「フロントフォークオーバーホール」編 その2

掲載日:2011年02月01日 バイク基本整備のイロハバイク基本整備実践    

「フロントフォークオーバーホール」編 その2

テレスコピック式フロントフォーク分解時は、作業車のフォーク構造を事前に調べてから作業に臨みたい。また、交換部品はもちろん、必要な工具やサービスマニュアルなど周辺環境を十分に整え、順を追って作業を進めることが必要だ。

フロントフォークの分解には
専用工具やサービスマニュアルが必要不可欠

オートバイ一般に採用されるテレスコピック式フロントフォークは、大きく分けてアウターチューブ、インナーチューブ、スプリング、シリンダー、シール、スライドメタル、フォークオイルといった部品で構成されている。長年慴動を続けていくと、主にフォークオイルやスライドメタル、オイルシールといった消耗部品から劣化がはじまり、性能や動きが低下していく。そのため定期的な点検やオーバーホールが不可欠だ。作業を行うには、フロントフォークのオーバーホール時にしか使うことの無い「専用工具」が必要となる。また、作業手順を記した車種別のサービスマニュアルを準備しておくと良いだろう。

 

テレスコピック式フロントフォークの分解手順は、まずフロントフォークのトップキャップを外し、フォークスプリングを抜き取って、古いフォークオイルを排出させる。この時、車種によっては、不等ピッチのスプリングを採用するものもあるので、上下の向きに注意が必要だ。また、排出されたフォークオイルの状態は、フォークオイルの交換サイクルの参考となる。著しく汚れていたり、鉄粉が多く含まれている場合は、交換を早めた方が良いだろう。

 

インナーチューブを引き抜く前にオイルシール脱落用のクリップを取り外す。このクリップはダストシール下に位置し、侵入した雨水によって錆が発生していることがほとんどなので、交換が必要となる場合も多い。

インナーチューブを引き抜く前にオイルシール脱落用のクリップを取り外す。このクリップはダストシール下に位置し、侵入した雨水によって錆が発生していることがほとんどなので、交換が必要となる場合も多い。

おおむねオイルが排出されたら、本格的な分解作業に入る。ダストシールを持ち上げて、その下のクリップを取り外す。続いてインナーチューブとアウターチューブを分離させるため、アウターチューブ底面のドレンボルトを緩める。このボルトはシリンダー(シートパイプ)を締結するもので、フォーク内部で供回りをすることも多い。そのため、シリンダーを固定するための専用工具かインパクトレンチが必要となる場合もある。

 

ここからの作業手順は、フォークの構造によって大きく2つに分けられる。アウターチューブに隠れた、インナーチューブ端面にスライドメタルがセットされたタイプのフォークは、このスライドメタルにオイルシールを当てて「ゴンゴン」とインナーチューブでショックを与えながら、インナーチューブを引き抜いていく。この作業でアウターチューブにセットされたシールを取り外し、完全分解することができる。

 

一方、インナーチューブ端面にスライドメタルが存在しないタイプのフォークは、インナーチューブを引き抜いた後、専用工具のオイルシールプーラーを使用してアウターチューブに残ったオイルシールを取り外す。これで完全分解は完了だ。作業は続いて部品の洗浄、組み立てに入る。

作業手順を見てみよう!

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