシ洗い流すのが良いだろう。想像以上にピストン周辺が汚れていることに驚くはずだ。そして、水分を吹き飛ばした後に、メタルラバーMR20などのケミカルをピストン外周に吹き付ける。これにより、ピストンの作動性は高まり、驚きのブレーキフィーリングになるはずだ。この程度のメンテナンスならば、積極的に実践したいものである。

作業時の注意事項

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キャリパーピストン周辺を清掃する際に、パッドを1枚だけセットし、マスターシリンダーを握ってピストンを露出させ、周辺をクリーンナップする方法もある。

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ピストンが抜け出ない程度に露出させ、ブレーキクリーナースプレーでピストン周辺の汚れを洗い流す。ピストン外周に錆を発見したら作業は中止。重整備が必要だ。

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パーツクリーナーを吹き付けたら、不要になった歯ブラシでピストン周辺を徹底的にブラッシングする。しつこい汚れもブラッシングによって取り除くことができる。

 

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仮に、サビなどが無かったら作業を続行しよう。ウエスを細長く切り、ピストンの周囲を靴磨きの要領でシコシコ磨くと良い。こびりついた汚れを徹底的に取り除こう。

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ピストン周辺のクリーンナップが完了したら、メタルラバーMR20を適量塗布する。このケミカルは金属とラバーの摺動抵抗を減らす成分のスプレーだ。タッチが向上する。

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スプレーが完了したら、平らな工具でパッド越しにピストンを押し込む。今回はタイヤレバーを利用した。汚れていない平ヤスリを使用しても良いだろう。

 

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メンテナンス中にピストンシールからフルードが滲んでいたり、ピストン周辺が激しく汚れていたりするときは、キャリパーを分解して徹底的なメンテナンスが必要だ。

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左右の分割キャリパー本体を締め付けるボルトのネジ部分がかなり錆びていた。どうやらパッドカバーの締め付け穴から水が浸入し、ボルトを錆びさせていたようだ。

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キャリパーピストンは簡単に抜き取ることができない。プライヤーで無理に抜き取るのは厳禁だ。このような専用のピストン引き抜きプライヤーがあれば非常に便利。

 

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ピックアップツールでダストシール&ピストンシールをシリンダー内のシール溝から抜き取る。コンディションが悪いと、このシール溝内も汚れにまみれている。

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ホットカインド製のピストン溝クリーンナップツール「溝トール」で蓄積した汚れをかき落とす。まさにメカニックの立場からみたアイデアツールである。使い勝手良好。

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ダストシールとピストンシールは厚さが異なるが、その違いにも対応しているのが溝トールの特徴だ。このように、一見ではきれいな溝からもしっかりと汚れを取り除いてくれる。

 

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ピストン本体の汚れもきれいなウエスで磨き上げる。外周に深いサビや虫食いを発見した場合は、迷わず新品部品と交換する。サビや虫食いがフルード漏れの原因になるのだ。

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元通りの場所にピストンを差込み(分解時にマーキングしておくと良い)、シールが無い状態でスムーズに前後および回転するか、確認する。

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国産車の純正対向4ポッドキャリパー1セットには、これだけのシールが組み込まれている。全バラでメンテナンスを施す場合には、あらかじめ新品シールを購入しておこう。

 

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錆びていた締め付けボルト。このボルトがキャリパー性能を大きく左右するので、全バラメンテナンスの際は、ボルトも新品部品に交換することをお勧めする。

 

 

 

 

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