次はどのタイヤを履く? DUNLOPプレミアムラジアルタイヤを徹底分析!

掲載日/2019年10月2日
取材協力/住友ゴム工業株式会社
写真/伊勢悟、曲渕真介、住友ゴム工業株式会社 取材、文/中村友彦
構成/バイクブロス・マガジンズ
タイヤ交換の基準は人それぞれ。純正と同じ銘柄にこだわる人がいれば、ひとつのジャンルに執着する人もいるし、常にセール品に狙いを定めている人もいるだろう。とはいえ、そういった決まり事は、バイクの伸びシロや可能性を阻害しているのかもしれない。何と言ってもバイクの乗り味は、タイヤ次第でガラリと変わるのだから。

具体的な話をするなら、速さに特化したスーパースポーツの場合は、アフターマーケットの最新ハイグリップスポーツタイヤを装着することで、運動性能の向上が味わえるのだが、その一方でツーリング指向のタイヤを選択すれば、純正とは一線を画する、快適性や安定性が満喫できるのだ。

また、近年の250ccモデルの場合は、コスト重視で採用された純正のバイアスをラジアルに変更することで、あらゆる面で性能向上が体感できるケースが少なくない。さらに言うなら、操作が難しいバイクが、タイヤ交換によって乗りやすくなることもあるだろう。いずれにしても、自分の使い勝手や好みに合ったタイヤを見つけることで、バイクライフの充実度は大幅に高まるのである。もっとも、安易なタイヤの銘柄変更は、一昔前は予想外の失敗を招くことがあったのだが……。

近年のダンロップ製ラジアルなら、失敗の可能性はほとんど皆無だ。サーキットユースを念頭に置いたQ4やα-14でも、常用域での扱いやすさはきちんと確保されているし、逆にツーリング指向のロードスマートⅢやGPR-300だって、スポーツライディングは楽しめるのだから。

まずせっかくタイヤを交換するなら、自分の趣向に合致した製品を選びたいところ。以下に記すダンロップ各製品の特徴が、その一助になれば幸いだ。

ワインディングからサーキットまで
圧倒的なグリップと旋回性能を誇る『SPORTMAX Q4』

今年から発売が始まったSPORTMAX Q4は、USダンロップが独自に開発したハイグリップスポーツタイヤ。この製品の特徴は、レーシングスリックを思わせる圧倒的なグリップと旋回性能で、乗り手が積極的な操舵や荷重移動を行った際の反応もすこぶる良好。とにかく“攻めがい”のあるタイヤで、最大バンク角は少し前のモトGPレーサーに匹敵する62°に設定されている。

その一方で、環境適応能力や耐摩耗性という面では、他のダンロップ製が一歩上をいくものの、Q4は冷間時の接地感や乗り心地に問題があるのかと言うと、必ずしもそういうわけではない。ただしQ4が真価を発揮するのは、やっぱりサーキットや見通しのいいワインディングロードだから、それ以外の場面を重視するライダーは、他の製品を選ぶべきだろう。

乗り手の技量を問わない柔軟なキャラクター
ハイグリップスポーツタイヤ『SPORTMAX α-14』

ジャンルとしてはQ4とRoadsport 2の間に位置する、ハイグリップタイヤのα14。ただし、アメリカ生まれのQ4が、ハードやアグレッシブと言いたくなる特性で、乗り手に積極性を求めるのに対して、SPORTMAX α-14のキャラクターは軽快かつしなやかで、柔軟性に富んでいる。

などという表現ではツーリング指向みたいだが、α-14はこの種のタイヤにしては珍しく、走る場面や乗り手の技量を問わないキャラクターなのだ。前任のα-13と比較すれば、ウェット性能や耐摩耗性が向上しているのもα-14の美点で、一昔前のハイグリップスポーツタイヤでありがちだったシビアさは皆無。デビューから約3年を経て、そういったキャラクターが周知の事実となった現在、250ccからリッタークラスまで、α-14は多種多様なバイクのユーザーから支持を集めている。

街乗りからワインディングまで
ロングライフかつフレンドリー『SPORTMAX Roadsport 2』

最も重視するのはスポーツラインディングの楽しさだが、ツーリングも楽しみたいし、市街地での移動にも普通に愛車を使いたい。そんなライダーにオススメしたいのが、SPORTMAX Roadsport 2だ。独創的な2層トレッド構造を採用したこのタイヤは、α-14よりさらにフレンドリーで、走り始めの段階では深層コンパウンドの発熱が乗り手の安心感を支えてくれるし、思い切った荷重がかけづらい場面での旋回性や、荒れた路面での凹凸の吸収力では、Q4やα-14を上回る資質を備えている。

なお運動性を重視したスポーツタイヤは、摩耗が進むと性能の劣化を感じることが多いのだけれど、ロングライフを前提に開発されたロードスポーツ2は、摩耗末期まで本来の性能を維持。ライフが気になるスポーツ指向のライダーにとって、この資質は大きな魅力になるだろう。

穏やかで安心感が高い旋回性
ライフを大幅に進化させた『SPORTMAX ROADSMART Ⅲ』

近年激戦区になっている、スポーツツーリングタイヤ市場。そしてこの市場で長きに渡って根強い人気を維持しているのが、ダンロップのロードスマートシリーズだ。’15年から発売が始まったSPORTMAX ROADSMART Ⅲの特徴は、前任のⅡを大幅に上回るロングライフとウェット性能を獲得したことだが、それらと同等以上に興味深いのが、乗り手の疲労軽減を念頭において、スポーツツーリングタイヤならではのハンドリングをきっちり作り込んでいること。

例えば、コーナリングの初期でフロントまわりに発生する自然舵角は、あえてクイックな味付けとせず、α-14やロードスポーツ2とは趣が異なる、穏やかで安心感が高い旋回性を実現しているのだ。なおロードスマートⅢとα-14は、近年の前後17インチモデル用だけではなく、旧車に対応する細身の18インチも数多く準備している。

特性の素直なオールラウンダー
『SPORTMAX GPR-300』

カタログを見ると、シティユース&ツーリングという位置づけになっているけれど、GPR-300はソツがないタイヤで、どんなバイクに装着してどんな場面を走っても、コレといった不満を感じることなく、過不足ない性能を発揮してくれる。

言ってみれば“黒子的”な印象で、その資質をどう感じるかは人それぞれだが、車体の素性をダイレクトに感じたい人や、タイヤからの主張を嫌う人にとっては、この製品は最適な選択肢になるんじゃないだろうか。なお他のダンロップ製ラジアルタイヤと比較すると、販売価格が控えめに設定されていることも、GPR-300の美点のひとつだ。

クラシックな雰囲気をまとった
ナチュラル&フレンドリー『TT100GP RADIAL』

ネオクラシックモデルを主な対象として、今年から発売が始まったTT100GPラジアルは、GPR-300をベースにしながら、約50年の歴史を誇る伝統のバイアスタイヤの雰囲気を再現。と言っても、既存のTT100GPの雰囲気をそのまま再現したのでは、現代のラジアルタイヤとして十分な剛性が得られないため、トレッドパターンやコンパウンドは専用チューニングが行われている。

現代のラジアルタイヤの中では、かなり溝が多めとなるTT100GPラジアルだが、乗り味は至ってナチュラルで、頼りなさは微塵も感じない。それどころか、数多くの溝によって形成されるブロックの変形が、常用域では接地感の向上に貢献しているようで、既存のラジアルタイヤとは異なるフレンドリーさを味わうことができる。

DUNLOPのプレミアムラジアルタイヤ一覧

各々のタイヤの特徴は上で述べた通りだ。グリップだけでなく、ライフの長さやトレッドパターンの好みなどもタイヤを選ぶ基準になるだろう。自分の走るシチュエーションや用途を考慮した上で次に履くタイヤを選ぶ参考にしてもらいたい。

INFORMATION

住所/東京都江東区豊洲3-3-3豊洲センタービル
電話/03-5546-0114
営業時間/10:00~18:00

1889年、イギリスにて設立されたダンロップ社。今や、誰もが知る“ダンロップ”というこのブランドは、創立者の息子が「自転車をもっと楽に走れるようになるにはどうしたらいいのか?」という素朴な質問を父に投げ掛けたことから、その歴史をスタートしています。四輪は勿論、現在では国内外でのモータースポーツシーンでも活躍し、SUPER GT(元 全日本GT選手権)を中心にタイヤを提供。以前は全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)、全日本F3000選手権等にもタイヤ供給を行っていました。二輪車用としてはSPORTS MAX・GP・ARROWMAX・KABUKI・BURORO・ENDURO・POLSO!をラインナップ。また純正として同社のタイヤを採用するメーカーも多数存在し、いつの時代も、その時々の環境に対応し、性能にも一切妥協をしないその作り込みは一流ブランドならではのものです。