LML Factory インド訪問記

掲載日:2014年04月10日 フォトTOPICS    

文・写真/安川太一郎(BENE)  取材協力/BENE

LML工場の正面玄関。正門をくぐるとこんな感じで敷地が一気に広がりを見せて工場の大きさを体験できる。

インドは、もはやインドではない

インドの首都ニューデリーの南東から約500km程離れたカンプールという町にあるLML Limited。会社の歴史は意外と古く、1978年に紡績工場としてスタートし、1984年にPiaggioとベスパの生産提携をし始め、1999年にはPiaggioとの提携を終えたが、スクーターの生産はそのまま続け、それと同時に4ストロークバイクの製造も開始した。製品の品質は、90年代までは日本製と比べて、やはり劣る部分もあったが、2000年を過ぎた頃からの品質の向上は、素晴らしいのひと言。それは日本の昭和の2/4輪の品質向上の歴史と似通った部分がある。当初は提携、工場設備も欧米から、そして技術の移行、向上を経て現代の日本品質があると言えるが、インドは21世紀を超えて海外からの進出が激しく起こり、当然日本の昭和時代のように起こった様々な技術流出による品質向上が見受けられるようになった。LMLとの付き合いも10年を超え、その間に設備の向上が凄まじい勢いで起こっている。勿論、納入されている部品会社の品質も向上し、欧米各メーカーの部品納入会社となっているのもその一端を表している。そんな意味も込めて「インドは、もはやインドではない」と思う今日この頃。今回は、4年ぶりの訪問となった工場の現在、そして4年前との比較を含ませながらレポートします。

フォトTOPICS(写真点数/30枚)

01LML事務所内には、Piaggioとの提携をしていた頃の車両からの記念品のVespa 98の当時の設計図が飾ってある。

02加工を終えたエンジン内部のドライブシャフト、ギア類など。これから焼きを入れて加工ラインに移る。

03ギア、ドライブシャフトなどのエンジン部品に焼きを入れる設備。かなり原始的な感じがするが、意外とこんなのが効果的なのかもしれない。

04クランクケースを製造する機械。 TOSHIBA製に安心感を覚えるのは、私だけでしょうか? と思いつつ、少し機械が古くないかな? と思っているのも私だけではないはず。

05この過程でクランクケースのバリとりや目視による点検修正、これだけだと不安と思えるが、ご安心を。この後の過程できっちりと加工します。

06ギア類の加工過程のサンプル。加工するとこんな風に変わって行くのですよという見本を提示しています。

07クラッチダンパー、もしくはクラッチギアスプリングの製造過程。 ハンドメイド過ぎて一抹の不安を覚えない事はないが、それはそれで雰囲気があって、ある意味このスクーターが作られている感が湧いてくる。

08フライホイールの製造およびチェック工程。 フライホイールの熟練作業者と言う所か。

09仕上がったギアのバリ取りおよび最終仕上げ。

10ギアの合わせ具合のチェック。

11シリンダーヘッドの仕上げ、及びチェック工程。

12CNCマシーンによるクランクケース内部のセンターリングの微細加工。さすがにこの工程はハンドメイドではないらしい。ある意味ほっとするような、当たり前のような……少し安心しました。

13エンジンの組み立てライン。 撮影時は、昼休みのため誰もいませんでしたが、このラインにずらりと人が並んでエンジンが組み立てられてるのを想像するとワクワクします。ひょっとしてこのエンジンは日本向けかなぁなどと考えて。

14製品の抜き打ち検査で精度を検査します。この部品は、スターデラックス4S用エンジンマウント。

15同じく製品の抜き打ち検査ですが、この部品はフロントフォークで強度検査を行っています。

16ずらりと並んだタイヤ。仕向地によりタイヤが変更されていまして、この写真に写っているのはエジプト向け。少々ブロックの溝が深くて、エジプトの道路に最適なタイヤとの事。

17フレームのペイント。錆止め加工をされています。車のフレームと同じような仕上げですね。

18各部品のペイントブース。サイドカバーやハンドル等がペイントされて、仕上げのチェックをしています。

19下地のペイントが終わった所。もの凄い数の部品が並んでいます。いかに今、売れているかどうかが解ります。

20フレームのシール作業工程。この工程は、ハンドメイドです。しばらくの間、作業を見ていましたが、意外と上手くシールをしていたので、結構、ほっとしました。かなり多めにシールをしているみたいです。

21ボディの組み立てラインに載せる前に車体番号の打刻です。数年前までは、手作業でポンチを使って打刻していましたが、現在は違うようです。こういう風に段々と作業工程が進歩していくんですよね。なぜか手作業の打刻が愛おしくなってきました。

22オートマ用の製造ライン。仕向地により仕様が異なりますので、間違わないように作業台をわざと数台分開けてあります。

23一人で組み立てるラインもあれば、こうして数人がかりで組み立てるラインもあります。

24ラインオフした車両。これらは、アメリカ向けの車両です。アメリカではStellaという名前で販売されています。 アメリカでもようやく販売を開始したオートマエンジン仕様。このスクーターがアメリカの各都市でも見れるのも時間の問題です。

25出荷前に並べられている車両。こちらはインド国内仕様で、バイクも最近は生産を開始しました。ここ数年、インド国内向けの販売はかなり落ち込んで殆ど輸出専用という感じがしなくもなかったのですが、国内での販売網も段々と整備されてニューデリー市内でも新車を良く見かけるようになりました。

26このダンボールに入っているのは、部品ではなくて、実は車体なんです。半完成品のまま送るのですが、これ、半完成品だと輸入時の税金が安くなるので国の事情により半完成品で送る事があります。こういった風景を見ていると各国のお国事情が見えて、それはそれで楽しい物です。

27広い工場内での貨物車両。結構やっつけ感を感じているのは私だけでしょうか? やっぱり自社製品を使ってましてスクーターを3輪に改造してあります。

28ずらりと並んだ出荷前の車両風景。こうしてみると圧巻ですね。スクーター好きには興奮の風景です。

29国内向けの発送では、こうした専用の車両に積まれてインド各地へ向かいます。このトラック一台で約50台程積めます。

30国内向け発送用のトラックの外観。なんかある意味凄いと言うか、エキセントリックというか、日本人には発想出来ないトラックの形。

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