【ホンダ PCX 試乗記】もはや向かうところ敵なし!? 人気モデルがフルモデルチェンジして登場!

掲載日:2021年03月03日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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HONDA PCX

2010年に初代がデビューして以来、原付2種クラスのシティコミューターとして大人気なのがホンダのPCXだ。2014年、2018年にモデルチェンジを行い、そのたびに熟成を重ねてきたが、このほど4代目となる2021年モデルがフルモデルチェンジを行って登場した。その魅力を実際に試乗して確かめてみたのでご紹介しよう。

ホンダ PCX 特徴

新エンジンにリアブレーキディスク化
トラコンも装備して大きく進化

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4代目PCXはどのような進化を遂げたのか、その概要をおさらいしよう。まず、外観デザインはキープコンセプトで、流れるようなボディラインのイメージはそのままに、よりダイナミックなエッジラインを施すことで上質感と重厚感を演出。LEDの灯火類も新しくなり、ヘッドライト脇のポジションランプは5本のラインで光の流れを表現するほか、テールランプは上下2段のX字型デザインとし、立体感を高めている。

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フレームは新設計でさらなる剛性強化と軽量化を両立。搭載されるエンジンは新開発の「eSP+」となり、4バルブ化を果たした。これによって欧州排ガス規制のEURO5に対応するとともに、最高出力は9.0kWから9.2kWへとパワーアップした。また、従来はドラム式だったリアブレーキはディスク式となり、フロントブレーキにはABSを標準装備とした。同時に、ホンダ独自のトラクションコントロールである「ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール(HSTC)」を新たに搭載し、安全性に配慮している。タイヤサイズは前後ともに従来よりも太さをワンサイズアップ、リアタイヤは14→13インチとすることで、安定性と乗り心地を向上させた。

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装備面もいろいろと進化している。メーターのデザインは一新され、中央に反転液晶のパネルを配し、両側に各種インジケーターをバランスよく配置してより見やすさを追及。シート下のラゲッジスペースは容量アップを成し遂げ、30Lとなった。また、フロントのインナーボックス内に装備された電源ソケットは、従来のシガーソケットタイプからUSBタイプCへと変更されている。ちなみに、エンジン始動やロック解除を便利にしてくれるスマートキーシステムも、引き続き採用されている。

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PCXは従来モデルから完成度が高く魅力的なマシンだったが、今回のモデルチェンジでユーザーの「ここがもう少し改良されれば……」という要望をことごとく実現し、さらに熟成度を高めた印象だ。

ホンダ PCX 試乗インプレッション

さらに乗り心地が向上
そして安心・安全性もアップ

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跨がってまず感じたのは、ポジションの楽さだ。もともと従来からゆったりと乗れるマシンだったが、フットスペース平面部を車体前方と外側にそれぞれ30mm拡大。これが意外に効いていて、乗車姿勢の自由度が高まった。もちろん大柄なライダーでも窮屈感は減るはずだ。ちなみにハンドルは手前に絞られ、若干エンドが垂れ気味にセットされている。これが身長170cmの筆者にはピタリとはまって、とても気持ちのいいライディングをもたらしてくれた。

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エンジンをかける際、ブレーキを握ってかなり強くスターターボタンを押さないと始動しないことがあったのには面食らったが、これについてはたまたま動きの渋い個体差だったかもしれない。

走り出すと、相変わらずスムーズでストレスなく回るエンジンだ。今回からeSP+にバージョンアップした新型エンジンは4バルブとなり、最高出力が0.2kwアップ。数値としてはわずかな差だが、信号待ちからのスタートや中間加速で、従来よりも力強くなった印象を持った。日常でよく使う速度域でパワフルになったことで、より乗りやすくなったと言える。

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さらに進化を感じたのは乗り心地だ。リアタイヤを14インチから13インチへと小径化したことでエアボリュームが増え、ギャップを乗り越えた際の衝撃を感じにくくなった。また、リアのアクスルトラベルを10mm増加させたことで、よりしなやかでスムーズに路面からの突き上げを吸収できている。また、完全新設計となったフレームはねじれ剛性が高められており、これによってコーナーでの安定感が増している。ハンドルホルダーがラバーマウントとなったことで車体から手に伝わる振動も確実に減っている。もともとラグジュアリーな乗り心地のモデルだったが、疲れにくさと快適性に磨きがかかったと感じた。

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ディスク化されたリアブレーキは天候の変化に左右されず、安定した制動力を発揮する。フロントのABSと、新たに採用されたトラクションコントロールのおかげで、雨天時や砂の浮いたアスファルトなどでも、かなり安心感がアップしている。

かなり細かい部分までブラッシュアップされ、より完成度を高めたPCXは、もはや欠点を見つけるほうが難しいほど進化を遂げたと感じた。この新型もかなりの人気モデルとなるのは間違いないだろう。

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ホンダ PCX 詳細写真

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灯火類はすべてLED。デザインが一新され、よりシャープな印象となると同時に、被視認性も高まった。

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メーターパネルも一新。速度などを表示する液晶部分とその両脇に各種インジケーターが配され、広がりのあるデザインに。緑のウインカー表示が大きくてとても見やすい。

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左グリップのスイッチボックスは中央に大きなホーンボタン、その下にウインカーというホンダ独自の配置だ。

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右グリップにはスターターボタンとハザードに加えて、アイドリングストップのオンオフスイッチが配置されている。

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ハンドルバーのライザーはラバーマウントとなり、不快な振動が手に伝わりづらくなった。

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従来に引き続き、キーレスエントリーを採用。鍵穴を探す必要がないので夜間は特に重宝する。

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500mlサイズのペットボトルが収納可能なインナーボックスにはUSBタイプCソケットを備える。5V3Aと出力も十分だ。

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フロアパネルの平面部を前後方向と外側方向にそれぞれ30mm拡大。これによりフットスペースが広がり、ポジションの自由度が高まった。

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給油口はセンタートンネル中央に配置される。外したキャップを置いておくスペースがあるのが親切だ。

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シートはお尻の収まりが良く、ホールド感が高い。前後で表皮が変えられ、ていねいなステッチが施されるなど質感も高い。

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シート下のラゲッジスペースは従来よりも容量を2.4L増やし、30.4Lとなった。SHOEIのJ-Cruise2は収納可能で、後方にもかなりゆとりがある。ピン状のヘルメットホルダーも装備。

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シートの裏側には車載工具も積んである。内容は写真の通りで、必要なものがコンパクトにまとめられている。

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エンジンは新設計の「eSP+」を採用。4バルブ化され、フリクションや振動、騒音も低減しながら環境にも配慮。なめらかで伸びのある走りを可能にしている。

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フロントブレーキのディスク径は220mmと大径で、ABSを装備する。タイヤサイズは110/70-14で、従来モデルよりもワンサイズ太くなっている。

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リアブレーキは従来のドラム式からディスク式となった。タイヤサイズは130/70-13で、14インチから13インチへと小径化しつつ、太さはワンサイズアップしている。

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テール周りの灯火類も新デザインとなった。スタイリッシュで立体感のあるコンビネーションランプは、中央のブレーキランプが点灯するとX字型となる。

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ライダーは身長170cmで足は短め。シート高は764mmで従来と同じで、片足ならかかとまで、両足でも母指球までしっかりと接地するなど足つき性は良好だ。

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