メイド・イン・ジャパンの高品質マフラーを驚きの低価格で発売し続けるリアライズ
取材協力/リアライズ  取材・撮影・文/木村 圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年5月20日
自社工場による「メイド・イン・ジャパン」のモノづくりに誇りを持ち、だからこそ実現可能な高品質&高性能なマフラーを追求し続けているメーカーが『リアライズ』だ。性能向上のための実力はもちろん、見た目の美しさや重低音が心地よいサウンドなど、所有する歓びを満たすに充分な逸品である一方、手の届きやすいユーザー本位の価格設定が大きた特徴だ。そんなリアライズのモノづくりの現場をご紹介しよう。

INTERVIEW

工場の稼働率を上げて
製造コストを下げるのがカギ

リアライズはマフラー専門のメーカーであり、2種を含む原付クラス向けの製品のブランド名となっている。リアライズの大きな魅力となっているのが、いずれのマフラーを見てみても、購入しやすい価格帯に設定されていることだろう。

 

「製品に関しては、どれも『自信アリ!』です。だから、たくさんの方に装着してもらって楽しんで欲しい。そんな思いから導き出された価格設定なんですよ」

 

と語るのは、リアライズの代表岩本 悟さん。岩本さんは、以前は某パーツメーカーチームのライダー兼社員という経歴の持ち主だ。1991年に独立し、立ち上げたのがリアライズである。当初は50cc向けのレースパーツやレース車両の製作を行っていたが、その後にマフラーメーカーとなり、現在に至る。

 

記述のとおり、手の届きやすい価格設定が大きな魅力であるが、リアライズのマフラーが製造されている場所は日本国内だ。同社では、マフラー製作に必要なパーツはほとんど自社内で生産・組み立てが行われ、さらに仕上げ工程であるバフによる磨きまでもが社内行われているという。

 

「製品価格を抑えるために、マフラーの素材となるパイプなどは一括して仕入れることでコストを抑えています。そして工場の『稼働率』を上げることが低価格実現のポイントになっていますね。マフラー生産では、さまざまな工作機械を使いますが、例えばベンダーならば、実際に曲げる前には機械のセッティングが必要となり、その時間も掛かります。仮にセッティングに15分として、1本だけ曲げるのならば、曲げる時間を5分とすれば都合20分掛かることになります。でも、それが10本になってもセッティングに必要な時間は変わりませんね。むしろ15分÷10本で、1本あたりのセッティングは短くなる、つまり、曲げる本数が多いほど分母が増えて1本あたりのコストが抑えられ、製品の低価格に貢献するのです。言ってしまえば、リアライズの企業努力によるコスト軽減によって、国内の自社生産された自信のある製品を、ユーザーの方々に低価格で提供することが可能になっています」

 

リアライズマフラーの機能性パーツとしての実力は、レース結果から伺うことができる。2015年4月12日に鈴鹿サーキットで開催された「2015 鈴鹿MiniーMoto 4時間耐久ロードレース」には、Realize Racingとしてホンダ・グロム#10(ライダーは井手翔太さん/大庭翔輝さんのペア)で参戦。予選は総合1位で通過し、決勝においても表彰台の1番上に登る栄誉、つまり優勝という華々しい結果を残している。なお、輝かしい成績は今回ばかりでなく、2014年には北口 薫選手が同レースの「69-ON FP4-STクラス」で優勝するなど、今日に至るまでで、リアライズマフラーを装着した多くの車両が幾多の栄冠を手にしているのだ。

 

代表の岩本さんは、かつては自らもライダーとしてサーキットを走っており、根っからのレース好き。これからも、その世界を盛り上げていきたいと考えており、若い世代の育成や養成にも力を入れているのである。もちろん、それらのレース活動で得た様々なデータやノウハウは、ストリート向け製品へとフィードバックされており、新たな製品開発へのベースとしても活かされているのだ。

 

このように、手の届く価格設定で、サーキットからフィードバックされた高性能がリアライズマフラーの魅力であるが、デザイン性の高さやバリエーションが豊富さも、リアライズの特筆すべき点といえる。例えばホンダPCX125eps用のマフラーを例にすると、この車種だけで6種類ものマフラーがラインナップされている。しかも、その中の4種類のマフラーは、ステンレスとチタンというマテリアル別のマフラーまでが用意されているのだ。価格と性能、そして豊富なバリエーションということを考えれば、複数のマフラーを手に入れて、着せ替え感覚でマフラーを楽しむということだって不可能ではない。

 

マフラー交換ではノーマルとは異なる力強いサウンド変化も魅力のひとつだろう。リアライズのマフラーサウンドを文章で説明するのは少々困難だが、ノーマルと比べると重低音が活かされた『快音』になり、音量は抑えられながらも1クラス上の排気量になったような気にもさせる音質を持っている。

 

なお、冒頭では「リアライズはマフラー専門のメーカー」と記したが、将来はハンドル回りやロンスイキットなどの新製品リリースも予定しているとのこと。高品質・低価格を貫くパーツメーカーとして、原付&スクータージャンルに新たな旋風を起こしてくれそうだ。

 

PICKUP PRODUCTS

必要となるパーツの製造から
仕上げまでを一貫して社内生産

リアライズマフラーの誇りの一つがメイドインジャパンであること。それが製品に対する自信のバックボーンともなっている。マフラーは、さまざまなパーツを合わせて作られるが、それらのほとんどを自社内で一貫して生産しているのも特筆すべき点だ。ここでは、製造工程の一部を見てみることにしよう。パイプの曲げや溶接といった工程もさることながら、サイレンサーシェルの巻きと、その合わせ目の溶接までもが機械化されていた点には驚かされた。さらにはカラーのようなアルミ削り出しパーツも社内にて生産されており、仕上げ工程であるバフによる磨きまでもが行われているのだ。

エキパイなどの素材となるステンレスパイプ。一括して大量に仕入れることで、材料のコストを抑えている。なお、取材時に見せてもらったこの量でも、普段よりは少ないとのこと。

パイプを曲げるベンダー。曲げが行われるのは画像の箇所だが、機械そのものの全体は結構大きく、長さは3mほどある。

サイレンサーエンド部分などのパーツ同士の接合は、回転する台の上での電気溶接にて行われている。

サイレンサーのシェルは板材を巻いて作られるが、これはそのためのロールベンダーという機械。0.6mmの厚みの板を巻いて筒状にする。

ロールベンダーで筒状にされた板材は、こちらの溶接機で合わせ目を閉じる。人の手では、薄物の溶接は相当に困難で、この機械の導入で0.6mm厚の使用が可能に。

筒状となったサイレンサーシェルの中に入れていく消音材(グラスウール)などは、ひとつ1つ人の手で装填。この後に前後を閉じてエンブレムを付けてサイレンサーは完成する。

社内の一角にはオークマ製のNC旋盤が備わっており、カラーなどの削り出しのパーツが作られている。

エキパイなどをバフで磨く工程も、社内の一角にて行われている。

マフラーの製造工程や、完成後の検査で必要になるのが治具だ。棚に整然と並べられて次の出番を待っている。作られるマフラーの数だけ治具もあり、画像はホンの一部。

BRAND INFORMATION

リアライズ

住所/大阪府河内長野市原町4-1-27
電話/0721-55-7236
FAX /0721-55-7235
営業時間/10:00?18:00
定休日/土日祝

原付クラス向けとしてのブランドがリアライズで、車種によってはレクレスやフルブースト、ゼスタなどスタイルの異なるシリーズによるラインアップの豊富さを持っている。社内で必要なパーツを製造して組み立てるメイドインジャパンであることが特色の一つ。ビッグバイク用としてはロッソ、クルマ向けとしてはブルーフットとしても展開している。