ホンダ ジャイロX

ホンダ ジャイロX – デリバリー業界御用達の働く3輪スクーター

掲載日:2009年08月25日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

デリバリー業界御用達の
働く3輪スクーター

車名は知らなくとも、誰もが一度は見たことのあるバイク、「ジャイロ」。ピザなどのデリバリーから一般的なビジネス用途まで幅広いステージで活躍するこの車両は、国内では珍しい3輪タイプのスクーターです。モデルとしての歴史は古く、初代のデビューはいまから何と27年前で、当初は新感覚の乗り味を楽しめるレジャーバイクとして発売。リアが2輪あることから「スクーター」ではなく「スリーター」というジャンルを新たに提唱していました。遊び道具として登場したものの、不整地でも安心して走れる足回りと余裕ある積載量を持つことから、次第にビジネスバイクとしての需要が向上。1989年には仕事道具としての耐久性を上げるマイナーチェンジが行われ、現在のジャイロシリーズへと繋がる流れが出来上がりました。今回試乗する「ジャイロX」は、2008年にマイナーチェンジを受けたモデルで、環境性能と燃費を向上させた4サイクルエンジンを搭載するほか、リア2輪のタイヤサイズを大径化すると共にトレッド幅を拡大し、より安定性を高めています。車両価格は前モデルに比べて上がってしまいましたが、50ccの3輪スクーターとしての存在は今も唯一無二。ビジネスバイクとして高い完成度を誇っています。

ホンダ ジャイロXの画像

ホンダ ジャイロXの画像

ホンダ ジャイロXの画像

ホンダ ジャイロXの画像

ホンダ ジャイロXの試乗インプレッション

3輪の足回りが生み出す面白さは
ビジネスだけではもったいない

2008年にマイナーチェンジを受けたジャイロX最大の変更点は、何と言ってもエンジンです。それまで2サイクルエンジンを搭載していたのですが、近年の環境基準強化によりクリーンな4サイクルエンジンに変更されました。また、足回りも大きな変更を受けており、リアタイヤのサイズが130/60-6インチから130/70-8インチになり、トレッドも従来モデルに比べると65mm拡大。走行時の安定性が大きく向上しています。外観については前モデルから特に目だった変更点はありませんが、エンジン変更にともなってリアフードのデザインが一部刷新されています。

走りのテイストについては、エンジン変更によって、2サイクルエンジンの頃よりマイルドかつスムーズな印象。また、振動も低減され排気音も控えめになっているため、長時間走行してもライダーにかかる負担が少なくなっています。変更された足回りは、前モデルより明らかに安定感が増しています。今回の試乗では舗装状況の悪い路面を選んで走行してみましたが、3輪による安定感は抜群。リアが2輪のため、普通のバイクと違い横方向の起伏も拾ってしまいますが、前モデルと比較すると路面状況の影響を受けにくくなっているため不安は感じません。あまりに道が悪いとタイヤが一瞬凹凸に引っかかるような気配を見せますが、アクセルを開け続けていれば簡単に乗り越えられ、足元のことを気にせず進んでいくことができました。現行の50ccスクーターでは、随一とも言える走破性の高さです。

ホンダ ジャイロXの画像

そして、何より楽しかったのはジャイロXによるコーナーリング。リア2輪がしっかりと接地したまま、フロントボディが左右に倒れこむナイトハルト機構を採用しているため、普通のスクーターとほぼ同じ感覚で曲がることができます。悪路走行など難しいと感じてしまうようなシチュエーションでも、リアがしっかりと地面を捉えているため、思い切ったコーナーリングを楽しむことができます。慣れてくるとリアのグリップをあまり気にせずに車体を寝かせられ、他の原付スクーターとは一足違うライディングを満喫可能。確かに、高い積載性や安定感はビジネスバイクに最適ですが、ジャイロXはそれだけに留めておくにはもったいない「乗るほどわかる面白さ」を持っていると言えるでしょう。

ホンダ ジャイロXの詳細写真は次ページにて

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