5年ぶりにリニューアルした人気のラジアルツーリングタイヤに重量車モデルが仲間入り! SPORTMAX ROADSMART Ⅳ GT

掲載日/2020年8月25日
取材協力/住友ゴム工業株式会社
写真/井上 演
取材、文/櫻井伸樹
構成/バイクブロス・マガジンズ
ダンロップのラインナップにおいて、ラジアルツーリングタイヤの定番モデルとして人気だったROADSMARTⅢ。誰もが気にするロングライフはもちろんのこと、長距離走行における疲労軽減というコンセプトはダンロップ独自のもので2015年の登場以来、5年もの長期にわたって多くのライダーから支持されてきた。

そんなROADSMARTが今年、ⅢからⅣへと生まれ変わり、さらに重量車向けの「GT」が発売された。ツーリングタイヤというカテゴリーはそのままに、革新的な技術により、細部まであらゆる項目をグレードアップ。なにがどう進化したのか? ここで詳しく紹介するとともにインプレッションをお届けしていきたい。

進化した4つのポイント
極低速やUターンでその恩恵を受ける

今回、試乗に使ったのはBMW R1250RT。GTは通常よりも剛性感が向上しており、車両重量290kgのR1250RTのようなパニアケースを装着した大型ツアラーにおいて、その性能を発揮するように作られている。

ROADSMARTⅣ GTの主な進化点は4つだ。まずは「CTTによるさらに軽快なハンドリング性能」、次に「IPTがもたらす疲労軽減効果」、「PCL PROGRESSIVE(パフォーマンス・コンパウンド・レイヤーズ・プログレッシブ)によるグリップ・ライフの両立と摩耗によるグリップ低下の抑制」、そして「新コンパウンド採用によるウェット性能の向上」というものだ。


まず、CTTとは「キャンバー・スラストチューニング・テクノロジー」の略で、タイヤの外形をチューニングすることで、ハンドル操舵の重さを15%低減、旋回力を向上させている。たとえばS字のような切り返しが頻繁にある連続するタイトコーナーでは特にその軽快さを感じることが可能だ。

バイクにまたがって、サイドスタンドを払おうと右に起こす動作から始まり、エンジンを始動してクラッチをつなぐ瞬間、タイヤが回り始めるところからすでに軽快さを感じるからすごい。極低速でUターンや8の字走行をしてみたところ、これも非常に軽快なのだが、ただ軽快なだけではなく、接地感もしっかりと感じる。とくにRTのような大きなカウルのあるツアラーモデルだと、乗車姿勢でフロントタイヤの様子はまったく見えない。だから明確に接地感を感じるということはとてつもない安心感につながるというわけだ。

その軽快さは高速道路でも変わらずレーンチェンジは思うまま。渋滞などで幾度となくレーンをチェンジする場合でも、切り返しが軽いからストレスが少ない。

次にIPTは「インパクト・パリー・テクノロジー」のこと。新しいプロファイルによって、バイクがギャップに乗った際にタイヤが上下にたわみ、その衝撃を吸収するというもの。これにより大型車本来の使用用途である超長距離ツーリングの際でも疲労が軽減されることになる。特に重量車の場合、ツーリング後半に疲労が溜まってくると思わぬ操作ミスや立ちゴケなどにも繋がってきてしまうため、これは大きな恩恵だと感じた。

またそれと同時にギャップなどを通過した際は「ソフトさ」もしっかりと感じる。とくに重量車の場合、そこそこの速度で高速道路の橋の継ぎ目などを越えると、けっこうな衝撃を受ける。しかしROADSMARTⅣ GTだと感覚的には「ガツっ」ではなく「パフっ」という感じ。こういったギャップはサスペンションの初期作動では追い付かないこともあるが、それをうまくタイヤがいなしてくれるような乗り心地になる。どちらかというと「柔らかい」というよりは「優しい」といった印象だ。ロングツーリングでは、こういった小さい衝撃の連続が、最終的に大きな疲労感を生むものだが、これならかなりストレスは軽減されるだろう。

その一方でワインディングに入り、バイクを寝かしこんでいくような場面になると、今度はその優しさに替わってタイヤが路面に粘りつくようなグリップ感や剛性感が生まれてくるから不思議だ。RTは本来あまりスポーツを得意とするバイクではないが、タイトコーナーが連続した小さなワインディングでも、不安なく倒しこんでいけるので、それなりに楽しむことができた。

また試乗中は撮影のために幾度となくUターンを行なうわけだが、軽いハンドリングのおかげと、明快な接地感のおかげで、かなり楽にUターンができたのも、こういった大型ツアラーにとっては大きなメリットになるだろう。

大きな荷物や二人乗りも快適で
ウェット走行性能までも◯

今回は試乗中に60Lの大型バッグを積載したり、二人乗りでもテストしてみた。しかしそれによってタイヤが変にたわんだり、腰砕けになる印象はなく、RTのサスペンション設定を行なえば、一人で乗っているのとそう変わらない印象だった。特にRTのような重量車で二人乗りのUターンを繰り返すのはやや面倒に思うが、そういった場面ではROADSMARTⅣ GTの軽いハンドリングと接地感の良さに本当に助けられたと思う。

今回は残念ながらウェット走行の機会には恵まれなかったが、パターンの徹底的な見直しを実施、とくに細溝部の内部形状を広く取ることで、排水性を上げ、さらにはPCL PROGRESSIVEという3分割トレッドゴムの下層に高発熱ゴムの層を設ける独自構造により、高いウェットグリップとロングライフを両立。また摩耗によるグリップの低下も抑制しているという。ウェットな路面で真価を発揮する「シリカ」の充填比率を、従来比150%に高めた新コンパウンドを搭載。これによりメーカーのウェット走行におけるブレーキングテストでは、ROADSMARTⅢと比較して制動性能が10%も向上したそうだ。

今回テストしたRTやFJRなどのメガクルーザー系で、1日500km以上を走ってしまうハードユーザーはけっこういるだろう。そしてそんな使い方をしていると出発の時は晴れていても経由地や目的地は雨だったりすることもよくある話。そんな時にこのROADSMARTⅣ GTなら、ウェット性能の高さをありがたく感じ、さらに旅先のワインディングでは軽快なハンドリングを活かしたスポーティな走りを楽しむことができるはずだ。

疲労軽減、ロングライフ、ウェットブレーキング、Uターン、レーンチェンジ、ワインディングでのスポーツ走行と、これだけ様々なシチュエーションでライダーを助けてくれるタイヤはそう多くはない。このROADSMARTⅣ GTはそういった、リアルにロングツーリングを楽しむ、本物志向のライダーにこそ、うってつけのタイヤと言えるだろう。

INFORMATION

住所/東京都江東区豊洲3-3-3豊洲センタービル
電話/03-5546-0114
営業時間/10:00~18:00

1889年、イギリスにて設立されたダンロップ社。今や、誰もが知る“ダンロップ”というこのブランドは、創立者の息子が「自転車をもっと楽に走れるようになるにはどうしたらいいのか?」という素朴な質問を父に投げ掛けたことから、その歴史をスタートしています。四輪は勿論、現在では国内外でのモータースポーツシーンでも活躍し、SUPER GT(元 全日本GT選手権)を中心にタイヤを提供。以前は全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)、全日本F3000選手権等にもタイヤ供給を行っていました。二輪車用としてはSPORTS MAX・GP・ARROWMAX・KABUKI・BURORO・ENDURO・POLSO!をラインナップ。また純正として同社のタイヤを採用するメーカーも多数存在し、いつの時代も、その時々の環境に対応し、性能にも一切妥協をしないその作り込みは一流ブランドならではのものです。