掲載日:2022年01月12日 プロが造るカスタム
取材協力/LOTAUS
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ベース車両として活用されたマジェスティCの面影が残るのは、シートサイド下部のタンデム用ステップボード付近ぐらいだろう。大がかりなボディ加工が施されたこの車両は、何と言ってもこのフロントフェイスの造形に釘付けとなってしまう。ヘッドライトとフェイス先端の独特の開口デザイン。バイク好きであればほとんどの人が分かるであろうこの顔の正体は、カワサキH2だ。最先端で、特にシャープでスポーティな造形を持つスーパースポーツ系のフロントデザインを移植する手法は、昔からビッグスクーターカスタムの主流のひとつである。このいわゆるSS系ミックスを、ロータスでは単純にフェイススワップを行うのではなく、新たなデザインを追加。このひと手間により、独特のブラウンに輝くマジェスティCは、不思議な存在感を醸し出している。
フェイス上部に見られる造形ライン。光による陰影が付くことで特にその形状がはっきりと浮き上がるのだが、このマジェCの個性がここにはっきりと表現されている。さらにノーマルでいうダクト部をヘッドライトのように見立てて横長に造形されているため、ベースがH2であることを思わせないデザインを採用。しかも、フェイスとサイドは一体型に加工。よくあるビス留めを廃止して、表層の美しさを追求。メンテナンスなどの取り外し時に注意が必要となるが、そのひと手間をかけてでもルックスを重視した。
また、エンジンをスカイウェイブ(CJ43)に換装することで4輪化を実現。前後のホイールに選ばれたのは、こちらも定番のワーク・エクイップ。フロントが5.5J、リアが8Jとトータルバランスが成立するサイズ感が魅力だ。しかも、サイレンサーは片側2本ずつの合計4本出し。ブラックアウトされた細身のサイレンサーがそれぞれ左右に張り出す姿は新鮮。ハンドルも圧倒的に支持されているロータスのシボリを装着せず、乗車時に前傾姿勢となるストレートバーが採用されているのが非常に珍しい。
各ディティールを見ていくと、その手法は全て定番のもの。しかし、ひとつひとつにアイデアを抽出し、唯一無二のスタイルを完成させていく。カスタムとは、自分のオリジナリティとアイデンティティを主張する場所。この車両は、その想いが込められていることがよく分かるマジェスティCだった。