旧車の好調維持にも、新型車の清浄や性能維持にも有用なスーパーゾイル効果

掲載日/2020年2月20日
取材協力/パパコーポレーションブルーサンダース 
写真/富樫秀明 取材、文/H&L PLANNING
バイク用エンジンオイルの添加剤は、実際にどう効いているのか。旧車と新型車ではどう考えるといいのか。金属表面再生効果のあるスーパーゾイルを古い車両と新しめの車両に入れる。古い車両ではスーパーゾイルを使うことにより、部品の摩耗軽減やエンジン内部をきれいに保つ効果が期待できる。また新しい車両にはスーパーゾイルを使うことにより、燃費向上などの効果が期待できる。そこで今回、現代的4気筒スポーツモデルの祖、Z1B(1975年型)と、Z1のイメージを再現した現行車のZ900RSで、それらに着目した。

ピストンやカムシャフト、クランクシャフトにバルブなど、多くの金属パーツが回転し、往復し、摺動するバイクのエンジン。クランクの回転は1分間に1000回転単位、回せば市販車でも10000回転超という時もある。そしてピストンもこれに応じた回数で動いている。速度に直してみると、1秒に20m、しかもただ進んでいるだけでなく、往復しているのだから、にわかには信じがたくなってしまう。

そんなエンジンを抱いたバイクだが、それだけのスピードで金属部品が動き、触れ合うことに対して重要なのが、エンジンオイルということになる。実際に金属同士は直接はほぼ触れ合わず、このオイルが極薄膜となって潤滑を行い、燃焼時の気密を保ち、同時に熱や汚れを奪い、金属が錆びるのを防ぐ。そのためにオイルメーカーはエンジンの状況を良好に保つべく、ベースオイルとともにさまざまな添加剤を研究・開発し、配合している。だからオイルの選び方、一歩進めてそこに良好な添加剤を加えることが出来れば、エンジンの回り方やミッションの入り方、摩耗といったものを改善できるというわけだ。なお、今回使ったスーパーゾイルは、エンジンオイルへの添加だけで高性能オイルを入れたような効果が得られる。添加分量はエンジンオイル総量に対して10%の分量でいい。

今回の作業をお願いしたのは東京・足立区のブルーサンダース。代表・岩野さんはとくにエンジンに強く、Zシリーズはストリート用からTOTなどレース用、そして300km/hを超える最高速記録会用まで、さまざまな仕様を数え切れないほどに手がけ、実績を残してきた。新しいモデルでも全日本選手権や、Z900RSでのアメリカ・パイクスピーク参戦を行ってきている。ストリート用エンジンは同店でオーバーホール後5万km、使い方によっては10年は保つという。そのブルーサンダース・岩野さんの元にちょうど入庫してきたのが、このZ1Bだ。

「この車両は10年ほど前に入荷したほぼオリジナル状態の車両を購入していただいて、それを出来るだけ維持しながら乗っているというものです。曲がっている箇所は修正して伸ばして再メッキしたり、ホイールリムは再メッキ、カラーリングも元々のZ1Bそのままという具合です。エンジンはウチでオーバーホールした後に、ある程度距離が伸びてきたので再オーバーホールにと入ってきました。

多くの作業は自分でされる方で、エンジンオイルも自分で納得いく物をとずっと探しては使い……としていって、今はご自分で選んだ鉱物油に「スーパーゾイル」を添加するのがいいと判断して使っています。オイル交換タイミングは2000〜3000kmごとと聞いています。いい機会ですから、腰上をバラしていって、摩耗度合いやピストンまわりの状態を見てみましょう」(岩野さん)

岩野さんはレース現場でエンジンばらし・組み立ても数多く行ってきたこともあり、Zのエンジンはすぐその場で上から開けられていく。タンクなどの外装を外してキャブレターを取り外した上で、エンジンに取りかかる。

シリンダーヘッドカバーを外すとカムシャフトが現れるが、カム部分にも、シャフトを支える部分に入るカムメタルにも特にあたりの強い箇所もなく、傷やテカリといった、不調を呼ぶ前兆のような状態は皆無。古いエンジンにありがちな黒ずみや焼けも見られない。ブルーサンダースのオーバーホール作業の確実さ、オーナーの丁寧な使い方とともに、スーパーゾイルの油膜保持および金属表面再生効果によって、オーバーホール直後の良好な状態が維持されたと言って良い状態だ。

スタッドナットを緩めてシリンダーヘッドを外すと、ピストンが出てくる。内部のオイルには若干酸化している匂いがあるが、これは問題ない。むしろ使われてきたオイルだという証拠とも言える。ピストンは純正品にWPC加工が施されていたが状態はほぼそのまま。純正ピストンを使った際に見られる、前後の上2カ所のあたりが見られる以外、スカート部分は非常にきれいなまま。使用ピストンで見られがちな強い光感やこすれ、傷はない。

ピストンを外して単品でチェックを行う。ピストントップは使い方なりのカーボン堆積でこちらは問題なし。岩野さんによれば、摩耗そのものは見て分かるものではないけれど、そうした摩耗につながるような悪い部分がない状態であるというのは分かるとのこと。

単品にしたピストン。ピストンピンもストンと出てしまうクリアランス過多でも、動きにくい状態(変形や異物噛み込みなどの可能性がある)でもない、すーっと適度な重さと軽さをバランスさせて出てくる。スーパーゾイルの添加によって摩耗は抑えられ、適度な油膜が保持されたことが、こうした形で見られたと言える。

固着しがちなセカンドリングも同じようにスムーズに動くし、トップリングは燃焼の影響は受けていそうだが、同じくスムーズに動く。各ランド部(リング溝間のピストンサイド)も問題なし。これもスーパーゾイルの高い油膜保持効果によると言ってよさそうだ。

古いエンジンでは今のバイクに比べると工作精度が低い部分もあり、それを補うようにゴムパーツや樹脂パーツが使われている部分が多い。添加剤に関しては市場でも賛否があるところだが、スーパーゾイルに関してはここまでに見てきたように、古い車両にも問題なく安心して使えるし、このZ1Bのオーナーが使ってきたことを見ても、効果は高いと言える。

さて、今度は新しいバイクについて見てみよう。工作精度や素材の質の向上などもあって、現代モデルのストリートユース車でエンジンを開けるケースというのは割と少なくなった。そこで新しいモデルでスーパーゾイル製品がどう機能するかを、「フラッシングゾイル」で確認することにした。対象車両はカワサキ2017年末デビューのZ900RS。これもブルーサンダースのお客さんの車両で、定期のエンジンオイル交換に入庫したものだ。

早速エンジンオイルを抜く。エンジン下部に突き出たオイルパンの左側にあるドレンボルトを緩めると、使用済みオイルが出てくる。カワサキ純正オイルを使っていたとのことだが、出てきたオイルは入れたのと同じきれいな緑色。汚れも吸っていないのではないかと思えるくらいにきれいで、溜まったものを見ても濁りや乳化、異物は確認できなかった。そのまま全量を抜く。

ドレンボルトを締め、オイルフィラーから「フラッシングゾイル」を入れる。フラッシングとはエンジン内部の洗浄で、古いオイルや隅に残った細かい汚れを取り除く作業だ。ただ洗浄によって油膜等の有効成分がなくなったり、落とした汚れがオイルフィルターを詰まらせるなどの悪影響も考えられる。ただフラッシングゾイルの場合はゾイル成分を含むことで表面改質を行い、潤滑性能が保持できる。また1度の施工で汚れも包み込んで排出できるという。


水飴のような透明感のあるフラッシングゾイルはオイル点検窓で注入具合を確認。車体直立で写真、窓の少し上まで来るのを確認する。オイルレベルゲージ付近に来るまで注入した後にエンジンをかけて、数分アイドリング状態にする。それで洗浄は完了だ。写真は屋内だが、換気を考えて屋外で作業するのが良いだろう。フラッシングオイルということで抵抗が減っている分、この間のノイズは大きくなる場合があるがアイドリング回転でよく回すこと前提なので問題なし。フラッシングゾイルの場合、そのままゆっくり走ることでエンジン各部にオイルを回すことも可能だ。

エンジンを数分アイドリング状態にした後に止めて、改めてフラッシングゾイルを抜く。透明感のある緑の液体が出てきた。フラッシングゾイル自体は無色透明だったが、前に入っていたオイルが緑色をしていたため、それを取り込んで出てきたということだ。

洗浄度を見るためにきれいなバットを用意した上で出てきたフラッシングオイルを見てみるが、異物は確認できなかった。元々きれいな状態で使われていたのだろう。ただ、前のオイルの色=緑色が出てきたということは残っていたオイル分を洗浄し、取り込んで出てきた証明になる。この状態でエンジン内部にはゾイル成分が吸着され、表面改質を行ってているとのことで、改めて新しいエンジンオイルを指定量入れれば良い。

この状態は長年多くのエンジンを分解・整備してきた岩野さんの目から見ても良好と思えるとのこと。そうした話から、スーパーゾイルには良好な効果があると言えるだろう。

写真にはないが、フラッシング後にこのZ900RSにはスーパーゾイルが販売するエンジンオイル、シンセティックゾイルを入れた。その後の印象をオーナーは「アクセルのオンオフに対するエンジンレスポンスが良くなって、ミッションの入りが良くなった。デメリットと思われる部分はないようです」と教えてくれた。精度の上がった現代車にも、スーパーゾイルの効果があることの証明と言える。

今回、50年級の古いバイクであるZ1B、現行車であるZ900RSのそれぞれにスーパーゾイル製品を試したが、新旧の両車両ともスーパーゾイルを使ってまったく問題はなく、エンジン内部をきれいに保つのに最適な商品だと見えた。新旧に共通する「機械であること」に着目すれば、スーパーゾイルによってバイクに共通の「長く維持して楽しみたい」という気持ちが満足できるのだ。

なお、ブルーサンダースではこうした分解・整備作業は行うが、スーパーゾイル製品の販売は行っていないので、同製品は量販店または通販での入手を勧めておきたい。

INFORMATION

電話/03-3589-8000
営業時間/10:00~17:00
定休日/土日祝

ZOIL(ゾイル)は、1993年に設立したパパコーポレーションが発売するエンジンオイル・添加剤ブランドです。代表の佐藤氏が、奨められた添加剤を色々試した結果、エンジンの調子が悪くなったり、重大なトラブルに発展した経験から、もうこれ以上「入れても無意味で危険な添加剤で失敗したくない」という思いで、エンジンにとって有効な添加剤を自ら開発しました。「最後(究極=Z)のオイル」という意味で「ZOIL」と名づけられました。「SUPER ZOIL」が一般の添加剤と違うのは、金属表面を改質してオイルの潤滑をスムーズにすることです。エンジン各部は少しずつ、気がつかないうちに消耗します。それが「燃費が落ちてきた」、「昔のような加速感がない」などの症状になります。そんなエンジン内部の金属部品を改質し、まるで時計の針を戻したかのようにダメージを回復します。その効果はオイル交換後も消えず、持続すると言います。また、新車時からの使用でエンジンの摩耗を大幅に抑え、より永く新車の状態を保つ効果もあるのです。