試乗インプレッション 高速道路編【スズキ バーグマン200】

掲載日:2017年03月27日 トピックス    

取材協力/スズキ株式会社  写真/井上演  取材・文/タナカ

高速道路長距離長時間移動をあまり辛いと思わないバイクブロス・マガジンズ編集部のタナカです。ベースにBMWバイクの経験値が多少あるのでたいていの乗り物に「不足」を見出すことができますが……。

欧州での人気を追い風に、2014年に国内販売が開始されたバーグマン200。当時は250ccクラスのビクスクと比較されていましたが、バーグマン200の登場以降、排気量150~200cc前後のスクーターが数多く登場。今やスクーター界でも一大勢力を築いているカテゴリーとなっています。そんな時代の先駆ともいえるバーグマン200を、WEB編集部スタッフがリレーインプレッション。

特殊な訓練を受けたと思われるプロの撮影による
日本の高速道路を駆けるバーグマン200の姿

ある日ロケは突然に。このところ天候不順でもろもろの編集進行が危ういと思っていた折、翌日の天気予報は晴れと曇りマーク。降水確率は低い。よし、バーグマン200の出動だ。高速道路での走破性を試してやろうじゃないか。

その日の撮影は中央高速道路で郊外へ足を延ばし、ツーリングシーンなどを撮影する計画。国立府中ICから相模湖ICへ駆け抜けながら、特殊な訓練を受けた(であろう)プロカメラマンによるスチール撮影を行ないます。

走り出してまず気づいたのが、スロットルは開け気味のほうが具合が良いということ。エンジンは6,500回転を過ぎたあたりから力強い加速を体感できます。リアシートにカメラマンを乗せていると、高速道路では7,000~8,000回転付近が気持ちよく巡行できます。

上り坂にさしかかって、法定速度手前まで減速してしまう大型貨物を追い越すのもストレスありませんでした。2人乗りなのに、です(カメラマンの体重は約72kg)。エンジンは高回転域を維持したままモリモリと出力を発揮します。

石畳のある市街地からアウトバーンまでを視野に入れた足周り、ということですが、確かに高速道路の走破性能は高い印象です。路面からの突き上げも気にならず、旋回や急な減速の際に車体がよじれるような感触もありません。むしろ剛性は高く感じます。フロントに13インチ、リアに12インチというホイールサイズの組み合わせも、走行安定性に寄与しているのでしょう。

このクラスでは標準的な車格でも、スクリーンはかなり長い設計となっており、それによるウインドプロテクション効果は満足できるレベルです。乱気流の発生による変な巻き込みもありませんでした。

それなりのペースでほかの車を避けながら、2時間程度は余裕で巡行できるため、ふと、このバイクが軽量コンパクトな200ccスクーターだということを忘れてしまいます。それだけバーグマン200の高速道路での走破性能は高いものでした。

料金所の電光掲示板に「ユキチェーン……」の表示。まだ東京都内ですが、この日はとても寒かった。個人的に、ビッグスクーターは発進・停止時の低速が不安定で超ニガテです(慣れの問題)。たまに軽装の若者が2人乗りでスクーターを走らせる姿を見ますが、今後はリスペクトの目で見守ることにします。

走り出してしまえばなんてことはありません。インターチェンジのぐる~っと回り込むカーブからじわじわとエンジンの回転数を上げていきます。この段階で車体に不安要素なし。

中央道の下りは、八王子JCTを過ぎると山へ向かって進む上り坂。適度にカーブがあってアクセルも開けていける、好きなシーンのひとつでもあります。

そして巨大建造物ファンにはたまらない鉄筋コンクリートの道路が幾重にもなるジャンクションの下をくぐります。 グイグイと力強く加速するバーグマン200と相まって、ライダーのテンションも上がります。

トンネルは寒い時期は冷たい風を受けずに済むのでちょっとした息継ぎポイント。太陽光の下から急に暗いトンネルに突入しても、コックピットの視認性は良好です。

正面から見た乗車姿勢で分かる通り、ライダーの顎のあたりから足元まで、体はスクリーンとカウルにすっぽりとカバーされています。腕から指先までは覆いきれませんが、小排気量スクーターの中では十分以上のウインドプロテクションと言えるでしょう(ライダーの身長は175cm)。

スクリーン自体はそっけない形状ですが、スクリーン越しの視界は歪みもなくクリアです。高速走行時に振動が発生することもありませんでした。

フロアボードに足を置いてみると、膝を曲げて重心を手前に寄せたスタンダードな位置と、高速走行時に体をシートにドカッと預けて足を前に放り出す、フォワードステップスタイルも考慮されていています。使い勝手は良好です。

最初は戸惑ったミニボックス。何がってその開き方。プッシュオープンだけど中途半端にしか開きません。いやそんなはずはないだろうと熟考の末、半開きの蓋が反時計回りで90度回転することに気づきました。これなら底まで手が届く。まるで軽自動車のドリンクホルダーを思わせるギミックが素敵です。

排気量199ccの水冷単気筒SOHC4バルブエンジンは、スイングアームと一体化されたユニットスイング式。最高出力は19馬力(14kW)、最大トルクは17N・mを発揮。ホイールサイズはフロント13インチに対してリア12インチとなっており、高速走行時の安定性の高さは確認できました。

ということで、いかがでしたでしょうか、バーグマン200の高速道路インプレッション。外気温3度、体感温度は0度にもなろうかという状況で、グローブも装着せず素手でシャッターを押し続けるカメラマンはプロ中のプロ。これは特殊な訓練を受けているからに違いないと思うわけです。絶対にマネしないでください。

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