掲載日:2011年02月25日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/青木タカオ
1993年5月にXV800の水冷Vツインを搭載し、登場したのが兄貴分にあたるイントルーダー800。805ccの排気量をもつ45度4バルブエンジンをベースにボア&ストロークを見直し、排気量を約半分の399ccまでスケールダウンし、中型限定二輪免許に対応。90年代に巻き起こったアメリカンブーム真っ只中の1994年4月に発売されたのがイントルーダー400です。
プルバックハンドルや容量12Lのスリムな燃料タンクを採用する車体は800と共通で、現行ラインナップにあるイントルーダー400クラシックとはまるで違う別路線のスタイリング。当時の和製アメリカンでは珍しくなかったキング&クイーンシート風の段付きサドルは豪華な質感と座り心地の良さが自慢で、フットボード&シーソーペダルの組み合わせは国産クルーザーにはまだありません。これはホンダ・スティードやヤマハXV400ビラーゴらライバル機種にも言えることで、スズキのアメリカンは輸出仕様車のVS1400GL、あるいはシングルエンジンを搭載した「サベージ」(650と400があった)から踏襲した品格のあるスタイリングが大きな魅力でした。ちなみに「イントルーダー」とは侵入者という意味で、そのネーミングを探れば1985年のVS750まで遡ることができます。本格派の香りを漂わせたこの美しいフォルムを、スズキはレーサーレプリカブームの真っ只中に作り上げていたのです。
足まわりはフロント21+リア15インチのスポークホイール仕様で、スティードやビラーゴ、バルカンらがフロント19インチを採用するなか、よりチョッパー的なムードを漂わす大径ホイールは絶好のセールスポイントになっていました。限定解除ライダーにのみ許された800ccの車体を用いているだけあって、39mm径フロントフォークやSOHCエンジン、クランクケースカバーなど随所にメッキが施され、高級感のある作りこみがなされています。
1996年にはデスペラード400が登場し、スズキのアメリカンは21世紀に入ってイントルーダークラシックへと進化を遂げていきます。中古市場で見かけるのはほとんどがイントルーダークラシックで、90年代のイントルーダー400はタマ数もわずかでしょう。リプレイスパーツもスティードやビラーゴほど豊富ではなく、カスタムベースとしての人気も高くはありません。レアな1台として、狙ってみるのも楽しいかもしれません。