【SYM ジェットS 試乗記】軽いハンドリングと強力なダッシュが楽しい台湾発の125ccスポーツスクーター

掲載日:2020年12月01日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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SYM JET S

SYMは台湾においてキムコ、ヤマハに次いで第3位のシェアを誇るスクーターブランドだ。その製品は世界90ヶ国以上で導入され、1300万台以上の販売実績を持つ。そのSYMが新たに発売した125ccクラスのスクーターがJET Sだ。その魅力と実力を実際に試乗して探ってみた。

SYM ジェットS 特徴

スポーティでエッジの効いたデザインが
走る気満々のオーラを漂わせる

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JETシリーズはSYMのラインナップの中ではスタンダードでありながらスポーティな車種としての位置づけで、コストパフォーマンスと運動性能の高さを両立させたモデルとして人気が高い。その最新モデルであるJET Sは、操縦安定性や快適性などをさらに進化させて登場した。

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フロントマスクはまるで猛禽類の目のように鋭く切れ上がったデュアルヘッドライトを中心に、エッジの効いたデザインでまとめられている。車体全体も前から後ろへと流れるように跳ね上がったデザインで、キレのいいテール部との相乗効果もあって「いかにも走りに自信があります」と言わんばかりにスポーティさをアピールしている。

また、VGS可変ジオメトリサスペンションと新設計でさらに剛性を高めたフレームを採用することで、アイドリング時の振動やコーナリング時のフレームのねじれを低減、従来よりも安定性を高めている。

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搭載されるエンジンは空冷4ストローク4バルブ単気筒124.65ccで、最高出力は8.5kwを発生し、力強い走りを生み出す。また、最大バンク角は45度と深いため、ワインディングなどでスポーティな走りが可能となっている。

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その一方で、スマホなどの充電に便利なUSB電源を装備していたり、容量が大きめのシート下トランクスペースを有するなど、日常での使い勝手の良さも忘れてはいない。街中での買い物やちょい乗りからワインディングまで、マルチに使える存在といえる。

SYM ジェットS 試乗インプレッション

とにかく軽い、そして速い!!
走るのが楽しくなるマシン

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JET Sはフロントマスクの押し出しが強いため一見すると大柄に思えるが、実際はとてもコンパクトなボディだ。全長は1813mmで、同クラスであるホンダのリード125やヤマハのシグナスXよりも若干ながら短い数値だ。シート高は780mmで足つき性も良く、「これなら気軽に乗れる」と思わせてくれるサイズ感となっている。

走り出してまず感じたのは「とにかく軽い!」ということ。少し体重を預けただけでクイっと向きを変えるステアリングの操舵感は、時に軽すぎると思えるほど軽快。車体の取り回しも軽いし、信号待ちで車体を支えるのも軽い……その結果、混雑する渋滞路などでもクイクイと楽に進めてしまう。

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軽くアクセルをひねるとタコメーターの針が6000回転付近まで勢いよく跳ね上がり、同時にスパッと遠心クラッチがつながる感じで、かなりのダッシュ力を見せつけてくれる。この加速の良さと軽いハンドリングのおかげで、渋滞路も何のその、むしろ毎日通勤に使ったら楽しくなるんじゃないか、と思えるぐらい軽快に走ってくれる。

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エンジンの最高出力は8.5kw(約11.6PS)で、リード125やシグナスXよりも上回っている。車両重量なども関係するので単純な比較はできないが、体感としてはライバルよりもパワフルな印象だ。流れの速いバイパス状の道路などでもキビキビとした走りが可能で、車の流れについて行くどころか、軽々とリードできてしまうので、スピードオーバーに注意が必要なぐらいだ。

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ブレーキはガツンと効くタイプではなく、握り込みに応じて徐々に効いていく印象だ(もちろん、ぐっと握ればきっちり効く)。小径ホイールのスクーターの場合、ワインディングなどでのスポーティな走行では、特にフロントブレーキがあまりガツンと効いてしまうと姿勢の変化が大きくて乗りにくい場合があるので、これぐらいのほうがコントローラブルで扱いやすいと感じた。

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サスペンションに関しては、速度域が高めになるとさすがにギャップでの突き上げを感じるものの、普通に走っている分には十分に粘りもあり、不満のないレベルだ。スポーツ走行を楽しみたいなら、サードパーティからサスを始めさまざまなパーツが出ているので、あれこれカスタムをするのも楽しいだろう。

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通勤からツーリング、ワインディングでのスポーツライディングまでマルチに楽しめる割に、コストパフォーマンスは非常に高い。JET Sはバイクに乗る楽しさをあらためて感じさせてくれる、良き1台と言えそうだ。

SYM ジェットS 詳細写真

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猛禽類のような鋭いフロントフェイス。ヘッドライトは35w×2のバルブタイプで、ハンドルカウル部にLEDのポジションランプを備える。

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フルLCDを採用したメーターパネル。燃料計や時計、電圧なども表示できる。透過光式のタコメーターは夜間とても美しい。

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ハンドル左側にはウインカーとホーン、パッシング機能付きのヘッドライト上下切り替えスイッチを備える。

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ハンドル右側のスイッチはスターターボタンのみと超シンプルなレアウトとなっている。

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フロントポケットは容量を多く確保するための工夫がみられるデザイン。その上は左から給油口、荷掛フック、シャッター付きキーシリンダー、USBソケットとなっている。

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アクセサリー電源はシガープラグではなくUSBソケットだ。5V2Aの容量があるのでスマホの充電には十分だ。

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シートは段差が少なく座面が広いタイプでロックを解除すると自動的にポップアップする。前と後ろで表皮の処理が違っており、パッセンジャー側は少しザラザラしている。タンデムグリップはかなりがっちりとしたもの。

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シート下のラゲッジボックスは大きめ。SHOEIのJ-Force4は無理なく入り、後部にはレインウェアなどを余裕で収納できるほどのスペースがある。ピン状のヘルメットフックも装備する。

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サイドスタンドは標準装備。タンデムステップはプッシュすると出てくるタイプで、しっかりしたものが付いている。

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フロアはフラットで乗り降りしやすいもの。前方に足を出せるスペースがしっかりと確保されているので、状況によってポジションを使い分けられる。

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フロントブレーキはABS付きでディスク径は226mm。タイヤサイズは110/70-12で、銘柄はMAXXISのMA-3Dを履く。

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リアにはタイヤを覆うマッドガードのほかに、別体式のカラーフェンダーを装備。リアサスはツインタイプでプリロード調整が可能だ。

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リアのタイヤサイズは120/70-12。MAXXISのMA-3Dはショルダー部にダイヤモンドカットパターンを採用し、ウェット性能を高めている。リアブレーキもディスクでABSを装備している。

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テール&ブレーキランプはLEDを採用。シュッと切れ上がったデザインはスポーティさを強調している。

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テスターは身長170cmで足は短かめ。シート高は780mmで車体もスリムなため、両足でもしっかりとかかとまで地面につく。

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