ハーレーダビッドソン XL1200V Seventy-Two
ハーレーダビッドソン XL1200V Seventy-Two

ハーレーダビッドソン XL1200V Seventy-Two – ファクトリーカスタムのニューカマー

掲載日:2012年02月23日 試乗インプレ・レビュー    

ファクトリーカスタムのニューカマー
見え隠れするカンパニーの意図を探る

2012年の中間期モデルとして、ハーレーダビッドソンのラインナップに新たに2台が加わった。そのひとつが今回紹介するスポーツスター XL1200V Seventy-Two (セブンティーツー) だ。カスタムカルチャーの最盛期と言える 1970 年代に見られるチョッパースタイルを全面に取り入れたファクトリーカスタムモデルで、今なお人気を博しているスポーツスター XL1200X FORTY-EIGHT (フォーティーエイト)に続くニューカマーとして注目を集めている。今なぜ本国のカンパニーがこのスタイルを取り入れようとしているのか、その背景を探るとともに、Seventy-Two のあるがままの魅力も掘り下げていこう。

ハーレーダビッドソン XL1200V Seventy-Two 特徴

情熱ある開発チームがたどり着いた
70年代というカスタムカルチャーの黄金期

XL1200V 車両写真
XL1200V 車両写真

FORTY-EIGHT に搭載されている容量 7.9 リットルのピーナッツタンクにコンパクトなソロシート、ストップランプ一体型ウインカーと組み合わさったチョップドリアフェンダー、クロームメッキに覆われた最新のフューエルインジェクション仕様の Evolution エンジンに8 in ディッシュラウンドエアクリーナー、真っ白なリボンが印象的なホワイトウォールタイヤの採用など、高性能な最新のスポーツスターをベースに 1970 年代のチョッパーカスタムで知られる要素を取り入れた、新旧バランス良く融合したモデル―― Seventy-Two を評するとこんな感じになるだろうか。3つ用意されているカラーリングのひとつ、ビッグレッドフレークに見られるメタルフレークペイントなどは、70年代カスタムのアイコンとも言えるポイント。“72”の名の由来は、イーストロサンゼルスの伝説的なクルージングルート“ルート72”への敬意からとのことだから、まさしく現代に蘇った’70s チョッパーカスタムモデルである。スポーツスターのラインナップを見渡すと、そのインパクトはアタマひとつ抜けており、存在感という点では人気モデルである XL1200X FORTY-EIGHT と互角と言えるのではないだろうか。

同時発表となった 50 年代のボバースタイルが特徴的な FLS ソフテイル・スリム はもちろん、昨年デビューした FLD スイッチバック と、2012年モデルのニューカマー群は押しなべて 1970 年代以前のカスタムカルチャーへのオマージュとも思えるラインナップである。ここから見えるのはアメリカ本国のカンパニーが掲げたあるテーマが見え隠れする。

XL1200V 車両写真 XL1200V 車両写真

それは「原点回帰」だ。100余年におよぶハーレーダビッドソンの歴史を紐解くと、この Seventy-Two のデザインベースともなっている1970 年代、いわゆる“’70s”という時代を見過ごすことはできない。アメリカの大手機械メーカー AMF 傘下という環境で迎えたこの時代、1969年に封切りされたモーターサイクルムービーの金字塔『イージー・ライダー』に象徴されるように、アメリカ西海岸を中心にチョッパースタイルを主とするカスタムカルチャーが広がっていき、ハーレーダビッドソンは他メーカーと競い合いながらその中心に君臨し続けた。またレースシーンにおいても AMA ロードレースや AMA ダートトラックレースで連覇を達成するなど、カスタムカルチャー全盛期にしてハーレーダビッドソンの黄金期とも呼べる時代であった。稀代のデザイナー ウィリー・G・ダビッドソン (現 H-D 車両デザイン部門 責任者) によって不朽の名車 ローライダーやカフェレーサー XLCR などが生み出されたのも’70 年代である。

XL1200V 車両写真

なぜ本国カンパニーが’70s への回帰をはかったのか――。その理由が、ハーレーダビッドソン 2012 モデルカタログのなかにあった。「 SAME STANCE, NEW GENERATION ―いつの時代も、進むべき道は変わらない。― 」というキャッチが目に飛び込んでくる見開きで、そこでは“ハーレーダビッドソンのあるべき姿”を追求する本国のデザインチームが模索する様子が描かれていた。ウィリー・G をボスとするこの部門では数年前から若いスタッフが導入され、「同世代の若い人たちにインパクトを与えるバイクを」というテーマに基づいた開発から、近年のブラックアウトモデルや FXS ブラックライン などが世に送り出された。聞けば、開発・研究のためにと若いスタッフの何人かは日本で開催された YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW にも足を運んでおり、今なお衰えないカスタムカルチャーを目の当たりにして刺激を受けたという。この Seventy-Two にソフテイル・スリム、そしてスイッチバックといったファクトリーカスタム群は、安易なムーブメントの産物などではなく、そうした情熱ある開発者のチームがディスカッションを重ねた末にたどり着いた境地から生み出されたモデルなのだ。 …この記事の続きをバージン・ハーレーで読む

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SPECIFICATIONS - HARLEY-DAVIDSON XL1200V Seventy-Two

ハーレーダビッドソン XL1200V Seventy-Two 写真

価格(消費税込み) = 136万8,000円

カスタムカルチャーの最盛期とも言える 1970 年代のチョッパースタイルを全面に取り入れたスポーツスターの新しいファクトリーカスタムモデル。

■サイズ = 全長 2,275 × 全幅 920 × 全高 1,210mm
■ホイールベース = 1,525mm
■最低地上高 = 120mm
■シート高 = 675mm
■車両重量 = 253kg
■総排気量 = 1,202cc
■エンジン = Evolution (インジェクション)

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