パワーアイテム、エグゾーストチャンバーで伝説のカワサキ3気筒のパワーパフォーマンスを引き出せ

掲載日/2019年2月17日
取材協力、写真提供/株式会社ケイツーテック
文/箱崎大輔
構成/バイクブロス・マガジンズ
2ストロークマシンのパフォーマンスを引き出すパワーアイテムが、エグゾーストチャンバーだ。今回は伝説のカワサキ3気筒のパワーパフォーマンスを引き出すK2tecのTYPE2チャンバーとTYPE1シリーズの魅力に迫ってみた。

1969年にデビューしたカワサキ2ストローク3気筒、マッハSS/KHシリーズ。2ストローク3気筒という独特のエンジンはパワーバンドから2次曲線的に立ち上がるパワー特性やサウンド。3気筒というエンジンレイアウトから右側に2本、左側に1本出すマフラーなどのスタイリングで当時から今もなお、色褪せる事なく、絶版後も多くのライダーを魅了している。

デビュー当時、マッハSSシリーズは750SS(750cc)、500SS(500cc)、350SS(350cc)、250SS(250cc)の4機種がラインナップされた。その後、1970年代半ばには走行安定性を強化したKHシリーズとなり、KH750(750cc)、KH500(500cc)、KH400(400cc)、KH250(250cc)の4機種がラインナップされた。そのマッハSS/KHシリーズも発売から最長で50年以上、最低でも30年は経過している。多くの箇所の劣化などでマシンコンディションの維持はとても大変だ。

特に2ストロークの燃料はガソリンにオイルを混合する形でエンジンに供給され燃焼せずに排気される。その為、マフラーには2ストローク独特のスラッジが堆積され排気効率が低下し、本来のパワーが発揮されなくなってしまう。オリジナルマフラーにこだわり楽しむというもありだが、現実的にはオリジナルのマフラーなど早々手に入るモノではない。

とは言え古いマフラーでは、あの2ストローク3気筒のパワーパフォーマンスが味わえない。そして、さらにパフォーマンスアップを望みたい。そんなオーナーへ向けてK2tecのチャンバーはマッハSSシリーズ、750SS(マッハIV)、500SS(マッハIII)、400SS(マッハII)、350SS(マッハII)、250SS(マッハI)。KHシリーズ、KH750、KH500、KH400、KH250というシリーズを全てカバーしたラインナップを揃えている。もちろん K2tec が設定するTYPE-1/TYPE-2、クロス/ストレート、スチール/ステンレス、鏡面仕上げなど形状、素材の選択は全て可能だ。
シリーズラインナップ

開発は世界GPを経験したライダーK2tec久保代表が自ら行い、そのレース経験からパワー特性を導き出している。

2ストローク並列3気筒のマッハSS/KHシリーズのエンジンにマッチしたエキパイ部分。その取り回しや太さ、美しい仕上がりはあきらかにノーマルマフラーを凌ぐ迫力をみせる。

単にピークパワーを求めずに、太い中低速トルクを追求。そしてレスポンスを重視して、街中で軽快にパワーを扱える特性にしている。またセッティングの幅も広く設定。シリーズ全モデルに、エキパイとフランジはスプリングジョイントで振動に対する破損対策が施されるなど、様々な意味での扱いやすさを向上させている。

まずはTYPE2シリーズはK2tecが理想とするパワーフィーリングを実現するための形状を求め、数多くの細かなパイプピースで構成され、TIG溶接で丹念に組み上げられている。とても美しい仕上がりだ。

TYPE2シリーズ・クロスチャンバーは開発コンセプトのストリートユースに照準を合わせたトルクとレスポンスを実現するために数多くの細かなパイプピースから構成されている。セッティングも幅広いので扱いやすい。
写真はシリーズ最上級モデル、750SS/KH750鏡面ステンレスクロスチャンバー。

美しく仕上げられたクロスタイプのエキパイからの流れのチャンバー膨張室。左側に出されるチャンバーボディーはサイドスタンドの内側に配置される。サイレンサーはガンメタリックアルマイト仕上げ。サイレンサーエンドはカール仕上げにするなどの細かなこだわりがうかがえる。エキパイとフランジはスプリングジョイント。

クロスタイプエキパイにし、左側のチャンバーボディーがサイドスタンドの内側に配置されるなど機能的にもデザイン的にもこだわっている。素材は、錆びに強いステンレスはスタンダードと鏡面ステンレスの2タイプ、そしてスチール製の3タイプから選択できる。こだわるオーナーさんには是非、お勧めしたい逸品だ。

一方、手軽に幅広くチャンバーというものを楽しんでもらいたいと言う思いからTYPE2の性能を継承したコストパフォーマンスに優れたバージョンとしてTYPE1シリーズもラインナップされている。素材はスチールのみ。ストレートタイプのエキパイのストレートチャンバーと、エキパイがクロスしたクロスチャンバーの2タイプが選択可能となっている。一度、チャンバーのパフォーマンスを味わいたいというオーナーにはお勧め。

TYPE1クロスはTYPE2シリーズと同じクロスタイプのエキパイ。そして同じように左側のボディーはサイドスタンド内側に配置されている。また、こだわりを継承したコストパフォーマンスバージョンだ。

TYPE1シリーズの素材はスチールのみ。クロスタイプのエキパイから膨張室は内側に絞り込まれている。そしてTYPE1クロスにもエキパイとフランジはスプリングジョイントで振動対策が施されるている。

最もベーシックなTYPE1ストレート。ストレート形状のエキパイは純正と同じ取り回し(500SS/KH500のみサイドスタンドの内側)で並列3気筒エンジンによく似合う。他モデル同様、振動対策としてエキパイとフランジはスプリングジョイントだ。

ストレートタイプのシルエットはシンプルな造りでスッキリとした仕上がりになっている。価格的にTYPE2から比べるとかなり低く抑えられているので一度チャンバーを試してみたいオーナーにはお勧めのモデルだ。

K2tecエグゾーストチャンバーは令和になった今でも、昭和デビューの2ストローク絶版車のパフォーマンスを引き出してくれるパワーアイテムだ。

INFORMATION

住所/大阪府羽曳野市野110
電話/072-952-2958
営業時間/9:00~17:00

かつて、ヤマハのテストライダーとして2ストレーサーTZ125の開発に携わり、世界グランプリにもワイルドカード出場を果たした久保和寛選手。久保選手がレース活動に区切りをつけた後に、チャンバー・マフラーのコンストラクターとして独立したときのブランド、それがK2-tec(ケーツーテック)です。自身がテストライダーだったという経歴は、マフラーの開発にも大いに活かされ、「ライダー兼コンストラクター」であることが多くのファンに支持されてもいます。ただし、市販マフラー・チャンバーは、レース用のそれとは異なるもの。かつてバイクブロスでは「市販品はユーザーの求める性能レベルと、彼らが手に取れるほどの価格をバランスさせて、製品にその価格以上の価値があることを認めてもらうことが大切」という話を取材させていただいたことがあります。なお、ヤマハ出身ながら、近年はNSR250R(MC28・21)用チャンバーでも話題を集めるなど、製品ラインアップはホンダなど他メーカー、汎用品にも及んでいます。